大人で,「私は数学はからっきしダメなんです」とかいう方が良くいらっしゃいますが,それって自分の学生時代のことを語っているだけで,実は現在はやろうと思えばできるかもしれないんですよね。 というのは,社会人の方で資格試験を目指される方が時々こちらにいらっしゃいますが,結構高校数学の難しい問題なんかも解けて,「中学高校時代得意だったんですか?」とお訊きすると,平均点も取れていなくてドロップアウトしたとかいうことがよくあります。

 

 こちらで小学生にどんなに工夫して「300円の3割引」を教えても一週間たつとできなくなっちゃう,なんてことはよくあるんですが(それを1年間毎週復習したりしています),彼らも大人になったら,買い物する時に頭の中で0.7をかけて210円だな,なんて当たり前のように計算できるようになるのでしょう。ここで,小数の掛け算をするときに「ケタ」を間違う人も多いわけですが,「3割引なら半額よりも高いから210円だな」とかいう常識的判断が働いています。実生活とのかかわりを考えずに学ぶ小学生の場合は,21円とか2100円になってもなんとも思わないんですよね。大人なら,「安すぎやろ!?」とか「割引して高くなってるやん!?」とか常識的判断で,ケタを頭の中で処理することができます。
 

 結局「看護師試験に受かるために必要」とか「買い物に必要」とか思うから,すぐに身に付くのであって,いくら繰り返してもできるようにならないのは「必要」と思ってないから関心が持てないんでしょうね。

 私は,小学校1,2年の時から毎日歩合の計算をしていました(当時,5年か6年で学ぶ分野だったと思います)が,それは,その日の試合で田淵さんや掛布さんが4打数1安打なら打率がどうなって,4打数2安打ならどうなって…という資料を作ってから野球の試合をテレビで見るのが楽しみだったからです。夕方,ナイター中継が始まるまでに,新聞のスポーツ欄を見て,ライバル球団の選手たちとひいき選手の,試合後の打率がどうなるかを全部一覧表にまとめてから観戦していました。言わば,歩合計算は野球観戦に必要だったのですね。ん?必要ない?
 
勉強しなくても年を取るだけでできるようになることって多いですよね。大学時代にわからなかった法律的な論点に関する議論も,今では「そりゃそう考えないと不公平だしね」「あー,あの件とパラレルに考えると当然の結論だね」とか,自然にスッと入ってきたりすることがあります。