子供[コドモ] | 五階から胃薬

子供[コドモ]

先日、仕事で小学校を訪れた。

ちょうどお昼休み。
廊下を雑巾がけするちいさな男女。
掃き掃除をする幼い男女。
そう、私は一年生の密集するところに足を踏み入れた。



私は元来、子供が嫌いだった。
どうも好かぬ。
うろちょろする性質も好かないし、意味不明な奇声も忌々しい。
特に、子供特有の「俺が俺が」な態度、それを見ていると妙に悲しくなるのだ。
奴らは何かあれば「僕なんかねー!」とか「俺のが凄いよ」とか。
君らね、言ってるほどみんな注目してくれないぞと。
奴らの下手な鉄砲は、私には絶対にヒットしないのだ。


などと思っていたのだが、最近妙に子供を見ていると笑顔になるのだ。
知人曰く「それは年だね」。
年齢的な問題なのだろうか。
何でも年齢とかのせいにするのは大嫌いです。
そんなのはともかく、子供を見ると、笑顔になっている自分がいる。

恐らく結婚が関係している。
妻に出会って、この女性との間に子供が欲しいと思ってからだ。
まだいないんですけど。


とりあえず、丸くなったのだと思う。

そして、私の平和や安定は、大抵に於いて崩される。
これこそが宇宙の法則だ。

私には平和や安定は訪れない。


先日の小学校訪問。

かわいらしい子供達は、私を見て、お客さんだと思ったようだ。
「こんにちは!」「こんにちは!」幼い声が八方から飛んでくる。
私はとても穏やかな気持ちになって、一人一人に「こんにちは」「こんにちは」と返していく。
笑顔で、私の膝あたりに位置する無垢な彼らを見下ろしながら。


突然目の前に、子供が立ちはだかる。
私を見上げる。
無垢な人間の目ではない。
獣の目である。
隙を見て、私を地獄へ引きずり込もうという、悪魔の目だ。
私の中から笑顔が消えた、一瞬で私はそれを悟った、そして自分の大人げのなさを恥じ、笑顔をこしらえた。

奴はいきなり私のスネを、力の限り蹴飛ばした。
奴は無表情で、私のスネを蹴飛ばしたのだ。
私は驚きと苦痛に、その場に崩れ落ちた。
膝をついた私の目線は、ちょうど奴と一緒だった、しかし奴は明らかに私を見下ろしていた。
「このガキ!」
私はオトナですから、理性がそんな発言を許しません、殴りません。
でも睨み付けてやりました。
奴は無表情のまま、その場を去りました。


いったいなんだったのか。
私が何をしたというのか。
前世で奴に悪いことでもしたんでしょう。
前世でやっちゃったんなら、仕方ないですね。

もう、理由とか考えないようにします。


ただ、子供だから可愛いという思考は、改まった。