今日の読書感想文。
13冊目はこれ。
魔性の子 (新潮文庫―ファンタジーノベル・シリーズ)/小野 不由美
¥620
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教育実習のため母校に戻った広瀬は、
教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。
彼をいじめた者は“報復”ともいえる不慮の事故に遭うので、
“高里は祟る”と恐れられているのだ。
広瀬は彼をかばおうとするが、次々に凄惨な事件が起こり始めた。
幼少の頃に高里が経験した“神隠しが”原因らしいのだが・・・・・。
彼の周りに現れる白い手は?
彼の本当の居場所は何処なのだろうか?
(裏表紙あらすじあらすじより)
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まぁなんていうか。
とにかくこの本。
人が大量に死ぬ。
死に過ぎる(苦笑)
主人公の高里要。
彼にはなぜ死がつきまとうのか?
彼は一体何者でどんな力を持っているのだろうか?
彼の側に現れる白い手は一体なんなのか?
淡々と事実を受け止める彼の奥底にある本当の気持ちは?
ページをめくるごとに彼を知りたいという気持ちが加速し。
それと同時に。
クライマックスへの期待も加速していく。
読み手の“知りたい欲”を刺激するのが巧い作者だと思う。
のだが・・・・・。
俺の期待はものの見事に玉砕され。
結末にポカーンとなった。
まぁ。
こっちの期待が勝手に加速していただけだと言われりゃそうなんだけどね(笑)
ネタバレになってしまうけれど。
高里は人間じゃなく。
実は異世界からやってきた“麒麟”でした。
ってラストじゃ納得いかないわ!!
俺がバカ殿なら尺八の音とともに。
「オマエ。それはないだろう~」って。
扇子をポトリと落としてるぜ?(笑)
南無妙法蓮華経
上橋菜穂子の『狐笛のかなた』を読んでから。
ファンタジーもすごくいいものだなぁと印象が変わり。
読書のジャンルの幅が広がったように感じて嬉しかったのに。
ファンタジーっつうのはやっぱどこか強引だし。
結局何でもアリなのかとガッカリしてしまった。
“ファンタジー落ち”じゃなければとてもよかったと思うだけに。
俺の中では非常に残念な作品だ。
両親にも疎まれクラスメートからも避けられても。
静かにただ耐える高里の姿は切なく。
教育実習生・広瀬の。
臨死体験をしたゆえに自分の現実を受入れられず。
異世界に焦がれる思いと。
「帰るべき世界」を持つ高里への嫉妬と羨望も哀しかったし。
「帰る世界を持つ高里」と「現実世界で生きる広瀬」の対比も良かった。
恐怖に怯え高里を攻撃する人間のエゴが。
実はこの世で一番怖いんじゃないかと思ったし。
だからこそ。
あのラストが俺には納得できなかった。
おまけに。
この作品の方が書かれたのは先だけど。
作者の著書に『十二国記』というシリーズがあり。
本書はそのサイドストーリーに位置するということを後で知って。
俺は更に脱力したのだ。
ファンタジー作品って。
俺の中では暴れ馬みたいなモンで。
振り落とされるのを覚悟で乗ってやっぱ振り落とされる。
・・・みたいな?
なかなか一筋縄ではいかないジャンルだわ(笑)
合掌