最近は『社長』とか『ビジネスオーナー』なんていう肩書きの方が昔よりもえらく増えたように思います。

組織のトップになる方というのは組織が大きくなればなるほど普通に従業員として働く方々からするとちょっと感覚が違うなぁ〜と思われることも多いような気がするのは私の勝手なイメージです🥳笑


さて今日のお話。
作者は益田太郎冠者(ますだたろうかじゃ)という方なのですが、これがなんと三井財閥の一族‼️

三井銀行、三越ですね。

この方も実業家でありながら劇作家・音楽家でもあったんだそうです。
音楽から落語まで作るとはなかなか幅の広い感性をお持ちの方ですね✨

恐らく幼少の頃からそんな大きな会社の社長の様子を間近で見ていて思い付いたのかなぁというお話。


〜ストーリー〜
ある大きな企業の社長さん。
いつも定刻に帰宅します。

運転手付きの車に乗り、大きな豪邸へ。


ドライバーがププーッとクラクションを鳴らしながら窓を開け、


「旦那様がお帰りですよ!」

「これこれ、タチバナ。呼ばんでもいい。
はぁ…誰もおらんではないか。
ドアを開けなさい」


車を降りて家の中に向かって


「おいっ❗️
なぜ誰もおらんのだ⁉️」ムキー

「ハッ!旦那様がお帰りですよ!」Σキョロキョロ


やっと家の使用人達が並び、年の離れた奥さん・シズコさんがいそいそとやってきます。


「あなた、おかえりなさい」

「なんだ、みんな慌てて来て❗️
ワシは毎日同じ時刻に帰ってくることはみんなわかっているはずだぞ⁉️
運転手が呼んでいるのにその声も聞こえないのか、全く⁉️

おい、デコヤマ。
入り口にホウキが立てかけてあるのは何だ?」

「掃除をしまして…」

「そんなことはわかっとる!
ワシが今もし客を連れて帰ってきて、ホウキが逆さまを向いていたら『すぐに帰れ』という意味になるんだぞ‼️
そんなとこにホウキを放っておくバカがあるか‼️

それにこんなにみんな履き物を玄関に脱ぎ散らかして!💢
ちゃんと片付けないか‼️
何度言ったらわかるんだ、バカモノ‼️」ムキー


その後も


「帽子掛けが曲がってる‼️」
「庭に水を撒かんか‼️」
「茶はまだなのか⁉️」
「座布団をなぜ持ってこない⁉️」
「天井に蜘蛛の巣が張ってるぞ‼️」

などなど、目に付くもの気に留まったところ全てガミガミと怒りますムキー

ただこの使用人達も確かにちょっと抜けている人ばかりで天井の蜘蛛の巣のために短いホウキを持ってきたり、蜘蛛の巣は片付けるがクモはそのままというような始末…。


「全く…💢
額縁が曲がってるぞ。釘を持ってこい。

…おい…釘だけ持ってきてどうすんだ⁉️
カナヅチもいるだろ⁉️

踏み台も早く持ってこないか‼️」ムキー


そこへ社長の会社で目を掛けているナカムラくんが仕事の話にやってきました。


「いやいや、その件だったらもう済んでいたんだが耳に入らなかったか。
いや〜それは気の毒なことをした💦
ずっと歩き回って疲れたろう。
せっかく来たんだから、今から湯に入った後にメシを食うから、一緒に食べてゆっくりしていくといい」


