皆さんこんにちは。ガサキ鉄道です。副都心線開業記念日から5日間が経過しました。本日は東京メトロ7000件に関するお話です。7000系に深く関わる有楽町線についてもついでに説明します。

1.東京メトロ7000系とは?

 東京メトロ7000系は、東京メトロ副都心線と有楽町線で活躍している車両です。直通先の、西武池袋線飯能駅まで、東武東上線森林公園駅まで(ダイヤ乱れ時小川町駅まで)、東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線元町・中華街駅まで直通運転します。

 編成両数は10両と8両があります。

 登場したのは、1974年です。2020年より新型車両の投入が開始し、現在廃車が進行しているためもうまもなく消滅すると思われます。

2.技術

 この列車は、先ほど述べたように1974年に登場しましたが、それよりも早く1968年に登場した千代田線の6000系と共通化されています。

   この千代田線の車両は、世界で初めてコンピューターを用いた制御装置(電機子チョッパ制御)を採用したことで大変有名な車両です。これは、回路に着いたスイッチ(正しくはスイッチング素子)を1秒間に何千回も高速でオンとオフを繰り返させ、それによって平均の電圧をコントロールするというものです。

 また他にも、その千代田線の車両は日本で初めて三角形(おにぎり型)のつり革を採用しました。円形に比べて大変持ちやすいです。

 他にも、貫通扉をなくし、号車間の接続部をキノコ型の断面形状にすることで開放的にしました。

 これらの大変斬新な技術は、この7000系にも引き継がれています。

 7000系にはそれに加えて新たな技術の採用されました。

 それが、AVFチョッパ制御です。正式には自動可変界磁チョッパ制御といいます。 これによりチョッパ制御の及ぶ領域を増やして電力使用の効率が一段と高められました。(東京メトロ完全データDVDブック-メディアブックス参考)

 さらに、将来西武鉄道と直通運転するために種別表示用の穴をつくりました。

 なお当初から東武鉄道との直通運転時はすべての列車が普通列車となる計画となっており実際に副都心線ができるまではそう運用されました。

3.車両の誕生まで

 1960年代。当時の地下鉄は、銀座線・丸ノ内線・日比谷線・東西線・千代田線しかありませんでした。その中でも銀座線と丸ノ内線は初期に開業しため、1両のの長さが16mと18mでした。しかし当時の主流は20m。人口の増加する東京においてその2つの路線は次第に混雑に悩まされるようになっていきました。

そこで、1968年の都市交通審議会にて、銀座線のバイパスの半蔵門線と丸ノ内線のバイパスの有楽町線の2つが計画されました。これがこの車両の運用される有楽町線の成り立ちになります。

 

東京メトロ公式サイトから加工

有楽町線は当初中村橋(西武線)から目白と飯田橋を通り錦糸町まで行くのか計画でした。しかし丸ノ内線のバイパスとしての役割を入れるため、始発駅を中村橋から成増(東上線)えと変更し、途中駅も目白から池袋へ、終着駅も錦糸町から銀座に変更しました。

 こうして1974年に池袋から銀座1丁目までができました。その時に製造されたのがこの7000系です。当初は5両編成で製造されました。車両基地は和光市(成増の隣)に作られることになりましたが、そこまでまで延伸する前は千代田線の綾瀬車両基地と桜田門付近の留置線で車両を止めることにしました。

 これにより、丸ノ内線を向原(おそらく小竹向原付近)ヘと延伸する計画は白紙に戻されました。

4.有楽町線と7000系

 開業後有楽町線は1980年に新富町まで延伸しました。その後は、1972年に池袋から成増までの建設予定区間が新13号線と言う別の路線(後の副都心線)の予定区間に組み込まれました。そして追加で新たに成増から和光市までの建設計画も決まりました。ただし、13号線の開業は相当後になることが想定されました。 

 一方で有楽町線のほうは池袋から途中の小竹向原まで先述の13号線と平行(上下2層構造)し、小竹向原で分岐して西武線の練馬駅(当初予定の中村橋駅の1つ隣)に至るようにルート変更されました。

 しかし実際には和光市側も練馬側も共に有楽町線として建設されました。池袋から小竹向原までの副都心線は有楽町線の間下を通るため、同時に建設する方が効率が良いと判断され早くに建設されました。

 

 そして1983年に池袋から営団成増駅までと、小竹向原から練馬の1つ手前の新桜台駅までが部分開業をしました。後者は営団ではなく西武鉄道が建設を担当しましたが、実際の営業は営団が担当し、駅の構造、壁・床等の配色、駅名標や放送も営団仕様となりました。

 この頃に7000系は5両から10両に増強されることになりました。そのため従来車の中間車5両と新たな10両固定編成が製造されました。この時に後述する事情によりキノコ型貫通路が廃止され、扇風機から現在でも採用されている横流式の送風機に変わりました。しかし出力は相変わらず大変強く僕が乗車しても大変寒く感じます。


