十月二十七日
日曜日
~~~ヾ(^∇^)おはよー♪




源氏物語
<第三十一帖>
玉鬘十帖の外伝的十巻
<最終章>
真木柱の巻
         「『うちに聞召さむこともかしこし。
       暫し人にあまねく漏らさじ』と諌め聞え
           給へどさしもえつつみあへ給わず」
と作者は語りはじめる

玉鬘を手に入れた髭黒右大臣

北の方に‍火取の灰を
浴びせかけられる


<北の方の嫉妬>
玉鬘と結婚した髭黒の大将が
玉鬘の所へ出かけようとすると
火取りの灰を浴びせる場面


<火取>
香を薫くための器・香炉


<源氏物語オープニング曲>


この巻は、すでに玉鬘が髭黒の
手中に落ちたことが
前提で語り始められる

この事態は源氏
にとって心外なことですが
内大臣は入内よりも好ましいと思い
一方、はそれを知りません
従って参内を促すのでした

髭黒の北の方は嫉妬のあまり
錯乱する





髭黒は玉鬘
のもとにこもり
北の方は娘の真木柱
と幼いおとこ君二人を連れて
父邸に移ります

式部卿の宮大北の方
源氏紫の上を深く恨むのでした

髭黒は式部卿の宮邸を訪問するが
冷ややかに追い返されて終わります


同じ巣に孵(か)った(我が家で育てた)甲斐もなく
卵(あなたのお姿)が見えないことです
いったいどのような人が手に
握っているのでしょうか
巣(お邸)の片隅に隠れて
ものの数にも入らないかりの子の
玉鬘をどこに隠したりしましょうか
(玉鬘は隠す必要のない私の妻ですよ)



翌年玉鬘は参内しますが
不安になった髭黒は
気持ちを無視して連れ帰ります
やがて玉鬘は髭黒の子を生みます



意にそぐわぬ結婚に
涙を流す
意外にも
玉鬘をわがものにしたのは
髭黒右大臣であった



(髭黒は、玉鬘の女房の手引きで
玉鬘の寝所に忍び込み強引に関係を結ぶ)


髭黒は手引きした女房や
石山観音に感謝するほど
有頂天であったが

玉鬘は意にそぐわぬ形で結婚
したことを嘆いていた

髭黒が不在の折に玉鬘を訪ねた
源氏は、母やつれした玉鬘の様子を
不憫に思いながら歌を詠みかわす


✤渡り川・みつせ川は三途の川の事

川辺に下りて水を汲んだのでは
ないけれども
(あなたと契りを結んだのではないけれど)
あなたが三途の川を渡るときに
ほかの男の背に負ぶさるとは
どう思っても、やはり
お約束しなかったのに

三途の川を渡らぬさきに
なんとかして、やはり
涙の川の流れに浮かぶ泡のように
消えてしまいとうございます

✤歌は、女が三途の川を渡るときには
最初に契った男の背中に背負われて渡る
という俗信を踏まえて詠まれており
第四句の「瀬」には「背」「夫(せ)」
掛けられてある。つまり人の背とは
髭黒大将の事を指す。
物の怪
取り憑かれた妻の乱心
髭黒右大臣の北の方はここ数年
物の怪に取り憑かれ
正気をなくすことがあり
夫婦仲は冷え切っていた

さらに髭黒と玉鬘の結婚に
北の方の悩みは増し
その苦悩は美しい髪が抜け落ちる
ほどであった


真木の柱はわれを忘れるな

灰を浴びせられて以降、髭黒は
北の方を嫌って遠ざかってしまった
このあり様を北の方の父・式部卿宮が聞きつけ
北の方と、子供たちを自分の邸へと
連れ帰るのでした

髭黒の邸を去る際、娘の真木柱
自邸と別れる悲しみを歌に詠み
その紙を柱のひび割れに押し込んだ

「真木柱」の巻名の由来でもある歌



✤どうして、このように逢いがたい
紫の人をこころに深く思い初めてしまった
のでしょう

どのような色とも存じあげずにおりました
紫の色を、人(帝)はお心をこめて染て
くださったのでございますね
(三位にしてくださいました帝の深い
お心もぞんじあげずにおりました)


春雨が降り続いてのどやかな
今日このごろ、古里の人のわたしを
あなたはどのように思い出して
いてくださるのだろうか
長雨の降り続く軒端の雫とともに
もの思いに沈む私は悲しみの涙で
袖を濡らしながら、ほんの少しの
間もあなた様をお偲びしないことが
ございましょうか


哀れなり髭黒右大臣
一家離散の結末
恋に不器用な男ゆえ
これまで連れ添ってきた病床の
北の方への配慮も欠けてしまう
美しかった髪も抜け落ちるほど
苦悩し
その目は泣き腫らしていた

しかし、それでも玉鬘のもとに
向かう夫のために
火取りを取寄せて衣に芳しい
香りを薫きしめてあげるという
いじらしさでありました

髭黒はそんな北の方
同情をしないわけではない
しかし、心は玉鬘を想ってうわの空
耐えがたくついに発作を起こした
北の方は半狂乱になり

二人の離縁は決定的になった

このように一家離散不幸
語る巻でもある

玉鬘は我が胸に一切の想いを
閉じ込めて
髭黒家良妻賢母として
生きるほかありませんでした

「また、いつもの浮気ごころですねぇ」
源氏物語の本文には
このような筆者のコメントが
まま見られる「草子地」と呼ばれます

『源氏物語』は、
"ある女房が、光源氏について語っている"
という形式で書かれている

だから「語り手はこう解釈しているが
真相はこうだろう?」と
何通りも読むことができる
読みの可能性が無限大である

<源氏物語エンディング曲>


<十二月二十二日投稿>
紫の上死去を語る
源氏物語第四十帖
御 法
惜しからぬこの身ながらも
限りとて薪尽きなむ事の悲しき
死んでも惜しくはないこの身でございますが
やはり、これを最後として命のつきますのが
悲しうございます

紫の上
光源氏と最愛の養女・明石の姫君
に看取られて八月十四日死去
(享年四十一歳)