大正時代をスルーして昭和の２０年間は語れない。３

その不幸を後に思うが、大正と言う時代は、日本国人が、民主社会の味わいに目覚めて覚えて、ロマン、モダンと主張をし始めた時代と認めれば、大正天皇の御霊の片鱗も残せた時代であったろうに、大正と言えば、「関東大震災」それ以外語られる事、少な過ぎなのだ。兎にも角にも、明治が偉大な事を遣り過ぎて、恐れ多い人物が出でて全部が神格化してしまったのだろう。少な過ぎも、こんな影響を齎している。
明治の勢いからは、閉口したい大正の語りは不幸にも思うし、でもそれ程の暗愚な時代でも無くて庶民的には、いよいよ西洋もどきに開かれた社会に成ろうとした時代。着実と言うよりも、日本人の利口も有って、速い西洋化が、文明開化が進んで、歴史を作って歩み出した。一番の歴史となったのが、２つの戦争の勝利。これにより、時代人が現れて、英雄伝説そのままに、それぞれが、神格化以上の神となってしまった。それはそれとして、軍神として誉を与えても配属の軍と配下の部下までが、軍神達よりも驕り高ぶって、軍部有っての日本、との態度をとるようになる。江戸の武士ならば、身の程をわきまえて上位を超えた行動を成さないものの、帝国軍人は、元武士と庶民の出世コースで有った訳で、江戸の様な品格を軍人は持てなかった、持つには、時間が足りなかったと言って置こう。
時として、一方の庶民は西洋かぶれで、民主主義で出来る事を、あれこれと探っては見付け、己の考えを賛否で叫び、参加を試みるように成長してきた。そしてその参政を快く思わない分子、それが、軍属構成者たち。昭和天皇いわく、明治の偉大な猛者と同じ力を持ったかのような、錯覚と精神論で邁進する軍と軍人の始まりである。そして、政治に庶民に圧力と弾圧を始めて行く。
個の寄せ集め軍部の構成は、日の浅い軍組織で、派閥を生む「皇道派、統制派」で小さく内紛するが、どちらにしても、これらは軍感覚で有って、庶民にとっては、どっちも同じに見える、庶民感覚とはズレた天皇敬愛であった。
歴史上、平安の平清盛の様な天皇を傀儡して政を行う。そのまま進めば、軍と言う武組織で再び議会政治に戻らなかったかも知れない。そんな傲慢を持った軍は、皮肉にも明治の軍神によって芽を伸ばしたかも知れない。言わば、親の七光りで傲慢行動する我儘、世間知らずの息子の様に傲慢、我儘を、敵をも見ずに国内に弾圧を掛ける、そして奢った時点で、成長も進化も失った軍は暴走するのに時間が掛からなかった。それは、共産主義、社会主義を嫌いつつ、共産軍人の様なトンチンカン。品位を宗とした武士、と明治軍人からは似つかない暴言を吐き、プロパガンダを行うように変って行く。あらゆる面で強気の割には、自信の伴わない証拠、人にものを言わせない、もの言いを聞かない、悪口を気にする言論弾圧。唯一我尊の驕りは、西洋に近付いたと勘違いもし、西洋の歴史における強かな心理戦にとどかぬ理解で留まってしまった。この意味でも、前述の敵を侮った戦いへ向かう事となる。
その悲惨を、今更に、ここで言わずとも、国体の分断や消滅の危機の堕ち、わが命生れ落ちた年から大経済復興が始まって現在に至る、だ。知られる有名どころで、昭和天皇、山本五十六元帥、、（他にも居ただろう）、等の人達は、戦争の始めに関わっても「戦争の止め時を探って」の参戦で、それらを抑える為に、偽りの戦況報告をして来たとすると、筋として合致する話だ。またアメリカが日本の敵と刮目した事も、本当のところは、アメリカの世界視野を理解せずに、弾圧と受け入れた事に起因する。その後のルーズベルト大統領の、感情的言葉が品位を欠いた事で、透明度が下がってしまったが、「余りに日本が触発反抗的で」後の、中国、ソ連との連合に至ったと言われれば、これも一理も二理もある。一等国意識のプライドが、聞く耳持たずで、武力で返答する。これも、大正を紐解いて解って来るものと思う。