皆様、正月の初詣を含めて神社仏閣に参拝に行かれましたか?⛩🙏
参拝する前に手を洗いますが、あの手を洗う場所を手水舎(ちょうずや・てみずや)と言います。
「手水」
てみず・ちょうず
※テミズが訛ってチョウズになったそうです
てみず→テウズ→ちょうず
今は神社仏閣でしかほぼ聞かない言葉ですねぇ⛩
あとは昔にトイレの意味での手水場(ちょうずば)🚾
そしてもう1つ。
昔は朝起きた時に顔を洗うことを指していた言葉でもあったようです☀️
・お湯の入った銅の金タライ(当時は銅製のものを『あかのもの』と言いました)♨️
・現在の歯磨き粉の代わりに使う塩。
・そして歯ブラシ用の竹の棒🪥
この3点セットで朝の準備をします。
しかしこの場合の「手水」(ちょうず)は大阪のみで使われていた言葉だと言われております。
〜ストーリー〜
大阪からたまには遠くに行こうじゃないかということで旅をしてきた2人。
遠く離れた田舎の旅宿に泊まった翌朝☀️
「いやぁ〜やっぱりたまには遠くに来るのもええなぁ。
大阪の賑やかさも好きやけど、ここは空気もええし、鳥のさえずりで目が覚めるくらい外が静かや。
風で木々がさらさらと揺れてるし、窓開けて気持ちのええ緑に包まれながら手水でも使わせてもろたら朝からサッパリするで♫
おーい、誰か店の人!ちょっと来ておくれ」
「はーい、ただいま。
あぁ大阪のお方、おはようごぜぇますだ。
ゆんべはゆっくり眠れましたけぇの?」
「ああ、ゆっくり休ませてもろた。
悪いんやけど、この部屋へ手水を回してもろてええかなぁ?」
「はぃ?何でごぜぇますか?
チョ〜ズ?ここへ?
へ、へぇ、ちょっと主人と相談してからすぐ持ってきますで、お待ちくだせぇよ」
手水が何のことだかわからない女将さん。
宿の主人に相談しました。
「あんだって?チョ〜ズを回してけれ?
それだったら板場のキスケに言ってこぉ」
宿の料理人、キスケの元へ🔪
「何です、女将さん?
はぃ、チョ〜ズ?チョーズをまわす?
まずそのチョ〜ズってな何です?」
「旦さんに聞いたらキスケに聞けって言うもんだから。
チョ〜ズって知らんかい?」
「いや〜そんな料理作ったことねぇだな。
ちょっと旦さんに話してくるべか」
今度はキスケが宿の主人の元へ。
「あんりゃ、キスケ。
オメェでも知らねってか?
てっきり何かの料理かと思ったべな。
ふ〜む、そりゃ困っただな。
よし、じゃあ寺の和尚さんなら物知りだでわかるかもしれん。
和尚さんにでも聞いてくるべ。」
2人揃って近くのお寺を訪ねます。
「んっ?おお、宿の主人じゃないかね。
キスケさんと2人でどうしたんじゃ?」
「いんや、実は昨日ウチに泊まった大阪のお客さんがおりまして、『チョ〜ズをまわしてくれ』と言うとります。
ところがワシら2人そのチョ〜ズが何のこったかわからねぇだで、和尚さんなら知っとるかもしれねぇと思って」
「ふむふむ。チョーズか。なるほど。
チョ〜ズ…おおっ、そりゃきっと隣村の源兵衛のことじゃ💡」
「隣村の源兵衛?
あの人が何かしたんですけ?」
「源兵衛のこと知ってるじゃろ?