ところがお手伝いの誰もお風呂を沸かしていませんでした♨️💦


「沸いていないだとぅ…?
なぜ沸いておらんのだ?
ワシが帰ってすぐに湯に入ることぐらい毎日のことなんだからわかるだろう⁉️

じゃメシは炊けているか?
…まだ炊けてなぃい〜⁉️

なぜ毎日のことができておらんのだ⁉️
早く用意をしないか‼️
ほらカナヅチも踏み台も片付けて‼️
全く…何なんだお前達は⁉️」ムキー


こんな具合にまたガミガミとお手伝い達を叱りに行ってしまいました。
その様子を見ていたナカムラ君。


「あの〜…奥様。
実は今日折り入ったお話があったのですが、旦那様のお機嫌がよろしくない様でございますので、また改めて出直しをさせて頂きます」

「あらまぁ左様でございますか。
すいませんねぇ…いつもはそんなにでもないんですけどね💦
せっかく御足労頂いたのに、はい。
ではまた、ごめんくださいまし」


一方、社長はその頃…


「何をやっとるんだ‼️
ホントにパパッといかないなぁ〜…💢

おい、いつまでホウキをそのままにしとるんだ⁉️
客が来てる前なんだぞ⁉️ムキー
客が…あれっ?
…おーい、ナカムラくんはどうした?
ナカムラくんはどうした⁉️
おーい、ナカムラくーん?」

「先程お帰りになられました」

「なんだって⁉️
なんで帰ったんだ???」

「なんでって…あなたがそうやってウチの者の前でガミガミとお小言を仰っていたのでは、かえってお客様の方が居づらくなります…」

「な…なんだとぉ〜…?
居づらくさせてるのは誰なんだ⁉️
オマエ達の仕事が行き届かんからじゃないか‼️
これだけ人がいて、どいつもこいつも役に立たん奴ばかり…❗️
この米泥棒どもっ‼️」ムキー

これを聞いて奥さんも涙ながらに

「私では御当家に務まりません。
里へ帰らせてください…」

…と訴えます。
社長も意地を張って「なら帰ってしまえ‼️」なんて言ってしまいました。
そのシズコさんの実家。

「おや…?シズコじゃないか。
どうしたんだ?」👨🏻

「実は…」悲しい

事情を話すとシズコの母親は

「私も前からあの旦那さんは外面はいいけど小言の多そうな人だと思ってたわ!
シズコは大人しい性格だから…可哀想に」

「あのね母さん…こういうことは同情して甘やかしゃいいってもんじゃないよ。
お暇が出たって言っても向こうからじゃなく自分から言ったんだ。
嫁に行ったらもうこっちの家は無いくらいに思わなくちゃ。

それにシズコも最初は「何でも気がつくし何でも自分でやれるいい人♫」なんて言ってたじゃないか。
辛い事、苦しい事を乗り越えなければこの先何やってもダメだ。

それにな。
旦那さんは大勢の人を使っているが、それは逆に言えば大勢の人から使われているんだ☝️

唯一心の休まるのが家なんだよ。
その家が片付いていないと気も休まらないから小言も出るだろう。

それに家には使用人がたくさんいるんだろ?
シズコが女房なんだから、オマエが1人で全部やろうとせずにうまく人を働かせればいいんだよ


お父さんはそれぞれの使用人に庭なら庭、客間なら客間とみんなに自分の担当する仕事を決めて割り振るように言いました。


「そうすればいくら家が広くてもきっと片付く。
きっと小言も無くなるだろ。
さぁ、誰か人を付けてやるからすぐに帰りなさい。」


父親に諭されて帰ったシズコさん。
早速それぞれ役割を分担させていきました。

なるほど、確かに分担すれば今まで気付かなかったところ隅々に目が届く様になり、すっかり家の中が片付いてしまいました。

普段よりも早く仕事の片付いた使用人達。
今度は社長の帰る時間にはズラッと並んでお出迎えをしました。

いつも通り定刻に帰ってくる社長。


オイッ❗️
ホウキ…は、今日は片づいとるな。フム。
履き物が散らかって…ない。
…よしっ。よーっし…」


指を差して確認しますが、昨日までずっと何かしら目に付いていたものが全てキレイに片付けてあります。
座布団の上に座り、お茶が入る。
どこを見ても完璧です。


「オイっ❗️」プンプン

「あなたどうしたんです?」キョロキョロ

「これではワシが怒るところがないじゃないか‼️」

〜終〜
さて、いかがでしたか?
確かにずーっと怒ってる人っていますよねぇ😅

怒る側にも理由はある場合もあるということでしょうかね。
こういう人の悪いところは自分が人を焦らせている自覚がないことではないかなといろいろとそういう人を見て思います😅

皆様、ストレスは大いにある世の中ですが、慌てず焦らず一休み一休み。
一休さんは良いこと言いますね😁笑

心は穏やかにいきましょう🍀
ではまた(^^)