俺、もっと大人になるよ | 合掌

合掌

俺の生存記 

かなり久し振りに姉の自宅へ行った。
俺は姪に和楽器バンドのLIVEチケットを渡しに行ったのであるが。
姉にとって俺は飛んで火に入る夏の虫だったようだ。
俺に麦茶を出しながら姉は言った。
「アイツちゃん、三つ指ついて謝ったんだってね。」

姉は母の店で働いているので。
そういう話は筒抜けなのだ。
「アイツちゃんが私の気持ちをわかってくれて、
嬉しくて泣いちゃったってアイコが言うからさ、
はぁ?情緒不安定か!ってツッコミ入れたわ。」

『アイコ』というのは母の名前。
俺達は母の話をする時に母を名前で呼び捨てにする。
姉は母と一緒に働いていることもあり。
普段から母を名前でさん付けで呼んでいて。
ついでに言うと俺と姉はお互いを名前で呼び捨てにしている。

その話はもういいよと言うと。
俺にちゃんと言っておきたいことがあると姉が言った。
「kontaはお継父さんの養子になってるけど、私はなってないの。
(あれ?そうだったっけ?)
彼と入籍することになったからね。
ま、そういうことだから。
アンタはいつだって何でも一人で決めちゃうし、
決めたら突っ走るじゃんよ。
一人で決断するのは悪いことじゃないけどさ、何かある時には遠慮しないで、
お継父はちゃんとアンタのお父さんなんだから、何でもお継父さん達に相談すればいいの。
そういう意味でももういい加減に大人になりなって言いたかったの。
そういうのも親孝行になんだよ、アンタいつまでもアイコをヤキモキさせちゃだめじゃんよ。」

もしかして俺。
姉ちゃんに説教されてんのか?
うわマジか~
コイツだけには説教されたくないのに!(爆)

「でもまぁ、白紙に戻して正解だと思うよ。
30年もすればアッチの親もこの世にいないでしょ。
家建てるのはそれからでもいいんじゃない?(笑)
それまで貯金したらさ、キャッシュで家建てれるかもよ。
今の世の中不安定だからさぁ、住宅ローン払ってる途中で
会社が潰れることだってあるかもしんないじゃん。」

ちょっと姉ちゃん人の親だぞ。
この世にいないとか不謹慎じゃねぇか!
と言いつつ俺は笑ってしまった。
それも一理ある(笑)

「この際だから言っちゃうけど~、
私さぁ、アイツちゃんて結構性悪なとこあると思うよ。
親の面倒をみたいから一緒に暮らしたいなんて言うならさ、
一生独身でいればいいのにって思っちゃうよ。
ハッキリ言って自己中じゃん。
じゃあウチの親の面倒は?って言ったら、
絶対キョトンとした顔して終わりだよ。」

おいコラ。
調子に乗ってんじゃねぇぞ。
姉ちゃんでもアイツの悪口は許さねぇ・・・と言おうとしたが。
次に言われた言葉で俺はぐうの音も出なくなった。

「一番の原因はアイツちゃんを妊娠させたアンタだもんね。
konta本当にしっかりしなさいよ!」

南無妙法蓮華経

親の老後のこと介護のこと。
まだ先のことのようであるが考えなければいけない。
姉が言っていたのだが。
「子供にも夫にも自分の下の世話だけはさせたくない。
実の娘でもおまたは絶対に見せたくない。
お嫁さんとは楽しく会う関係がいい。
介護はプロの世話になるつもりだ。」
母はそう言っていたと言う。

親が本当に何を望んでいて。
どう暮らしていきたいのか。
そんなことを俺は聞きもしないから。
当然全くわからない。
自分からもっと親とコミュニケーションをしなければいけないと初めて思った。

親の老後。
自分の老後。
将来のことは誰にも予測はできない。
どういう生き方をしたいのか。
自分はどういう最後を迎えたいのか。
最後の日までの人生設計をきちんと考えなければならない。
言うなれば。
己のリスクマネジメントを考えるということだ。
継父さんが言っていた「長期的な視野に立って考える」
という意味が。
改めてわかった俺である。

合掌