蓮の花が盛りの夏
女三の宮の
<持仏の開眼供養>
✤持仏
(個人が身近に安置して
日常的に礼拝する仏像)
源氏の主催で盛大に催された
法会の準備万端は、紫の上がすべてを
取り仕切りました。
秋、源氏は女三の宮の前庭を
秋の風情に仕立て、<鈴虫>を放つ
十五夜の月のもとで源氏は女三の宮と
念誦(ねんじゅ)し、鈴虫の声を
聞きながら語らい、女三の宮に対する
思いを捨てきれない自分に気づく。
*念誦
(心の中で仏に祈り
経文などを唱えること)
女三の宮を訪れた源氏は御簾を上げて
秋の風情を味わう
<源氏物語オープニング曲>
乗りましょうとお約束して、しかし
この世では露がこぼれるように
あなたと別れて暮らさなければならない
今日が悲しい
隔てなく共に蓮華の宿をと
お約束くださいましても
あなた様のお心はお澄みにならず
(わたしをお許しにならず)
一緒に住むまいと思召しで
ございましょう
*訂正 、女三宮の和歌(はらす→はちす)
これと言った事件性がなく
淡々と進んで行く中で
登場人物の心理描写を出さずに
描かれているのが秀抜です
女三宮の「持仏供養」を中心に
光源氏が琴(きん)を弾き冷泉の屋敷に
人々が集って月・鈴虫・と楽を愛でた
その各人のつながりと過去の事件を
想起するとき、心理ドラマが
垣間見えてくる
自分を正妻の座から追いやった
女三宮の開眼供養の必要な品を
縫ったのは紫の上です
女三宮の出家の品を縫いながら
紫は何を考え思ったのか
源氏と藤壺との不義の子冷泉
因果応報
正妻・女三宮と柏木との不義の子
薫(かおる)が次代の主役になる
知り尽くしておりましたのに
その秋がふり捨てがたくなる
鈴虫の声ですこと
宮ご自身のお心から草の宿(わたし)を
お厭いなさるのですが、今もなお
鈴虫(あなた)の声は美しい
月の光は昔と変わらぬ空に
輝いておりますが
私の宿のせいで秋の風情は
変わってしまいました
(院のご威光は昔とかわりませんが
変わりましたのは私のせいです)
<次回・夕霧の巻>
第二部唯一の外伝
夕霧の不器用な恋し方が
言いよられる女性・落葉宮
の悲劇として語られる
なぜ?落葉宮は夕霧を
嫌うのか
<源氏物語エンディング曲>