まずこのゲームは、1998年に発売された『WHITE ALBUM』というエロゲの続編です。

続編ではあるのですが、2とのストーリーの直接のつながりはないため、この作品だけで楽しめます。

 

 脚本は、『冴えない彼女の育てかた』で有名な丸戸史明さんで、彼が脚本を書いた美少女ゲームはどの作品も評価が高いのですが、中でもこの作品は絶大な人気を誇っています。

 

 この作品のテーマは「浮気」です。このテーマは前作と同じで、主人公の罪悪感、責任感と、純粋な欲求の葛藤や、ばれたときの最悪な雰囲気を楽しめます。

 

 ところで、浮気というのは、普通、うえで述べた罪悪感や責任感が軽薄な者が行う行為だと思われますが、この作品の主人公、春希君は、とても真面目で、世話焼きなのです。やらなくてもいい仕事を引き受けたり、間違ったことを指摘せずにはいられなかったりします。煙たがられることもあるのですが、その誰でも助ける姿から、一部の人間からはとても信頼されています。

 

 その春希君が浮気するときの、背反的な心情描写や、周りの人間の動転する反応が巧に書き込まれていて、気分は最悪なのですが、最高なのです。

 

 さて、今回のかずさルートは、5年間思いを通わせ(ゲームの時間に換算しておよそ20時間)、婚約した雪菜という女の子を裏切ります。5年前高校生編でいろいろあって、主人公とやるだけやって海外逃亡したかずさを、これまたいろいろあって選ぶことに決めた主人公ですが、すでに雪菜とは婚約しています。

 

 テーマは浮気ですが、主人公は真面目です。いったいどうするのか。

正面切ってふりに行きます。その時の雪菜の悲鳴は本当に最悪でした。

また、それに伴って主人公と雪菜の友達、雪菜の家族達から順番にボコボコにされに行きます。つらすぎてなんでやってるか分からなくなってました。

 

 丸戸史明作品の世界観として、「世界はあなたが思っているよりほんの少し優しい」というのがあります。この作品も例外ではなく、登場人物は思いやりのある人しかいないのですが、それがまたこの殺伐としたテーマとストーリーとのギャップを生んでいてよかったと思います。

 

 心をぐちゃぐちゃにされましたが、アフターストーリー含めてみてみると、意外とまとまった終わり方をして、スッキリできたので良かったです。僕個人的に、雪菜よりかずさの方が好きだったので、あんまりもやもやしなかったです。(評価サイトでkzとか魔王とかよばれてたりする。)むしろ結ばれたときの達成感的なもののほうが大きかった気がします。

 

 また、主人公に振られた雪菜は完全にキマってしまいます。そういう女の子が趣味な方は是非やってみてください。今までの中でトップレベルでいい作品でした。

 

 

©AQUAPLUS/WHITE ALBUM2 EXTENDED EDITION

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