「羅生門河岸」(らしょうもんかし)


あの有名な遊郭、吉原の中でも最下層と言われる場所です。
アニメ鬼滅の刃で少し話題になりました。

本日はこの羅生門河岸が主な舞台。


〜ストーリー〜
吉原の大店で働く客引きの男と遊女。

客が取れずに泣いている遊女を男が慰めているうちに恋仲となりました👩🏻‍❤️‍👨🏻

しかし遊郭で働く者同士の恋は御法度。
それにこの世界の酸いも甘いも知り尽くした店の女将さんにはすぐにバレてしまいます🧐💡

ところがこの女将さん。
面倒見がよく情のある人で、2人を追い出すことはしません。

2人に所帯を持たせ、男はそのまま客引き。
女の方は遊女をやめ、客と他の遊女の間を取り持つ役目…やり手婆というやつですが、これで2人を店に残してやりました。

店ではタダで食事も出るし風呂もある。
そこへ2人の共働きで生活に余裕が出ます。
特に女の方は恩もあってか一層よく働いておりました。


ところがところがこうなると悪い癖が出るのが男の方…💦

初めは呑みに行くだけだったのが別の街の遊郭へ遊びに行く。
博打に手を出して、スッテンテンになって帰ってくるということも増えてきました🍶🎲


せっかく貯めた金が無くなってくる。
すると家財道具を質屋に入れ、その金でまた博打をして負けて帰る💸

負けを取り戻すためにまた博打がやめられなくなる。
普通に働いてたんでは返せないからとさらに借金してまた負けて、膨らんだ借金がまた大きくなるという悪循環。

とうとう店を無断で休むことが増えてきます。
女の方は店に行きますが、

「またあの男は休みなのかい?
勝手に休まれちゃ困るんだけどねぇ」えー

と言われると言い訳も出来なくなってきて、こちらもまた気まずくなって店に顔を出せなくなってしまいました。


「あんた…どうするんだよ?
金も底を尽きて、質屋に入れる家財道具も無い。
もう2人とも店には戻れないよ?
どうするんだい⁉️」

「いや、あの…すまねぇ…。
でもな、実は知り合いからケコロの店が1つ空いてるからそこで商売しないかって言われてるんだ。
オマエ…どうだい?」

「どうだいってアンタ…まさか私に遊女に戻れって言うの…?
それにケコロがどういうとこかわかってるんだろうね⁉️」


『ケコロ』…吉原の最下層の一角。
『羅生門河岸』という場所です。
ここがどういうところか?