3尺(約90cm)の手拭いでほっかむりができねぇっちゅうくらいの長〜い頭でな。
チョーズっていうのは『長い頭』のことじゃ。
それを回すのが見てぇと、こういうことじゃろう。」
「?…そげなもん見て面白いのけ?」🤥
「そりゃ大阪まで噂が広まっとるんじゃ。
いっぺん見てきてやろうってなことじゃろう。
源兵衛を呼んで見せてやったらええ」
一方、部屋では手水を待つ大阪の2人。
「なかなか手水が来えへんな?🤥」
「ああ、ちょっくらごめんなすって」
「うわっ!誰や、あんたは⁉️
大きな頭やなぁ〜…あんたここの人か?
さっき女将さんに手水回すように言うたんやけど…」
「へへへ…オメェさん達がそうけ。
チョーズを回せって言うたそうじゃが、ホンマにワシみたいなもんでええんかのう?」
「えっ???
あぁ、そらまぁあんたがその役ならあんたで構わんから、早く手水回してや」
「へっへっへ…そったらたんと見るがええ!
そぉ〜ら、グールグールっと〜!
もひとつグールグール…!」
「うわっ!何や何や?![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
この人、頭回し始めたで!何してるんや?
早く手水回してんか?」
「おっ?もっと速い方がええんかの?
よっしゃ。ほれっ!
ギュゥーン、ギュゥーンと…どうでやす?」
「どうって…早く回してくれ!」
「まだ速く?目が回ってきただな…。
よ、よし。ビュワーン、ビュワーンと…!
こ、これでどうだべ?まだ足りねぇか?
ダッ、ダメだ…目が回って…う〜ん」![チーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/045.png)
![チーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/045.png)
バタっと源兵衛さんが倒れてしまいました。
「だ、旦さん❗️
あの大阪の人達、えらく怒ってお帰りになっちまっただ。」![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
「ありゃっ、源兵衛はどしただ?」![滝汗](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/039.png)
![滝汗](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/039.png)
「目ぇ回してひっくり返っちゃったんで、そのまま部屋で横になってます」
「いや〜旦さん。
ありゃあひょっとすると頭のことでは無かったようだべ。
和尚さんの言うことは当てにならねぇだ」😓
「おお、キスケか。
ふーむ、どうもそうらしいだな…。
んじゃチョーズってのは何なんだべ?
これから大阪のお客さんが来た時に同じことを言われたら田舎もんは何も知らねぇとバカにされても困るだなぁ。🤔
…よしっ、キスケ!
何事も実地で勉強するのが大事だ。
ここは2人で1度大阪へ泊まって、そこでワシらが『チョーズ回してくれ』って言ってみるべ!」
「ああ、なるほど。
そりゃいい考えでがすなぁ」![爆笑](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/001.png)
![爆笑](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/001.png)
そんなわけで2人大阪へとやってきました。
せっかく大阪へ来たのだからといろんなところを歩き回って見物をして、宿へと泊まりました。
さぁその翌朝☀️
「あの〜誰か、店のお人おらんけぇの?」
「はーい!あら、おはようございます。
どうなさいました?」
「ああ、女将さんかの?
ここへチョーズを回してもらえんかい?」
「ああ、手水ですか。
それじゃお2人分、お持ちしますね」![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/002.png)
![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/002.png)
「おっ、旦さん…!
さすが大阪では誰にも相談せずに持ってくるみたいだべ!」
「そりゃ本場なんだから当たり前でねぇか」
しばらくして…
「どうぞ、手水をお持ちしましたよ」
「はいはい。そこへ置いてくだせえ」
さぁどんなものが来るのかと思えば、湯のたっぷり入ったタライと、その横には竹の棒と盛り塩が添えてあります。
「…キスケ。こりゃなんじゃ?
こりゃどういう料理なんじゃろな?」
「銅の器とは立派なもんですなぁ」![ニヤニヤ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/037.png)
![ニヤニヤ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/037.png)
「器…というよりはタライじゃが…。
ということはやっぱり料理なんかのぉ?
ふ〜む、この塩はなんじゃろな?」![キョロキョロ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/016.png)
![キョロキョロ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/016.png)
「…そりゃ塩なんじゃから味付けのためじゃろうと思いますけぇのう?」
「味付け…?この湯に入れるんかのぅ?
