滋賀県は琵琶湖、彦根城が非常に有名なところですが、その他にも観光名所がたくさんあります♫
名所の1つに膳所(ぜぜ)という地名があるのですが、ここにはもともと膳所城というお城があり、ここからこの近江八景が全て見渡すことができました。
その膳所城から時の関白公が和歌を詠みながら、この「近江八景」の場所を選出したそうです。
ところが、この膳所城🏯
あくまで「ここから見た景色の場所」がメインですので、残念ながらこの膳所は近江八景の中には名前がありません。
近江八景とされる名所は下記の通り。
①石山の秋月(しゅうげつ)(石山寺)
②勢多(瀬田)の夕照(せたのせきしょう)
(瀬田の唐橋・せたのからはし)
③粟津の晴嵐(あわづのせいらん)(粟津原)
④矢橋の帰帆(やばせのきはん)(矢橋の港)
⑤三井の晩鐘(みいのばんしょう)(三井寺)
⑥唐崎の夜雨(からさきのやう)(唐崎神社の松)
⑦堅田の落雁(かただのらくがん)
(満月寺の浮御堂・うきみどう)
⑧比良の暮雪(ひらのぼせつ)(比良山地)
昔はこういった観光地など人が集まる場所には必ず易者(えきしゃ)、占い師がいました。
易者によっては普段は高額な見料を取って、特別な催しがあれば「3日間だけは特別鑑定」として安く占っていた易者もいましたが、大半はそんなに高名な易者ではなかったようです。
〜ストーリー〜
遊廓のあった場所として有名な大阪・松島。
そこに紅梅という花魁がいました。
その紅梅に惚れ、入れあげている男…。
要は通いまくって貢いでいるわけですね。
その男に八卦(はっけ・占い)を見に付き合ってくれと言われた友人。
「八卦って…何を見てもらうんや?」🙄
「これや」
「小指立てたってことは…どこの女や?」
「どこのって知ってるやないか。
いつも通ってる松島の女や」
「はぁ…ホンマに堪忍してもらうわ。
オマエ…松島の女って言うたら女郎やぞ?
『騙します』って看板上げるのがああいう商売や。
ああいうとこでは騙したやつがえらい、騙されたやつがアホやと言うことにされる。
あんなとこで言われたこと本気にしてんのか?」
「当たり前や!
来年の3月に年が明けたらワシのとこへ来るんやから」
「来ぇへん来ぇへん。そんなもんやめとけ」
「オマエ…ワシとあいつの仲がええから悋気(りんき、嫉妬)でそんなこと言ってるんやろ?」
「アホ!何でワシが悋気せなあかんねん。
あのなぁ…これだけは可哀想やから黙っといたろうと思ってたけどもなぁ。
この前、独りもんばっかりで店へ行ったんや。
オレもオマエも同じ店やろ?
馴染みがあるからそこへ連れて行った。」
「松島行ったんかい!
ちょっと誘ってくれたら…」
「道端で松島なんて大声で言うな!
そこでワシは相方の女と部屋におったんや。
その時に
「ちょっとあの男の人見てみなはれ。
あれが紅梅はんのホンマの間夫(まぶ)はんやから、ちょっと顔見てみ」
ってな。
オマエの通ってる女、何て名前やった?」
「オマエ知ってるやないか…こ、紅梅や」😒
「そうやろ。
その間夫がある女も紅梅っちゅうんや。
なにか?あんな小さい店に紅梅が2人、甲と乙にでも分けてんのか?」
「皮肉なこと言うな。
そんなもん1人に決まってるやろ」
「そうやろ!
ワシもそんなもん面白くないやないか。
別に男なんざ見たくはないけど、友達が必死に通ってる女にどんな間夫がおるんかと思ってな。
その男の顔をひょっと見た!
いや〜…感心も得心もしたわ」
「どんな顔や?」
「ええ男もええ男。役者みたいなええ男や❗️
どことなく苦味が走ってて油断のならんやつやなぁという雰囲気もある。
その割に他の女に声かけられた時にニコッと笑った顔にはこぼれるような愛嬌❗️
「紅梅はんは年季を延ばしてまであの人に随分貢いではるんやし」
女郎が1番の楽しみは年季が明けることや。
それを延ばしてまで入れあげてる。
『男の惚れる男でなけりゃ、婀娜(あだ)な年増は惚れやせん』って言うやろ。
こりゃホンマにええ男やなぁ〜!
