今回は何ともアホらしいというのか、いろいろと余計なツッコミは無しでお願い致しますグラサン



猿の語源の1つには


『他の生物よりも知恵が勝る』


ということから「勝る(まさる)」→さると変化したのではないかというのが有力な説なんだそうです🐵

※諸説あります



このお話、もともとは桂枝雀師匠が毎年のお正月にその年の干支にちなんで創作した落語を発表するという企画があったようなのですが、そこで演じられたものです(^^)



〜ストーリー〜

ここはとある猿山。


「おとっつぁん。

実は1つお話があるんですけど…」


「ん?なんやえらい改まって…?」


「実は…わたい人間になりたいんです。

猿をやめて人間に」


「バカなことを言うな。

オマエはこの猿山のボスであるワシの跡取りやぞ。

ワシが引退したらこの山の暖簾を守るのは誰の役目やと思ってるんや。

何が為にそんなバカなことを…」


「いや、私それがイヤなんです。

生意気なこと言いますけど、人間に飼われながらずーっと餌与えてもらって日がなノソノソと生きているというのがイヤになったんです!」


「何を言うか!

ワシらはそういうことをするためにこの世に産まれてきたんやないか。

大体ここを出て何をするというんや?」


「だから人間になるんです!」


「まだ言うか…。

そんなもんどうやって人間になるつもりや?」


「そりゃ何とか頑張って努力して進化するんですよ!」


「進化てオマエ…努力してできるもんやと思ってるのか?」


「それでも何とかしてなるんです❗️」


「むむ…オマエがそんな訳のわからんやつやとは思わなんだ…。

今日限り勘当じゃ❗️

親子でも何でもない❗️

出ていくなり何なりしたらええ‼️」


「出て行きますがな‼️」



取っ組み合いになりそうな親子猿の間に割って入る1頭の猿🐵



「ちょっ、旦那さん!ちょっとちょっと!

…若旦那は黙っときなはれ。

手も離して、ほらっ!

旦那さん、お腹立ちはごもっともです。

誠にごもっともでございます🙇🏻‍♂️」


「ムッ…番頭どんか…。

ゴホン…今のを聞いてなさったか?」


「はい…ここは1つ私、番頭にお任せして頂いて…いえっ、私の方からまた若旦那にお話ししますんで、どうぞ旦那さんは陽だまりで女将さんとごゆるりとね…はい。

ノミ取りに精を出して頂ければ…はいはい。


さて、若旦那…ちょっと落ち着いてそこへ座りなされ」


「イヤや!ワシは人間になるんや‼️」えーん


「まぁまぁ、ちょっと落ち着いて。

若旦那…人間なりたい人間なりたいって言うてはりますけど、そんなに人間がいいもんだと思ってるんですか?」


「当たり前やないか!

ワシらはこの狭い猿山で一生終えるんや。

人間は自由、勝手気ままやないか。

ワシらは人間に飼われてるやないか!

こうやって餌運んでもらって…情けない!

