どんな人でも差別するのはいけない!
…と言われる今のこの世の中です。
まぁ当然っちゃ当然ですね🍀
そんな世の中ではありますが…
そんな世の中ということはわかってますが…
「どう〜〜〜〜〜してもこの人だけは
生理的にムリっ‼️」💢
…というね。
こういうことを思ってしまったご経験が、特にここを訪れて頂くような知性と品格溢れるご婦人の方々には多くおありなのではないでしょうか?ゴマスリ
(性別問わずあるだろうけど、男性の方が何となくそう思われる率が高い気がするのは被害妄想か?笑)
そういう人が来ても接客業の方はしっかりと仕事しないといけないわけですが、遊廓の人達にとっては万が一にもそんな相手が妙にお金持ちで、しかも自分の太客になった〜なんて場合には『仕事を超えた関係』になる危険性もありました…😅
〜ストーリー〜
ここは遊びの本場、吉原遊廓。
そこで駒使いとして働くキスケ。
バタバタと花魁の吉瀬川(きせがわ)を探しています。
「おっ、ここにいらっしゃいましたか花魁。
あの旦那がお見えになりましたよ」
「『あの旦那』って…モクベエかい⁉️
うわぁ〜…しばらく見ないと思って安心してたのに…。
イヤだよ。
いくら商売でも命には替えられないねぇ」
「命までとは穏やかじゃありませんね」😓
「だってあいつに近づくだけでもホンットにイヤでイヤで全身身震いして毛が逆立つんだよ〜。
なんだかわからないけど熱が出て吐き気を催すんだから。」
「またまた…それじゃ何でそんなイヤな人と夫婦の約束なんかしちゃったんですか?」😥
「そりゃこっちは商売だもの。
いろんなこと言わなきゃいけないだろ」
「商売ねぇ…そっちは商売でも向こうは本気ですよ〜?😓
『ウチの吉瀬川が世話になって〜』って来る度にご祝儀配ってるんですから。
じゃあちょっとだけ顔を見せて、今日は忙しいから後日また来てくれと言えばあの人もあなたの言うことなら何でも聞くんですからすぐ帰るでしょ」
「イヤなんだよ…ちょっと顔を見せるだけでもイヤなのっ!😒
キスケさぁ…何とか言って断っておくれよ」
「そりゃあなた無茶ですよ〜。
もう座敷へ上げちゃったんですから。」
「じゃ病気になって入院してるからここにいないとか何とか言えばいいじゃないのさ」
「そんなこと言ったって私だって商売だよ。
『吉瀬川花魁がお待ちですよ!
程なくしてこちらへ参ります』
…って言っちゃったのに、今更入院してますとは言いにくいですよ」
「大丈夫だよ。
初めに言わなきゃいけなかったけど楽しみにしている旦那様を見ると言えませんでしたと。
実は10日ばかり前に風邪をこじらせてしまいました。
医者に診せたところ、大したことはないが肺炎になっては大変だからと入院をさせましたので今は会えませんと言えばいいじゃないの。」
「あ、あのねぇ…あなたはいいけど私はそれを本人の目の前で言うんですよ〜?😥」
「わかってるよ。お礼はまたするからさ!
ねっ、頼むから行ってきておくれ」
仕方なくその嫌われ者の旦那の部屋へ向かうキスケ。
襖をトントンと叩いて中へ入ります。
「あんりゃなんだぁ!
誰かと思ったらキスケでねかぁ。
吉瀬川が世話になってるだで、オメェとワシはもう親戚みてぇなもんだ。
勝手に開けて入ってきたらいいだんべ。
そんなとこさ座ってても話が聞こえねぇだからもっとそばへ来たらよかんべ。
ほら、こけぇこぉ(訳:ここへ来い)。
こけぇこったらコケェコ」
(あれじゃニワトリだよ…🐔
吉瀬川も吉瀬川だけど、この人もあんなに嫌われてるのに何で気付かないのかなぁ…?😓)
「コホン…あいすいません。
…大変長らくお待たせしてしまいまして…」
「あぁ気にするこたぁなかんべ。
ワシとあの吉瀬川はいずれひぃふ(訳:夫婦)になる仲だべ。
他の客んとこ全部まわってからこっちへ来たらええだ。
焦るこたぁねぇだ、なっ!」
「いや実はそれなんですが…花魁は今夜こちらへおいでになれないんでございます。
実は10日ほど前に風邪をこじらせて入院してしまいまして。
今、ご当家におられないんで…」
「何っ!ぬぅいん?
