フランスで暮らしていたからかな。こうして日本へ戻ってきても、父がもうこの世にはいないという実感は、あやふやなままである。
家にいなければ、どこか散歩に出ているだけのような気がする。
外を歩いていれば、どこかでばったり出会えるような気さえする。
そんな中で、街中の景色に変化があった。
今、朝ドラなどが沖縄を舞台にしているらしい。
それもあって、店頭に沖縄の商品が置かれることが多くなった。
私は滋賀県で生まれ育っているが、父は奄美大島の出身だ。
暮らしているのは滋賀だけど、父の心はいつも奄美にあり、奄美のことをとても誇りに思っている人だった。
奄美の文字を見れば、父を思う私。
最近の沖縄ブームと一緒に、世間の奄美への注目も増しているのかな。
ふと、奄美という文字を目にすることが多い。
ショッピングモールなどでふと奄美特集があったりすると、嬉しくなる。
だけど、これはさすがに驚いたな。
浅草で着物レンタルをして、娘たちの着物姿を撮影しようとしていた時のこと。
浅草寺の朱塗りの楼門前、和のお土産物屋さんがズラリと並ぶお土産街。
私たちの目の前には、
奄美大島物産展
の文字。
まるで、父の
「俺も一緒に来てるぞ!」
の声が、聞こえてくるようだった。
今朝も、ニュースのページを開くとトップページには、IMALUさんが奄美との二拠点生活を始めるという記事。
日本滞在中に何度も目にする
奄美
の文字。
いつも一緒にいるような気がするのは、気のせいじゃないかもしれない。
世間の沖縄ブームを勝手にそんな風に喜びながら、一周忌を迎えよう。