- 「ゆっくり」でいいんだよ (ちくまプリマー新書)/辻 信一
- ¥798
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この本はとってもユニークな話ばかりで
いろんな視野からスローライフのあり方を
教えてもらいました
たとえば・・
南アメリカ大陸、エクアドルに住んでいるナマケモノの話。
仏像のような微笑を絶やさないため、
「森の菩薩様」とも呼ばれているらしい。
そんな、愛らしいナマケモノの話・・・。
昔、アメリカ大陸に移住してきたヨーロッパ人がナマケモノの
の動きが遅いということから「なまけもの」という名をつけたのだそう。
しかし、近年、生物学者は実はこのナマケモノ・・・なかなかすごい動物
らしいとわかってきました。
ナマケモノの動きがのろいのは筋肉が少ないから。
それはなるべくエネルギーを使わないで葉だけを食べていく知恵
ということがわかった。
筋肉がすくなければ体重が軽くなるから高い木、細い木にぶら下がる
ことができるので敵から襲われない。
7~8日に一度危険を承知でゆっくりと木の根元まで下りて
糞をする。
もし天敵にみつかればこんなに動きの遅い動物は食べられてしまうのに
ナマケモノは自分に食べ物をくれる木の根元に糞をすることで
もらった栄養をなるべく同じ木に返そうとしている。
自分の育ててくれる木を逆に支え、育てている
まさに「環境に優しい循環型の暮らし」。
競争や忙しさに追われる人間界にこんなふうに生きている
動物もいるんだよ。
競争に勝ってたくさんお金を稼ぐことや一生懸命勉強することでは
本当の幸せは得られないのではないだろうか・・・。
と作者は問いかけている。
でも今、森が切られ、行き場の失ったナマケモノは食用とされ、
つめをはがされ、手足を折られ、このおとなしくて無害な
彼らを残酷な扱いをされているという。
作者はそれを守る活動をしながら、
環境破壊、地球温暖化、戦争、飢餓、貧困、原爆・・・。
私達にできることは何なのか・・・。
面白い内容でありながらも、力強いメッセージのこめられた
一冊でした。