何でぬぅいんしたんだ?」
「いえ、『ぬぅいん』ではなく入院です。
これが学校なら入学、軍隊なら入隊と…」
「そんなことはどうでもええだ!
いねぇなら何で早くそれを言わねぇだ?
初めにいってくれりゃ…」
「そうなんです!
でも楽しみにしておられる旦那様を見るとついつい私言えなくなってしまいまして…」💦
「う〜ん…そうかぁ。
吉瀬川がいねぇならここにいても仕方ねぇだなぁ」
「あっ、お帰りですか?
お帰りでしたらあちらへ…」
「待て待て。
ぬぅいんしてるなら見舞いに行くべ。
案内さぁぶっとくれ」
「…へっ⁉️みっ、見舞い?
そ、それは困ります」
「何でだ?
末にはひぃふになる女がぬぅいんしてるだ。
見舞いくらい行ってもよかんべ?
病院はどこだ?」
「いやあの、病院は〜あっちの方…なんですがですねぇ…え〜とその〜、あっ、見舞いには行けないんです!
これは実は吉原の法なんでございますよ」
「あんりゃ。そんな法があっただか?」😳
「そ、そうなんです!
花魁が入院した時にお客様のお見舞いは御法度なんです!
だから見舞いには行けないんですよ〜」
「何だ?
そんな法があるとは知らなかっただなぁ。」
「ええ、私も知りませんでした…あっ、いやいや、そんなわけなんで今日のところは…!」
「うぅ〜ん、そこを何とかならねぇだか?
ワシと吉瀬川の仲は知ってるでねぇか。
…そうだ!田舎から兄が来て見舞いに来たと言えばよかんべ?なっ?」🙏
「…なるほど。
それならお客じゃありませんけど、でもそんなことがバレたらタダじゃ済みませんよ!」
「しんぺぇするな。
ここの旦那は融通の利くお人だから、ワシの頼みなら聞いてくれるだ。
なっ、ちょっと行ってきてくれろ!」
ここでも押し負けてしまうキスケ。
花魁の元へ戻りました。
「吉瀬川…大変ですよ。
入院してるって言ったら見舞いに行くってことになっちゃいました」
「見舞い〜?
はぁ〜ホントイヤなやつだねぇ。
なんで素直に帰んないんだろ⁉️
だから嫌いなんだよ〜」
「吉原の法で見舞いは行けないって、うまくかわせたと思ったんですけどねぇ…。
バレたら熱い灸を据えられるよ、あなた…。
どうします⁉️」
「えぇ〜、本当にもう〜困った人だねぇ…!
しつこいんだから!
うぅ〜ん、じゃぁ〜もう死んじゃったってそう言いなよ!」
「あのねぇ…最初すぐに行きますって次に入院って言って、次は死んじゃったって…こんなバカバカしい話がありますか⁉️」
「これくらいのこと言わなきゃ諦めないよ!
初めに言わなきゃならなかったけど急に亡くなったというのはあまりにお気の毒でしたので嘘をつきました。
いずれ知れてしまうことだし正直に話してきなさいと言われたと、こう言やいいんだよ」
「いいんだよって…気ままなもんだねぇ…。
何で死んだって言われたらどうするんです?」
「そんなの何とでも…あ、いやダメだね🙄
病気で死んだんなら医者の診断書を見せろなんて言い出しかねないよ。
何か医者に診せないで、それでいて何となくフワフワ〜っと死ねるようなもんないかねぇ?」🤔
「どんどん注文が難しくなってるよ…
医者にかからずフワフワ…野たれ死になんてどうです?」
「なんでここにずっといるのに野たれ死ねるんだよ⁉️
そうだねぇ…あっ、じゃああの人に逢いたさに恋焦がれて『焦がれ死に』にしよう!」💡
「あなたが⁉️あの旦那に⁉️⁉️
焦がれ死に…⁉️⁉️⁉️
こりゃまた大きな嘘だねぇ〜❗️」
「これくらい言ってちょっとは喜ばせといた方がいいだろうから。
久しぶりに来たんだし、ちょうどいいわ!
