今日の読書感想文『PAY DAY!!!』 | 合掌

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俺の生存記 

今日の読書感想文はこれ。

PAY DAY!!! (新潮文庫)/山田 詠美

¥620
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ペイ・デイ、給料日。
それは何があろうと、ほんのちょっとだけ、
みんなが幸せになれる日。
双子の兄と妹は高校生。
ちょっと不器用、でも誠実に生きている二人に訪れる、新しい出会い。
別れ。恋。家族の問題。
そして、大切な人の死・・・・・。
新たな青春小説の古典の誕生!
ゆったりと美しいアメリカ南部を舞台に、
たくさんの生といくつかの死が織り成されていく、堂々たる長編小説。

(裏表紙あらすじより)
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主人公の双子のハーモニー(兄)とロビン(妹)は16歳。
ストーリーはロビンの視点とハーモニーの視点で描かれている。
両親の離婚によりハーモニーは父とサウス・キャロライナで。
ロビンは母とニューヨークでそれぞれに暮らしていたが。
9・11同時多発テロにより母を亡くしたロビンは。
再び父と兄と一緒に暮らすことになった。
同居している祖母とアルコール依存症の叔父。
家族との関わり。
ロビンとハーモニーと父親それぞれの恋愛。
友情。
将来のこと。
テロという理不尽な母の死と向き合いながら。
恋に悩み家族の絆を深め成長していくストーリーで。
ストーリーの中にテロ以外にも人種問題を絡めながらも。
読後感は爽やかだった。

この作品を読んでみて俺は改めて思い。
感じたことが3つある。

いざという時頼りになるのはやっぱり家族だけど。
その家族もまた周りの人に支えられていて。
人は人と関わりを絶っては生きていけないということ。
精神を熟成させていくことが大人になるということで。
それは年齢を重ねることに比例しないということ。
そしてもうひとつは。
山田詠美の小説を読むと恋愛がしたくなる!(笑)
ということだ。

初めて恋愛小説を読んだのは山田詠美の。
「放課後の音符」だった。
高校時代からの遊び仲間の女友達がいて。
その友達は見た目とは裏腹に文学少女で(凛、俺のブログまだ見てる? 笑)
この本を読むよう猛烈プッシュされたのがキッカケだった。
そして俺は衝撃を受けたんだ。
本を読んで胸がキュン!!となったのはこの本が初めてで。
中でも。
夏休みに行った沖縄の島で。
耳も聴こえない口もきけない男の子と恋をする女子高校生の。
切ないラブストーリーに俺はノックアウトされた。

俺の中には恋愛小説=ハーレクインロマンス・・・みたいなイメージがあって。
御幣のある言い方をしちゃうけどゴメンナサイ。
恋に恋する女子供が読むモンみたいな。
そんな感じで自分のジャンルには無かった。
だからほんとに。
山田詠美の小説は俺には衝撃的だったし。
俺の中の恋愛小説のイメージは払拭されたけど。
今では恋愛小説=山田詠美って感じになってしまった(笑)
とはいえ。
山田作品全てを読破するワケでもなく。
「放課後の・・・」以外に持っている本は。
「ぼくは勉強ができない」という本だけで。
この2冊を俺は何度も繰り返し読んでいる。
そしてこの「PAY DAY!!!」も。
そのローテーションになるだろう。

南無妙法蓮華経

両親の離婚。
母親の再婚。
実父の死。

この作品を読みながら。
俺は自分の経験を部分部分重ね合わせた。

母親を亡くしたロビンとハーモニーを心配して。
ロビンの恋人は彼女に会いに。
ハーモニーの恋人は彼に電話を掛ける。
ふたりは恋人に会えたことを声を聞けたことを嬉しく思い。
同時にそんな自分を不謹慎だと恥じる。
でも。
それこそが素直な気持ちじゃないだろうか。

楽しかったり嬉しいことばかりで生きてはいけない。
辛かったり悩んだり。
悲しかったり怒ったり。
でもそんな時だって腹は減るんだよね(笑)

ペイ・デイ、給料日。
それは何があろうと、ほんのちょっとだけ、
みんなが幸せになれる日。
あらすじに書かれているこの言葉は何気に深い。

みんなしやわせになるために生きている。

合掌