…と、感心したところにオマエの顔を思い出したんや。
ゾォ〜っとしたな」
「ゾ〜っとする顔なんかあるかい!」
「あるんや、それが❗️
ワシとオマエは小さい頃からの付き合いや。
つまりワシはオマエの顔に慣れとるわけやな。
しかし冷静に考えたら不都合な顔やで、オマエの顔は…😰
あぐらかいてる鼻ってのはあるけど、オマエの鼻は両脚放っぽらかしてるわな。
デコは出てるわ、ほっぺたもせり出してるわ、口は裂けたようにガッと開くわ…!
なんとかならんのか、それ⁉️」
「何ともならんわい❗️
人の顔ボロクソに言いやがって…!
もし易者に見せて「オマエと女はホンマもんや。
来年3月いっしょになる」って言われたらオマエどうする⁉️」
「まともな易者やったらそんなことは言わんわい!
もし言ったら?
ハンッ、ほなこの首でもやるわ❗️」
「抜かしたな⁉️その一言忘れるなよ‼️
バカにしくさって、ホンマに…。
コラ、易者‼️」
「何じゃな?」
「あんまりバカにすな‼️」💢
「ワシは何もバカにしとらんが…?」
「あっ、ああ、そうや。
ちょっと話するから聞いてくれ!」
「ああ、待て待て。
黙って立てばピタリと当たる大観堂じゃ。
察するところオマエは女のことで来たな?
それも素人じゃないな…玄人。
それも芸妓じゃあるまい。女郎の類か?」
「うまいっ!この人は名人やなぁ〜。
黙って立っただけでそこまでわかるか!
そっ、それからどうなる、それから⁉️」
「いや、そこから先は聞かねばわからん」
「そうか。まぁここまで当てたんやから信用して言うけどな…」
紅梅との馴れ初めからずっと通っていることを話し始めました。
「で、すっかり店とも馴染みになったんやけどな。
ある日紅梅がなんか浮かん、陰気な顔をしてるからどうしたんやと聞いたんや。
そしたら
「来年3月年が明けるんやけど、あんな草深い田舎へ帰って、私みたいなこんな稼業してたもん、あの村で世間に気兼ねしながら肩身狭く暮らさないかんと思うと…」
そんなこと言うからワシが『そんな田舎へ帰らんでも、オマエほどの女やったらいい男選んでこっちで所帯持ったらええやないか』と。
「何を言いなはんねん。
こんなとこへ遊びに来るお方は嬉しいことは言うてくれるけども、私みたいな女にまともに、真剣に言うてくれる人はいてへんの。
それは諦めてんのやけど、それでもあんたみたいな真実味のある人は他におらんさかいに、あんたに会えんようになるのが寂しいの」
「おいおい、そんなこと言ってワシを喜ばせてもらわんでもええんやで」
「いいえ、これは本当のこと。
顔や形やお金の有り無しとは違います。
あんたほど真実味のあるお方は…他に…」」
「お、おいおい。泣かんでもよい。これっ」
「そんなこと言うんやったらワシャ本気にするで。
来年3月ワシのとこへ来てくれるか?」
「あんた…その言葉、ホンマに?
当てにしてよろしいんか?」
「当てにするも何も…‼️」
「あっ、これこれ!台を抑えてはいかん!
こりゃ板が置いてあるだけなんやから…。
で、つまりは???」
「だ、だから来年3月年季が明けたらこの女がワシのとこへ来るのかどうか。
ホンマもんなんかを見てもらいたいんや。
せやのにコイツがあの女には間夫があるとかいうから、どういうこっちゃ⁉️」バンッ!
「叩いてはいかんと言うに!
うむ。わかったわかった。
ウォッホン…あ〜…歳は何歳じゃ?
ふんふん…ふ〜む、ぶつぶつ…ふむっ。
ははぁ…なぁ〜るほど。」
「わぁ〜かるか???」
「いらんことは言うな。
易の表には『タクカカク』と出たな。」
「そうか!見てみぃ❗️」
「何が見てみぃや???」
「易者が『あったかく』と出たと言うた。
ワシと紅梅の仲が温かいからや!」
「違う。温かくではない。『タクカカク』。
タクは沢、カは火、カクは革命や変革の革。あらたまるという意味じゃな。
沢辺に燃ゆる火が新たに燃ゆるものを得て勢い盛んに立ち昇る。
これは良い卦じゃ。
女は間違いなしにオマエのところに来る!」
「おおきに、ありがとう!