よっ…と。この棒は???」
「きっとそれでかき混ぜるんでしょ。
んじゃ私が混ぜてあげますだ…よっ。
さっ、じゃぁ旦那様からどうぞ」
「ふむ…『回す』ってのはなんじゃ?』
「回しながら飲むんじゃなかろうかのぅ?
きっとそういう作法があるんじゃ、旦さん」
「なるほど…そんじゃまぁ先にやらせてもらうだども。
いやぁ初めてってのはドキドキするもんだなぁ♫
どれどれ…グビッグビッ。
う〜ん…?あんまり味がしねぇだな」🤥
「ああ、旦さん。そりゃそうだ。
上方ってぇのは味が薄口で上品なもんなんでごぜぇますだよ。」![ニヤニヤ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/037.png)
![ニヤニヤ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/037.png)
「ふ〜ん、そうかのぅ?
オメェにも半分残してやるけぇの。
ごくっごくっ…なかなか量が多いのぉ。
ングッングッ…プハーっ!
ワシはもう腹一杯じゃ。
あとはキスケがやったらええだよ。」
「へへ…ありがとうごぜぇます。
板場の人間としちゃこういう味を知っておくのはいい勉強になるだからな。
ではでは頂きます…ゴクッゴクッ。
う〜ん?…ほんに味がせんのう…😥
塩も全部入れたのに…最近の上方というのはこういう味が流行っとるんかな?
ゴクッゴクッ…確かに量が多いですなぁ。
旦さん…半分より多いでがすよ」
「何を言うだ。
若いもんがたくさん味わったらええ。
ほれっ、全部やっちまえ」
「こりゃさすがに腹がたぷんたぷんになりそうじゃな…。
大阪のお人っちゅうのは朝からこんなもんやってからメシを食うのかのう?
グビッグビッ…ふう、なかなか大変じゃ。
ングッ…ググッ…ぶはーっ!
やっと無くなった💦
だ、旦さん。ありがとうございます。
ご馳走さんでございました」
「どうじゃ?
これから大阪の人が来たら同じもん出せるかのぅ?」
「へぇ。こんなものならいつでも。
チョーズを回せと言われたら同じもんを出せます。」
「そうかそうか。そりゃよかった」
そこへまた宿の女将さんがガラッと開けて
「すいませ〜ん、遅くなっちゃって!
さ、もう1つお持ちしましたよ♫
どうぞ」![ニヤニヤ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/037.png)
![ニヤニヤ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/037.png)
「もう1つ⁉️」![ポーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/040.png)
![ポーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/040.png)
「ありゃ2人前じゃないんかの…?」![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
![ガーン](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/020.png)
「じゃ、こちらへ置いておきますね♫」![ちゅー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/046.png)
![ちゅー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/046.png)
「キスケ…えらいことになっただな。
ありゃさっきのがワシので、今のがオメェさんの分じゃ…これ、飲めるだか?」
「む、ムリですムリです!
もうお腹がタプタプで…」![ゲロー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/038.png)
![ゲロー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/038.png)
「そうか。仕方ねぇだな…。
でももったいないことはできねぇだ。
あの〜女将さん???」
「なんでしょう???」
「残りはお昼に頂きます」
〜終〜
さて、いかがでしたか?
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
とはよく言ったもんですねぇ。
せめて現地の大阪へ行った時は思い切って聞けばいいのにとは思いますよね![ニヤニヤ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/037.png)
![ニヤニヤ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/037.png)
僕は大阪人ですが、何気なく使ってる言葉が実はこの地域でしかほとんど使われていないとか、物の名前なんかも実は他の地域では全く違う名前だったりします。
(メロンパンとサンライズとかね💡)
サンミーが関西しか売ってないと聞いた時は驚いたもんです‼️笑
僕はあまり物事知らないので、「知らないから教えて」「それ何???」と素直に言える心を大事にしようと思います🐥
ではまた(^^)