↑扇風機の動作とドアチャイム

 そして1990年に7000系は34本目の増備がされて以降その車両が製造されなくなりました。

 池袋から小竹向原までの有楽町線の部分も有楽町線の複々線として1994年に先行開業しました。そして同年に新桜台から練馬までが単線で開業しました。その際に増発用として新たに07系と言う形式が製造されました。

 将来的には7000系の置き換えも視野に置かれていましたが、後述の通り長期的に利用することが考えられていたため、7000系が古くなった頃には07系自体が時代遅れ、少数の製造に終わりました。

(Wikipediaより)

 そして1998年の新桜台から練馬までの複線化に伴い西武池袋線との本格的な直通運転が始まりた。西武鉄道は1993年より投入開始した地下鉄直通用の6000系を利用することにしました。そして練馬駅と次の中村橋駅の間に森駅の富士見台駅が開業しました。それと同時進行で7000系は行き先表示機をLEDにする工事が行われました。LEDにした場合、紙を回すわけではないので、種別と行き先を分ける必要がなくなったため種別表示用の窓が使われませんでした。種別表示用の窓は側面にも存在しており、一部の編成は後の車外スピーカー設置工事に伴いその穴にスピーカーを設置した編成もあります。車外スピーカーとは、車外につくスピーカーの事で、発車時に注意喚起をするときなどで使います。

しかしそうでない編成もあります。

5.古い車両が末永く使いましょう

 6000系と7000系に共通する大きなコンセプト、それは長寿命化です。製造当初は製造後10年で床剤や壁紙等の一部を交換し(C修繕工事)、20年経つと走行機器や車内も含めて大幅な修繕(大規模修繕、B修繕工事)を行い、30年で再度C修繕工事をして、50年後に廃車とすることが考えられました。

 そこで1980年から7000系に対して修繕工事が行われました。

 当初は制御装置を新品に交換し社内の1部に手を加える程度でしたが、後にモーターを交流モーターに、制御装置を可変電圧可変周波数制御(VVVFインバータ制御)に交換するといった大掛かりなことも行われ始めました。

 また障がい者への対策としてドアチャイム(ドア開閉時に、ピンポンピンポンとなる装置)も設置されました。

 また火災の延焼や冷房効率の悪化の原因となったキノコ型の幅広貫通口は埋められて、貫通扉が設置されました。しかしそのために妻窓が設置されなかったため、当時の車両では珍しくツルツルの壁となりました。

 他にもLED式の案内表示板(2段式、千鳥配置)のものも設置されました。

 他にも、ドアの窓の大きさを大きくした編成もいます。

 当初はこのように小さい窓でした。

 写真は全く関係ない別の車両ですが、大体窓はこれぐらいの大きさになりました。

 

6.副都心線開業と7000系

 2008年、いよいよ13号線、すなわち副都心線が開業しました。車両は有楽町線と共通になることになりました。

 この路線では、すべての駅にホームドアが設置され自動列車運転装置(ATO)を利用した自動運転も実施されました。

 それに合わせて副都心線に対応させる工事も行われました。まず初めにドアの位置が異なる07系は東西線に転属してなくなりました。その代わりに2006年より新型車両10000系(副都心線の初代車両としての製造もする)が投入されました。

 7000系の自動運転対応化工事は一部の更新済車両のみに行われることとなり、初期に更新された車両と更新されていない車両は10000系に置き換えられて廃車されることになりました。

 さらに東急東横線では各駅停車が有効長の関係から8両編成で運用されることになったため、一部の編成が8両に短縮されました。

 具体的には15本が8両となり、15本が10両のまま自動運転に対応し、残りの13本が廃車されました。

 他にも、色が従来の金のラインから副都心線の茶色と白を加えた3本の帯に変更されました。これは10000系も同じです。なお、後述の17000系ではユニバーサルでサイン化のために別の色となっています。

↑かつての色。Wikipediaより

 廃車された車両の一部はインドネシアのジャカルタの鉄道会社に譲渡され色を赤に変更した上で使用されました。 

 なおこの際に、西武鉄道と東武鉄道の車両も太陽工事をしています。

7.そしていよいよ…

 そんな7000系もついに消える時がやってきました。製造からすでに50年弱経過し、首都圏の中でも特に古い車両となりました。そして当初の予定にも近づくことから、2021年に新型車両の17000系を導入。7000系の廃車が始まりました。

 いつも副都心線を利用している僕は、1日に何度も7000系を見ているのですがそんな日々がいつまで続くかは分かりません。7000系が消えるその日まで僕は7000系に感謝していきます。

 見ていただきありがとうございました。よかったらいいねお願いします。

参考文献

 東京メトロ完全データDVDブック-メディアブックス(平成24年版)

 東京メトロ完全データSPDVDブック-メディアブックス(2021年版)

   東京メトロ知られざる超絶!世界-かわで夢文庫