さぁその頭引き抜いたるから出せっ!」
「まぁ待て待て。
易は変化というものも見なければいかん。」
「気に入ってるんやから変化なんかいらんけど?」
「いやいや、これが大事なところじゃ。
ふ〜む、水火既済(すいかきせい)と出た。
これも良い卦なんじゃが…この場合はちと面白くないな。
ふむ…察するところその女に間夫があって、本当はそちらへ行きたいのじゃが今は何か事情があって行けんので、一時の足だまりとしてオマエのところを選んだに違いない。
隙を見てそっちの間夫へ走ろうというのではないかなぁ?
うんっ、そうに違いない。
まぁそういうと騙され顔をしておる。
ホッホッホッ」
「コラッ!誰が騙され顔や!
何ちゅうこと抜かすねん、バカにしやがって…!
よ〜し、ほんならここに女からもらった手紙がある!
これを読んでみてくれ、これを❗️」
「ほう。これを読んでよいのじゃな?
なになに…」
恋しき君の面影を
しばしが程は三井(見い)もせで、
文の矢橋の通い路や、
こころ堅田の雁ならで
我、唐崎に夜の雨、
濡れて乾かぬ比良の雪
瀬田の夕べと打ち解けて、
堅き心は石山の、
月も隠るる恋の闇
粟津(逢わず)に暮らす我が思い
不憫と察しあるならば
また来る春に近江路や
八つの景色に戯れて
書き送り参らせそろかしく
「ふ〜む、なるほど。
こりゃあ近江八景を読み込んだ、なかなかの名文じゃな。」
「どうです、先生?
ホンマもんでっしゃろ⁉️」
「いや、待て待て。
この文の表にて判断をすればじゃなぁ。
最初、先の女が比良の暮雪ほどおしろいを塗り立てたのをオマエが一目三井(見い)寺より、我が持ち物にせんものと、心矢橋に早って唐崎の夜の雨と濡れかかっても、先の女が石山の秋の月じゃゆえ、文の便りも堅田より(片便り)。
それにオマエの気がそわそわと浮御堂。
その女も根がどう落雁(道楽願)の強い女じゃゆえ、とても瀬田い(世帯)は持ちかねる。
こりゃいっそ、粟津(逢わず)の晴嵐としなさい」
「は、はぁ…さよか🤥
ほなおおきに、ありがとうさんで」
「こりゃこりゃ、見料を置いていかんか」
「アホらしい。
近江八景にぜぜ(膳所)は要りまへんのじゃ」
〜終〜
さて、いかがでしたか?
読む側にも少しトンチを利かせながら進んでもらわないといけない演目ですね💡笑
ちなみに「ぜぜ」というのは子供の言葉でのお金のことです🤑
あと最初に説明した膳所城。
残念ながら現在は解体されており、城跡となっております。
この話個人的にけっこう好きなんです。
当時の人の感性が見えたり、日常にその地域のものがしっかりと根付いている感じがして何ともいい味がします😃
この落語の本編では舞台はずっと大阪ですが、この演目を聴いていると琵琶湖の湖畔の風景なんかがイメージとして浮かんでくる✨
あとこの演目をやる時の導入部分があるのですが、その導入のお話からこの本編までで近江のキレイな景色が当時の人達からも大変楽しまれていたというのがよくわかります♫
落語や小噺とはまた違うのですが、そのお話はまた別の機会にお届けしようかなと思っております🍀
数年前に近江旅行しましたが食べ物は美味しい‼️
(近江牛に近江米、クラブハリエなど✨)
この演目の通り景色もいいし、とてもいい旅行でした♫
(当時はこの近江八景を知らなかったので、別の場所の西洋建築を観光したりしました)
魅力がいっぱい滋賀県❗️✨
これから春の暖かい季節に旅行など計画される方は近江旅行でもいかがでしょうか?🚙
観光大使の話でもこないかな?笑
ではまた(^^)