お情けで生きてるんや!」


「いやいや、それは聞き捨てなりません。

あれはワシら猿が人間に『運ばせている』んです」


「あのなぁ…言い方は色々あるけど…‼️」


「まぁまぁ、若旦那。

あの〜桃太郎の話…知ってます?」


「鬼退治の話やないか。

桃太郎ってやつが鬼ヶ島へ鬼を退治しに…」


「いやいや、若旦那が今仰ったのは人間が書き換えたものです。

大体あの話の主人公は誰やと思ってます?」


「そら『桃太郎』っていうくらいやねんから桃太郎やろ⁉️」


「それが大きな間違いです。

あの話は元は猿が犬とキジを仲間に誘って鬼退治にいく話だったんです。

我々の祖先が


「あの島に鬼って評判の悪いのがおるからここは1つみんなで行こうやないか」


と。

人間の話では猿の知恵、犬の仁義、キジの勇気を人間がまとめていったことになってますけどね。

そこがえらい間違いなんですわ。」


「間違い⁉️」🙊


「あれは猿の知恵だけ本物なんです。

犬はそりゃ鼻も優れてるし走るのも速い🐕

いざとなりゃガブっと噛みつきますし、何よりもワン力があります」


「わん…あ、そういう言葉遊びも入るの?」


「チョイチョイこんなんも入れとかないと話が締まりすぎるでしょ?」


「誰に気を遣ってるんや、それは?」滝汗


「まぁまぁ細かいことは置いといてもろて。

とにかくお聞きやす。


それでいざ鬼退治に向かおうとなった時に、ひょこひょこと現れたのが人間ですよ。

自分も行きたいと言うんですけど力は弱いわ走るのも遅いわ、空も飛べないし木に登るのも一苦労なもんで、何の役にも立たんかったんです💦

さすがに連れて行けんと断ったところ、それではせめて道中の食べ物の世話だけでもというので連れて行った。」


「…そのついて行ったのが桃太郎なんか?」


「そうです。

ところがその食事の世話するって桃太郎が持ってきたのが吉備団子ですよ?

イヌもキジもそんなもんまともに食べれませんがな。

みんな怒ったけども我らの祖先がそこをまぁまぁと抑えて鬼ヶ島へ行きました。


でも鬼って言ってもそんなに怖いやつらじゃなくて、いわば弱いもんが「オレは鬼やぞ👹」と強がっていただけやったんです。

闘うようなこともなく説得することもできたし、さて帰ろうとなったその時❗️

最初はブルブル震えてたこの人間が


『せっかく勝ったんやから何か持って帰りましょ♫』ニヤニヤ


こんな厚かましいことを言うてきました。

ワシらは別に何もいらんかったんじゃが、それならまぁ記念にちょっとぐらいならええんとちゃうかと言ったらその桃太郎が金銀財宝を船に乗せたんです。

我々猿もそうですけど、イヌもキジもそんなもんいらんでしょ?

あんなピカピカしただけのもんを人間は食べ物とか着る物とかと交換してるんです。

何とも浅ましいと思いませんか?

そのくせワシらがおにぎりと柿の種をカニと交換しただけであんなにやいやい悪く言うんですよ⁉️🦀🍙🐒


広い自然界を見てもあんなに愚かしい生き物は他にいませんよ。

若旦那…これだけ言ってもまだ人間になりたいと仰りますか⁉️」


「グス…そうか…。

人間っちゅうのはそんなもんなんやな。

ば、番頭さん…。わかったわ!

オレはもう金輪際、人間になりたいなんてことは言わん❗️

こんな素晴らしい猿に生まれながらよくあんなバカげたことを言ったもんや。

これから親孝行もして、立派な跡取りになるぞーっ‼️」


「若旦那…グスッ…わかって頂けましたか❗️」


「番頭さーんっ‼️」笑い泣き


「若旦那ーっ‼️」笑い泣き



ガシッと手と手を取り合う2人!🤝

あ…いや、2頭🐒🐒



「…〜って若旦那。

そんな大袈裟に言ってなさいますけど、本当は全然改心してないでしょ?」😏


「…あ、わかった?」てへぺろ


「私も調子に乗って付き合いましたけどねぇ。

ちょっと演技がクサ過ぎますよ」


「ハッハッハ。そりゃ仕方ないわ。

ワシらはどうやっても猿芝居なんやから」


〜終〜

さて、いかがでしたか?(^^)


動物側の目線から見た人間というのはどういう風に映ってるんでしょうかね???


生物界でも知能が高いとされる猿の世界なら、ひょっとするとホントにこんな考えを持つのがいても不思議じゃないかもしれませんね🙊💡



昭和の爆笑王・桂枝雀師匠の作った落語には不思議な世界観のお話がたくさんあります。


天才の頭の中にある非常に哲学的でバカらしく、難解なような簡単なような、ファンタジックで現実的な世界観というものが大勢の観客を笑わせ、時にポカーンとさせたり(笑)と、何とも不思議な世界に誘われます👾


この辺りもまたどう紹介するかという僕の頭を悩ませるところでございますが、いずれ機会があればお楽しみに😁


ではまた(^^)