8月15日、多くの人々の切実な関心が震災復興と原発震災に向いている中、東京都による豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事の入札が公告され、入札は8月26日に迫っています。

そもそも取り除くことのできない、正確に調べてもいない汚染を、日本の最先端技術なら可能であるなどと弁明し、嘘と隠蔽、さらにはそこでの破綻をごまかすありとあらゆるレトリックを駆使し、議会すら踏みにじって官製地上げを断行することの狂気がどうやって本格的に始動したかの「そもそも論」を知って置く必要があると思います。

なぜ東京都がここまでの隠蔽や捏造をするのか、どうしてメディアがほとんど沈黙を保ち、都知事への批判をあらわにしないのか、ずいぶん書いてきましたが、原子力村の例とあまりに似ているがために想像していただくことも容易になってしまった気がします。
一言でいえば「利権」、ただし、それがいかに多種多様な儲け話や、売り飛ばし話や、黙っていればお金が落ちてくる仕組みのための強烈な「複合体」のがんじがらめ状態であるかも、「原子力の平和利用」と酷似しています。

湾岸の工大な土地、しかも汚染地を市場として売ることに前向きでなかった東京ガスは2000年に東京都に質問と意見を提起していますが、なんとそこで、東京都は、住民や関係者の反対運動があったとしても、それは都側が「対応」(つまりは、ソフトな「封殺」と見るべきでしょう)する、などの趣旨で回答をしています。今日はこの経緯を、改めて情報公開に基づき開示された資料で確認したいと思います。

まずはその前に3年前(もうそんなに!)にアップした来歴から、関連部分を引用します。
2008-08-11
【内容確認と転載希望】 東京の都市計画と築地立ち退き関連年表(拡大版)・イシハラ氏の動きとともに
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10125747752.html

2000年(平成12年)
6/2
 土地所有者の東京ガスが市場移転に難色を示す文書送付 ★(1) <土壌処理などを表明>
以下の記事から、翌年には都の費用負担まで示して合意にこぎつけています。
 http://www.jcptogidan.gr.jp/html/menu4/2007/20070329185417.html
 (略)濱渦副知事(当時)がいやがる東京ガスに無理やり受け入れさせるために、「築地市場の豊洲移転に関する東京都と東京ガスとの基本合意」(2001年7月)で、防潮護岸の整備経費は区画整理事業の事業費から除外し、「開発者負担金については、負担の仕組みを見直す」ことを取り決め、600億円と見こまれた防潮護岸整備事業費のうち、東京ガス負担分の免除するという「補償」をおこなったことを証明する(略)

~~~

さて、公開文書です。

東京ガスが2000年6月2日に
「弊社豊洲用地への築地市場移転に関わる御都のお考えについて(質問)」
という文書を出しています。そもそも、なぜこの土地を市場とするのか、本当に40ha必要なのか、反対意見があるのではないか、また工場跡地なので汚染対策や地下埋設物の除去などで期間がかかる、などとしています。
それに対して、東京都が6月27日に回答をしています。

後ろに全体を付けますが、本当にツッコミどころは満載、ちょっとした連載が書けそうな感じです。
ただ、時間もないので、今回は上記のそもそもの志の低さあるいは民主主義国家(いちおう)としての倫理の完璧なる欠如としての、「反対意見などがあったとしても 都の責任で封殺対応するから心配するな」(大意)としたところを取り上げます。

回答はこんな感じで始まっています。小さい画像はクリックで拡大します。
文書番号「12政政策第94号 平成12年6月27日」として、東京都福永副知事の名前で発行されています。

Like a rolling bean (new) 出来事録-000627東京都回答

これに先駆けた東京ガスの質問状では、以下のように、調整はどう図るのですか?(反対がありますよね?)と都に質問していますが、

Like a rolling bean (new) 出来事録-東京ガス質問
これに対して、1番目、3番目の質問でこんな回答をしています。


Like a rolling bean (new) 出来事録-都が「対応」
Like a rolling bean (new) 出来事録-移転は「対応」するから心配するなと

回答5-1
築地市場の業界団体の大勢は、移転推進であります。
市場移転については、市場当局と築地市場関係業界との協議機関である「築地市場再整備推進協議会」において、「移転整備のほうが合理性と実現性が高いとの判断のもと、極力速やかに、これまでの現在地再整備の方針を変更し、移転整備へと方向転換すべき」との意見集約を行っております。
築地市場の業界団体の大勢は、移転推進であります。一部に移転反対の意見もありますが、先端部の用地確保の見通しがつき次第、市場関係者の方々に、豊洲地域への移転について都の考え方を説明することにより、理解が得られるよう努力してまいります。
いずれにいたしましても、市場開設者としての都の責任において対応してまいります。

すでに市場内外で10万人規模の署名があったのに、一部の反対と断言しています。
「業界団体の大勢は、移転推進であります」、と前提として言い切ってしまったので、それが崩れることを恐れてあらゆることをしてきたのもわかりますね。

回答5-3
築地以上の移転推進については、都が、市場開設者として責任をもって対応してまいります。

用地取得の見通しが得られ、市場を豊洲に移転することになれば、移転にともない生じる様々な課題については、都が市場開設者として責任をもって対応してまいりますので、御社のご心配には及ばないものと存じます。

「理解が得られるよう努力するが、いずれにしても対応する」

つまり、もしも紛糾したり、反対意見が強かった場合にも、東京ガスがこの汚染地域を市場として使用することに同意して売却した点について、文句は言わせないから、つまり天下のお東京都様に丸投げして頂いていいですから、ご安心ください、と書いてありますよね??

(2番目の地元中央区などの反対にも「ご理解とご協力を得たいと考えております」、と平和裏の解決のような言葉が書かれていますが、特別区として都に従わない場合のある種の制裁措置がどういったことになるかは想像に難くありません。また、これが「中央区」だけの問題ではないだろう、というツッコミもしたいところです)

以下、クリックで拡大します。

東京ガス質問:

Like a rolling bean (new) 出来事録-000602東京ガス質問1
Like a rolling bean (new) 出来事録-000602東京ガス質問1
都の回答:

Like a rolling bean (new) 出来事録-000627都回答1
Like a rolling bean (new) 出来事録-000627都回答2

Like a rolling bean (new) 出来事録-000627都回答3

次エントリーでは、これを受けての翌年の浜渦副知事(当時)の合意書の画像をアップしたいと思います。

☆☆築地市場移転問題原告団のサイトができました☆☆
http://tsukiji-wo-mamoru.com/index.html
ぜひご覧ください。拡散もお願いします。
Like a rolling bean (new) 出来事録-原告団ロゴ

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液状化した豊洲新市場予定地。東京都が速攻でブルーシートをかける前。
石炭からガスを製造し、廃棄物を野積みにし埋めていた複合汚染地域にも関わらず、東京都の調査物質数は限られています。
液状化(噴砂だと言っていますが、同じ現象です)、により、汚染物質が移動したことからも、過去の調査に基づいた対策が取れない状態です。
なのに、水平方向にしか動かないからと入札をかけ、移転を断行しようとしています。Like a rolling bean (new) 出来事録-1103豊洲新市場液状化_1

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