ふらっとそこに入れば客引きに声をかけると同時にガシッ❗️と掴まれて店に引っ張り込まれるようなところ。

酔った若い男数人がわざと通りに入り、
客引きの掴みをサッと避けて通りを抜ける。

「お〜怖ぇ、怖ぇ!
面白かった。もう一回やろう♫」

…なんてスリルを味わうために遊ばれてしまうような場所。

客を店に蹴り転がすから通称ケコロと呼ばれています。
それくらい強引な客引きということですね。


店に入れば料金はわかりやすい💸
線香が1本燃え尽きるまでがいくらというやつ。
なので、線香が無くなる頃に店の主人が

「直してもらいなよ」

…と声を掛けます。
するともう1本線香が燃やされ、遊女は客に帰る隙を与えないように話をする。
そしてまた線香が無くなりそうになれば声を掛けるの繰り返し。

しかしケコロは本当に店の質も悪く、入れば取れるものは全て取られる(盗まれる)というようなとんでもない場所です。


「アンタ…私が遊女に戻って平気なの?」

「平気なわけないだろう…!
でもそこでやらなきゃもうどうしようも無いんだ」

「バカ!違うよ。
平気じゃないと困るんだよ。
私が客に気を持たれるように好きだとか惚れたとか言わなきゃならないのに、アンタがヤキモチなんて焼いたら困るんだよ!」

「そ、そうか。
そりゃ、オマエ…平気だょ。
そんなことくらいできなくてどうすんだ」

「そうかい。なら私はやるよ。
アンタは他に取られないように死ぬ気で客引かなきゃダメだよ❗️」


こういう時は女性の方が度胸があったり肝が座っていたり…仕事と割り切る切り替えが早いですね。

久しぶりに遊女の化粧をした女の姿。


「はぁ〜…ちょいと歳食ったとはいえ、こんなところにいたらまさに掃き溜めに鶴だな」デレデレ

「感心してないで、アンタは客を引っ張ってきな」プンプン


男は客引きに外へ出ますが、さすがケコロ。
今までのように簡単じゃありません。

そこへ1人、いかにもガラの悪そうな体格のいい男の酔っ払いが歩いてきます。

他の客引きが行こうもんなら

「触んじゃねぇ!離せ、この野郎!」

とパッと振り払われてしまいます。

覚悟を決めて男が酔っ払いの腕にしがみつくように声をかけます。

「ちょっ、ちょいと旦那!
ウチ来てくださいよ!」

「離せ、この野郎!
こんなケコロに用は無ぇんだよ!」

「いや、そう仰らずに!
ウチにはキレイなのがいますから!
ねっ、ねっ!」

「キレイなの〜?
こんなケコロにそんなもんがいるわきゃ無ぇだろう?
バカ言ってんじゃねぇや」

「いえいえ、本当に!
もう旦那が来たら喜んじゃうよ!
ほらほら、一目でいいから見て頂戴よ!」

「うるっせぇなぁ…そんなこと信用するわきゃねぇ…んっ?」


女が色っぽい顔でニコッと微笑みかけます。


「どけ…。
なんだ?あれか⁉️
ケコロにあんなのがいるのか」

「へへへ…どうです?
キレイなもんでしょ?」ニヤニヤ

「ははん…そんなこと言ってあれは看板で中に入ったらバケモンみてぇなのが出るんだろ?」

「看板じゃないわよ。
ちょっとこっちいらっしゃいよ。ね?」

「ヘッヘッヘ…呼んでやがるぞ。
わかった。しょうがねぇなぁ。」

「まぁっ、冷たい手してるじゃないか。
どこで浮気したの?」

「浮気なんざしてねぇよ。
なんでオマエみたいなのがこんなとこにいるんだ?」

「なんでって…アンタのこと待ってたのよ」


さすがは元は玄人です…。
店に入るところから男の心を鷲掴みにしてしまいましたラブ
中へ入ると線香が燃やされ、また話に弾みがついていきます。


「よしっ。オレは左官でな。
人より稼いじゃいるが、今までずっと独りでいたんだ。
話はいくらもあったが、気にいるようなのがいなくてな。
全部断ってたところへオマエがいた。
どうだ?オレと所帯持たねえか?」

「いいけど、私の身には30両の金がかかってるからねぇ。」

「30両くらいどうってことねぇよ!
明日にでも持ってきてやらぁ」

「直してもらいなよ」🤥

「はいはい。ねぇ、お直しだけど…」

「ああ、いいよ。そんなことは構わねぇ。
じゃあ一緒になってくれるんだな?」

「いいわよ。お互い惚れてんだからさ。
でも私しつこいから逃げようったって離さないよ?」

「何言ってんだよ。
オレだって逃がさねぇぞ!
そんでさぁ…」

「…直してもらいなよ」😒

「はーい。お直しだよ。」

「構わねぇよ。
家に帰るとオマエがいてさ。
湯に行って帰ったら差し向かいで一杯やるんだ…たまんねぇなぁ、オイ♫」

「…直してもらいなよ!」プンプン

「はい。
でもさぁ、アンタ怒ると怖いんだろうね」

「そんなことはねぇよ。
他のもんには怖いかも知れねぇけど、その分オマエにだけは優しくするよ。
夫婦喧嘩もないぞ」デレデレ

「それじゃつまんないよ。
たまには喧嘩もしなきゃね。
お前さんにだったらたまには怒られたい♫」

「ホントかよ〜へへへ」デレデレ

「直してもらいなよ❗️」ムキー

「嬉しいねぇ…胸がドキドキしてるよ。
ちょっと手を貸してごらん」

「あ…?どれどれ…おお〜❗️
ホントだなぁ‼️」酔っ払い

直してもらいなよ‼️」ポーン

「じゃあ明日金貰って、明後日またここに来るからな!」

「わかった。じゃあ待ってるからね」


喜んで左官の男は帰ってしまいました。

ふと男の方を見ると、部屋の隅で三角になってうなだれていますチーン

「どうしたの、そんなとこへしゃがみ込んで?」

「やめだ、こんなことは…!
バカバカしくってやってらんねぇ!
オマエ…あいつのとこへ行くのか?」

「何?アンタ妬いてんの?」

「妬いてねぇ。
ただちょっと…いや〜な心持ちなんだ!
オマエ…あいつの手なんか握って顔見てる時の目つきは本物じゃねぇのか⁉️」

「…バカ❗️誰がこんなことさせてるの⁉️
オマエが悪いんじゃないか!
こっち見てみな?
こんな歳でベッタリ白粉(おしろい)塗って…みっともない。
ヤキモチ妬くくらいならハナっからやらせなきゃいいんだ。
『いやな心持ち』だって…?
亭主の前でこんなことする方がよっぽど…!
よっぽど嫌な心持ちだよ…私…もうやめる」えーん

「!😳
お、おいおい。すまねぇ。泣くなよ。
悪かった。オレが悪かったよ。
商売だとわかっててもあんまりオマエの芝居が上手いから、本当に向こうへ行かれるんじゃないかと心配になったんだ。
勘弁してくれ」🙏💦

「アタシ一生懸命やったのに…」えーん

「悪かった悪かった!すまねぇ。
オレはオマエと離れたくねぇから無理言ってるんだもんな。
惚れてるから妬くんだから。
オレがだらしねぇばっかりにこんなことになったんだ。
勘弁してくれよ。な。」


白粉が取れないように涙をそっと拭いてやる男。
昔、客が取れなかった頃に慰めたことを思い出します。

女の方もその時に男がとても優しくしてくれたことを思い出します。

「あの時は嬉しかったよ。
アンタと一緒になれて嬉しいよ

「オレだってそうさ。
どんなことがあったって離さねぇよ」

「ホントかい…今でも気持ち変わらない?」

「当たり前だろ。
オレたちは生涯一心同体だよ!」デレデレ

「おーい!おーい‼️

「さっきの人だわ⁉️😳
ちょっとどいてどいて。

なんだい、お前さん?♫
忘れもんでもしたのかい?」

「いや、そうじゃねぇんだ!」

「なんだい?」

「直してもらいなよ⁉️」

〜終〜
さて、いかがでしたか?(^^)

いずれこういう話は何かに引っかかってくるんじゃないかとちょっとヒヤヒヤしております。笑

女性の方も気が強くチャキチャキとした女性や、尻に敷かれっぱなしの男性もよく出てくるのも面白いところだとは思うんですがね。

ではまた(^^)