あなたがなかなか来ないからあの人は次いつ来るんだろうとだんだん飯が喉を通らなくなって、糸のように痩せ細ってしまいました。
ある日のこと…『あの人は罪なお人、私は不幸な女』と言って、ニッコリと笑ったのがこの世の別れでございましたとこう言えばいいんだよ。
ねっ、そうしておくれ。この通り!」
「天才だね、あなた…
よくそんなことが大して考えもせずにペラペラと…へいへい。わかりましたよ。
行ってきますよ!」
感嘆とため息が同時に出るキスケ。
次は演技をしないといけないと、暗い表情を作って声を振るわせながら戻ります。
「キスケ…どうした?
上手く話はしてきてくれたか?」
「コホン…あの…ふぅ〜…ス〜ハ〜。
実は、私は…旦那様に謝らなくてはならないことがございます…。
入院したと申しましたが、あれは偽りでございます…」
「ハハハ、やっぱりそうだか。
あんな丈夫なオナゴが風邪でぬぅいんなんてするわきゃねぇと思っただよ〜。
あとから出てきて脅かそうって魂胆だべ?」
「いえ、そうじゃありません。
花魁は…ナクナリになったんでございますなぁ」
「ん?あんだって?
もう一度ハッキリ言ってくんねぇか?」
「花魁は…お亡くなりになったんでございますなぁ」
「何だって…⁉️吉瀬川がおっ死んだ?
やい、キスケ!
人の生き死にで冗談を言う奴があるか!」
「いえ、冗談ではありません!
本当なんです!信じてくださいよ〜!」
「誰が信じれるか!
われ初めにお待ちかねです、程なく参りますと言って、さっきぬぅいんさせてると言ったろ?
何でそれが急におっ死んだりすんだ⁉️
それだったら何で初めに言わねぇ⁉️」
「初めに言おうと思ったんですが、あまりにお気の毒だったので嘘をつきました。
それを聞いてね?
旦那様がああ、じゃあここにいてもしょうがないなと。
それでス〜ッと帰っていれば、こんなことにはならなかったんですよ❗️」💢
「何を怒ってるだ?それがどうした?」
「どうしたじゃありませんよっ!
…私だって困るじゃありませんか。
見舞いに行くなんて言うから困りましたが、いずれはわかることだからと思って私は…私は…!
グスッ…今こうしてお話に上がったんです。
ゔぅ〜っ」
「キスケ…オメェ泣いてるだか?
嘘で涙は出るもんではねぇだ。なぁ?
人間、明日はどうなるかわからねぇ。
疑って悪かっただ…何で死んだんだ?」
「旦那様がいけないんですよ!
あまりお見えにならないばっかりに花魁は毎日毎日心配をして…こんな勤めの身で会いにもいけないし、おいそれと手紙を出すわけにもいかない。だんだんと飯が喉を通らなくなり、糸のように痩せ細ってしまいました。
ある日私に『あの人は罪なお人、私は不幸な女…』とニッコリ笑ったのがこの世の別れでございました…!
うぅ〜〜〜」
「そ、そうかぁ…!🥺
そんなにまでなってたのか…!
ワシも罪な男だんべなぁ…。
百姓仕事もして、新しく商売を始めたもんで毎日忙しかったんだぁ…。
死んじまったのはいつのことだ?」
「………え"っ⁉️
…うぅ〜っ…あれ〜は〜確か…前に旦那様が来た後のことです」
「当たり前だべ。
いつだったかを聞いてるんだ。
何?ど忘れした?バカだねぇ、全く。
で、弔いや何かはやってくれただか?」
「はい。
もうお通夜から弔い、み〜んなもう全部キレイサッパリと終わりました!
お墓まで出来てるんで、もう何〜〜〜にもやることがない。
旦那様のできることは帰るだけなんです❗️
お帰りはこちら…‼️」
「待てぃ、本当に!
そうやってすぐに帰したがって…🥺
そらぁ吉瀬川がいなかったらこんなとこにいる用事はねぇけんども…帰る前にひとつ、墓参りに行くだ」
「ぇ"え"っ⁉️
いや、いいんですよもう、そんな気遣わなくたって…!」
「いやいや、墓参りさえ済めばそれでもう二度とここへは来ねぇだ。
寺はどこだ?近いんだろ?」
「てっ、寺〜〜は〜〜ですねぇ〜…はいっ、近くの寺です」
「ならこれから参りに行くべ。
もう夜明けも近いし、寺は朝が早えからな。
案内ぶってけれ」
「いやいや、そう勝手に決めないでください。
ちょっと待ってください」
またバタバタと吉瀬川の元へ!
