夏真っ盛りです。
オリンピックも始まりまして、各地で夏のイベントが盛り沢山ですねぇ。
立派な入道雲をよく目にします。
来週はとんでもなく暑くなるらしいですよ💦
暑いというか熱いという感じになるのではないかと心配です。
ぜひみなさん涼しいところで冷たいものを食べましょう🍧
本日は「青菜」というお話です。
「符牒」(ふちょう)というのがいろんな業界にありまして、合言葉のようなものですね。
例えば警察が犯人をホシと言ったりするようなやつ。
外部の人間に気付かれることなく会話や職務を進めるという狙いです。
今では普通に使ってる「ヤバい」とか警察とか刑事の意味の「デカ」っていうのももともとは符牒なんですよ☝️
賭博場で使われていた言葉です。
捕まらないようにサッと隠したりパーっと逃げられるようにしてたんでしょうが、現代で
「デカだ❗️ヤバい❗️」
なんて言うとそのまんまで何も隠せてませんが。笑
〜ストーリー〜
暑い夏の一日☀️
あるお金持ちの家に出入りしている植木屋さん。
一仕事終えた時、家の旦那が声をかけます。
「植木屋さん、精が出ますなぁ。
いや〜お前さんの仕事は気持ちがええ。
最初の水撒きから作業1つ1つが丁寧や。
たまにはこちらで一杯飲まんかね?」
「あっ、旦那。
酒ですか。ありがたいですねぇ♫
じゃっ、お言葉に甘えます」
中へ入り、座ると酒が出てきます。
「これは柳蔭(やなぎかげ)という酒や。
遠慮なくやっとくれ」🍶
「へへ。こりゃどうも…あれっ?
これって『直し』と違いますか?」
「直し」というのはみりんに焼酎を加えたもので、この時代よく民間では主に冷用酒として飲まれていました。
「そう。別の名で柳蔭と言うんや。
ずっと太陽に当たって仕事してたんやろ。
口の中も渇いて熱があるやろうから、冷たく感じて飲みやすかろう?」
「へぇ〜。『柳蔭』ねぇ。
さすが上品な家は違いますなぁ。
飲み慣れた酒でも名前が違うだけで何となく風情もあって涼しくなる気がしますわ♫」
「肴も付けといたから食べておくれな」
「おっ!刺身ですか♫
これは何の魚です?
氷の上に寝てますけど、具合でも悪いんですか?」
「それは鯉の洗いや。
食べる時に身がキュッと締まるように氷の上に乗せてるんや。
美味いぞ」
「コイ⁉️
へぇ〜。鯉って白身なんですねぇ。
どれどれ…おっ、うまい❗️
氷でよぉ冷えてて、確かに身が締まってます✨
もう一切れ…んん〜こりゃ美味いですね‼️」
「白身が淡白で美味いやろ。
ハハハ、そんなに喜んでもらえたらこっちも嬉しくなるなぁ。
んっ?お前さん刺身に何も付けないのか?」
「えっ?あ、しょうゆ忘れてた。
美味いけどなんか足らんなと思ってました。
…この端っこに盛ってある緑のやつはなんです?」
「そりゃわさびや。
八百屋に置いてるじゃろ?
なんかこうおかしな形した…あれを擦りおろして添えてあるんや」
「へぇ…あのソテツがわさびやなんて植木屋やってて知りませんでした」
「いやソテツではないけども😓
刺身につけて食べてみぃな」
「どれどれ…ウワッ!
はっ、ハニャが…❗️」🤧
「おやっ、わさび苦手か。
酒、酒!酒で流してしまい!」
「グビグビ…プハーッ。
いや〜えらい目に遭った💦
本物のわさびってのは凄いですね」
「本物っていうのもおかしいけども😓
苦手やったか。すまんすまん。
ところで植木屋さん。
お前さん、青菜は好きかな?」
「あっ、いいですねぇ✨
大好物です」😋
「そうか。なら口直しに持ってこさせよう。
おーい、奥や。
ちょっと来ておくれ」
パンパンと手を叩いて奥さんを呼ぶと青菜を持ってきてくれと頼みます👏
すると奥さんが旦那の耳元で言いました。
「旦那様…鞍馬から牛若丸が出でまして…。
その名(な)を九郎判官(くろうほうがん)…」
「おぉ…そうかそうか。
では義経としておこう」
そう2人がヒソヒソと言葉を交わすと、奥さんは部屋を出て行ってしまいました。
「旦さん、どなたか来はったんですか?
