アイツvsチカ姐さん | 合掌

合掌

俺の生存記 

盆休み前に行われた社内イベント『家族の参観日』を終えた夜。
チカ姐さんが言いだしっぺとなり。
俺の家族と公私共に仲の良い会社の先輩サカモトさん家族で。
俺にとっては“魔の食事会(汗笑)”が行われた。
チカ姐さんとサカモト先輩の奥さんサオリさんとは。
アイツに言えない秘密があるので。
顔には出さねど内心穏やかではなかった。
が。
そんな俺の心中とは真逆に。
アイツはチカ姐さんとサオリさんと話しも弾んで。
終始笑顔で食事会を楽しんでいる。
そのアイツの笑顔を見る度に。
心の中で俺はアイツに土下座をした。
とはいえ。
食事会は俺も楽しかったんだけどね(笑)

サカモトさんチの2歳半になるムスメちゃんは。
天使と見紛うほど可愛くて。
会社ではいつもポーカーフェイスで飄々としているサカモト先輩の。
デレデレと相好を崩すところを見れたのは大収穫であった(笑)
それに。
結婚前の悪女然とした姿はどこへやら。
すっかり“お母さん”のサオリさんに。
あのことを引きずってるのは俺の方で。
もうすっかり無かったことにしてもいいんだなってそう感じた。

ムスメちゃんの遊び相手をしているムスコを見て俺は。
その二人の姿がクレヨンしんちゃんの妹のひまわりと。
しんちゃんの友達の風間君にオーバーラップして。
それを先輩に言ったら。
「いくらオマエのムスコでもウチのムスメとの交際は認めん!!」
いやいや俺だって。
先輩と親族になるのはゴメンだっての!(笑)

ところで。
チカ姐さんやサオリさんは。
どうしてアイツが俺の奥さんだってわかったのって聞いたら。
チカ姐さんは参加者名簿を総務に手を回して入手して。
参加者に渡した入館証の番号を知っていたからだと言い。
それにプラスしてムスコが俺に似てたからだと笑った。
なるほど。
サオリさんはチカ姐さん経由ってワケだ。

南無妙法蓮華経

家に帰ってから。
俺はアイツにありがとうってお礼を言ったら。
「サラリーマンの妻を一日満喫しました。」って。
アイツは笑った。
俺は本当にイイ女を妻にしたんだなぁと。
心からこの時実感した。

「モヤモヤしてるのイヤだから言っちゃおうかな。」
ベッドに入ってからアイツが言った。
「チカさんって、konちゃんのこと好きなんじゃないかな?
うん、絶対そう思う!」

ないないない!ありえない!
俺は笑いながら。
しかし全力で否定した。

「でもねぇ・・・・・。
今思えばって感じなんだけどね。」
アイツは。
チカ姐さんに厭味めいた言葉をチクチクと言われたのだという。
例えば。
「ムスコ君はほんとにkonちゃんにそっくりだけど、鼻だけちょっと残念ねぇ」
とか。(ムスコの鼻の形はアイツに似ているのだ)
一緒に写真を撮ったときには。
「写真写りがいいのねぇ」
食事会で姐さんが取り分けた料理の量が自分だけ多く手渡すときには。
「もうちょっと太ってもいいわよ」
とか。
最近英語を活かした仕事を始めたって話しをしたときには。
「英語話せるのは強いなぁ。一人でも生きていけるもんね。」

いちいちよく覚えてるな~。
と俺が笑うと。
「そう?まだあるんだけど聞きたい?」とアイツが言うので。
俺はもうお腹一杯だって笑って。
アイツがこれ以上喋らないように。
手でアイツの口を覆った。
が。
俺の手をずらして最後にこれだけ言わせてとアイツは続けた。

「夫に愛されるテクニックを教えてよ」
チカ姐さんから言われたアイツは。
「そんなテクニックなんてないですよ。
主人とはどんなときも愛し合ってますから、
全然そういうの私にはいらないんです。」
そう言って悠然と微笑んだのだと言った。


うわーー!!
うーーわーー!!

すっげぇ嬉しい!
すっげぇ嬉しい言葉なんだけど。
同時に俺は。
ガクブルっと背筋が凍ったのだった。

終始笑顔で会話していると思ったその裏で。
そんな口戦が行われているなんて!
女ってやっぱ怖いわ。
(汗笑)

合掌