「おや、キスケかい。
上手く言ってくれた?今度こそ帰ったろ?」
「じょっ、冗談じゃありませんよ、あなた。
死んだって言ったら墓参りに行くから案内しろなんて言われましたよ❗️」
「はぁ〜…?ホントにしつこいやつだねぇ。
寺は遠いとか言ったんだろ?」
「近いって言っちゃいました…
なんか勢いに負けちゃってつい…」
「マヌケだねぇ。
まぁ言っちゃったもんは仕方ないよ。
墓参りに行っておいで」
「行っておいでって、よく平気でそんなこと言いますねぇ…
あなたのお墓なんか無いじゃ…!」
「わかってるよ、そんなことは❗️
どこでもいいから寺に行けば墓なんてズラッと並んでんだから、新しそうな墓を適当に見繕ってこれですって拝んできたらいいんだよ」
「あのねぇ…墓ってのは名前が書いてあるんですよ⁉️
読まれたらすぐわかるんですよ」
「頭を使いなよ。
お墓参りなら花を山ほど供えて、お線香だって束でボーンと燃やしちゃえば煙で何も見えなくなるよ!」
「はぁ…わかりましたよ…。
もう乗りかかった船ですからね。
とことんまでやってきますよ❗️」💢
半分ヤケになって旦那と共に近くの寺へ。
「すまねぇなぁ、キスケ。
オメェともこれから長い付き合いになるべと思ってたけんどもなぁ…」
「いやぁそんなこと仰らずにまた店に来てくださいよ。
また違う若い子をお見立てになって、ワーっと陽気に騒いで頂ければ…!」
「呑気だなぁ、オメェは。
人の顔見りゃあ見立てろ見立てろって…。
で、墓はどこだ?」
「えーっと、とりあえずこっちにいってみましょうか?」
「とりあえずたぁなんだ」😓
まあまあと言いながらと花束をさらに束にしたような大量の花と線香を買います。
10束ほどの線香に火を付けると松明のように燃え上がります🔥
もうもうと煙を出す線香を片手に旦那をこっちこっちと適当に歩きます。
古い墓石ばかりですが、1つ新しそうな墓を見つけました。
「あっ!あそこです。
ちょっと準備をしてからお呼びしますんで、ちょっと待っててください」
花束で墓石を隠し、線香の煙を撒き散らしてから旦那を呼びました。
「これか…。
吉瀬川…すまねぇだな。ゴホッ
変わった姿になっちまって…ゴホゴホっ!
オラ、オメェがいなかったら2度とあんなとこには…ゲホゲホッ!
おいっ!下から線香をあおぐんでねぇ!
煙くて前が見えねぇでねぇか!バカ!
狼煙を上げてるのかオメェは⁉️
全く…花で名前が見えねぇでねぇか…よっ。
『天保三年』…?『○◇信士』…?
こりゃ男の墓でねぇか❗️」
「ハッ!まっ、間違えました」
「バカやろう❗️
こんなとこへ来て間違えるバカがいるか!」
「こ、こっちが吉瀬川の墓です!」
「全く…吉瀬川。
違う男を拝んじまっただ。許せよ。
違うやつに涙流しちまって…ゴホッ!
安心しろ。もうあんなとこへ…ゲホゲホッ!
あおぐんでねーってのに❗️
またこんなに花を…『△☆童子』…?
子供の墓でねぇか⁉️」
「間違いました、間違いました!
こっちです」
「バカやろう!2度も間違えるんでねぇ!
…本当にそれか?何?
『陸軍歩兵上等兵』…バカやろう‼️
吉瀬川の墓はどこだ⁉️」
「ええ、こんなにたくさんありますんで、
よろしいのをお見立て願います」
〜終〜
さて、いかがでしたか?
まぁ私サービス業ですが、今の仕事やるようになってからは一層キャバ嬢とか風俗嬢(というか性産業の世界の方々)ってホントに大変だなぁとより感じるようになりました😅
高い給料もらうのもわかる気がします…💦
だって『どんな人でも』相手にしないといけないわけですからね…😱
しかしこのお話の途中にも出ましたが、どうしてそういう人に限ってなかなか気付いてもらえないのかは不思議ですねぇ…
いや、そういう人だから嫌われるのか?笑
異性にここまで嫌われる人間にはなりたくないなぁ〜と、このお話を通してしみじみと思ってしまった男性はきっと僕だけじゃないはず。
ではまた(^^)