お忙しいようでしたら私お暇(おいとま)しますさかいに、お構いなく」
「あぁ、いや、すまんすまん。
これはワシと妻のいわば符牒でな。
例えば今みたいにその場で客に出そうとしたものがもう食べてしまって無い時なんかはああ言うようにしてるんやよ。
名を九郎判官…つまり名前の『名』は『菜』。
九郎判官の『九郎』で菜は『食ろうた』となる。
まぁ直接無いって言うてしまうと、ワシも客人もお互いに気まずい思いせなあかんやろ?
だから相手に失礼の無いようにこういうことをやってるというわけや。」
「へぇ〜っ!面白い!
さすが御大家は違いますわ。
ウチのカカァやったら無いのを外に撒き散らすぐらい大声で騒ぎまっせ😫
九郎判官に義経やなんて洒落てますね〜!」
酒肴をペロッと平らげまして、旦那にお礼を言って帰る道すがら。
あの義経のくだりがやりたくてやりたくて仕方ありません。
帰って自分の妻にその話をすると鼻でフンッと笑われ、
「そんなことぐらい私かて出来ますがな。」
「おっ、そうか?
ほなオマエは菜が無い時これ言うか?」
「3日前に買ったもんがいつまでもあるわけないやろ、このハゲネズミーっ‼️💢
…って言う」
「ドサクサにまぎれてハゲネズミとはなんや…。
あのなぁ、オマエはそうやって何でも外に聞こえるぐらい叫ぶなっちゅうに
向こうの家は上品なもんやで。
仮に来客の際にもそうやって失礼の無いようにするんやから。
ウチも見習っていっぺんやってみよ。
このあとタケが風呂に誘いに来よるから」
「やってみよって…この一間のウチで私どこにおったらええの?」
「あ、そうか。
え〜と…じゃ押入れにでも…」
「この真夏の暑い中、押入れいとかなあかんの⁉️」
「まぁ今日だけ付き合えって!
食い物もあるもんだけでかまへんから」
やいのやいのといいながら奥さんを押入れへ押し込みます。
「おーい、風呂行こか」
「おっ、待ってたで♫
今日は酒ごちそうしたるわ」
「ホンマか⁉️珍しいなぁ。
オマエから奢られることなんか滅多に無いで」
「この酒は柳蔭といってな…」
「ああ、『直し』のことやろ。
暑い日はうまいなぁ、グビッ」🍶
「先言うなよ…。
この鯉の洗いも食べとくれよ植木屋さん」
「う、植木屋?植木屋はオマエやろ。
ワシ大工やで。
それにこれ…イワシの煮たやつやないか。
いやまぁ食べるけどもやな…」
「ところで植木屋さん。」
「植木屋はオマエや!」
「お前さんは青菜は好きかな?」
「いや、嫌いやあんなもん。」
「え…いや、あの…菜はお好きかな?」
「嫌いやっちゅーとるに!」
「そこを何とか好きやと付き合え!」
「なんじゃそら…?
ほなまぁ…好きや」
「ほな菜を出そう」
「いらんっちゅうに‼️」
「まぁまぁ。
これこれ、奥。奥や」
パンパンと手を叩くと奥さんが押し入れから汗びっしょりになりながら襖をガラッと開けて
「た"ん"な"さ"ま"ぁ"〜」
「ギャーッ‼️
…ってオマエのカカァやないか。
ビックリするやないか。
なんでそんなとこから…?
汗びっしょりやで💦」
「おお、奥か。
菜を持ってきなさい」
「ゼェゼェ…だ、旦那様。
鞍馬から…牛若丸が出でまして…その名を…九郎判官、義経」
「よっ、よしっ…⁉️
えーと…弁慶にしておけ」
〜終〜
さて、いかがでしたか?
後半は漫才調のお話でした♫
今の時代なら柳蔭はビールで青菜は漬物という感じでしょうかね?🍺
冷たい飲み物・食べ物が非常に美味しい…というかそれくらい『涼』を取らないとやってられるかぃというこの夏はまだ長そうですね💦
摂り過ぎはもちろん良くないですが、熱中症で倒れるよりはマシです。
皆様、体調にはくれぐれも気をつけてください🍀
ではまた(^^)
本物の鯉の洗いが観たい方はこちらをどうぞ↓