国(統治機構:governing structure)が教育を競争の場に置き換えて、そのレースから1割未満のエリート候補生と、従順で「自己責任」と「自己犠牲」を善としてみとめお上には文句を言わない「それ以外」の子どもたちを「利得」として生み出そうとするとき、特にその従順さの涵養が「愛国心」という仕掛けを使ってなされる構図があり(ひとつ前のエントリーに挙げたように)、それはとても何かに似ている…とずっと思っていました。


あくまでわたし自身の感覚に基づくものですが、ひとつのイメージが浮かび上がりました。


それは、


素晴らしく美しく、良い香りの花を咲かせるバラだけであでやかなバラ園を作って、高い入場料を取ろうととするとき、必要以上の除草剤を使って「それ以外の」雑草の花が咲いてしまう余地を根絶しようとすること。


つまりは、


・「雑」草と見なされるものたとは、たとえ芽吹いても、花を咲かせて目だったかたちで自己主張をするなどは許されないと考えること、


・花として自己主張ができるための「レース」に参加する権利すらあらかじめ剥奪されていたとしても、そんなの当たり前でしょう、だってここは雑木林や自然の草地や野趣に満ちた植生を披露する場ではなく、効率的なバラ園なのだから、


・せめて、「美しい理念」の前に分をわきまえることで、このバラ園を守り立てるために、邪魔をしないようにしよう、


・・・そういった、全体秩序をが個人より優先させて疑わない思想をa prioriに正しいものとして甘んじて受け入れるために、「愛国心」という概念を、本来の郷土愛を逸脱して、除草剤として使うことに強く反対します。


さらに、芽を詰まれ、小さなうちから枯らされた草は、「最悪の場合、堆肥になる」ことだってできません。


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もちろん、人の手の加わったガーデニングを否定しているのでも、すべての化成品を邪悪だと騒ぐのか?といった誤解は、くれぐれもなさらないようにお願いいたします。


ただ、教育に求められていることは、生態系から外れたバラ園をつくることではありません。



以下、情報転載させていただきます。(赤字強調は引用者によります)


【声明】国家のための教育をめざす改訂学習指導要領は撤回すべきである

2008年4月2日                子どもと教科書全国ネット21


文部科学省は、08年3月28日、幼稚園・小学校・中学校の改訂学習指導要領を官報に告示した。文科省は告示にあたって、2月15日に発表した学習指導要領案に極めて重大な修正を行っている。学習指導要領案も容認できない重大な問題をもっていたが、修正した内容は、以下に指摘するように案の段階からいっそうの改悪が行われている。この改訂学習指導要領は、国家のための教育をめざし、これが実施されれば、教育や日本社会を壊し、「戦争する国」の人材育成のための教育が行われることになる。このような改訂学習指導要領は到底容認できるものではなく、私たちは撤回を強く求めるものである。


1.文科省は、政治家の圧力で愛国心教育など異例の重大な修正・改悪が行った。以下にその修正内容の問題点を指摘する。
(1)「総則」に、2つの重大な追加・修正を行っている。1つは、「案」の「(道徳教育は)伝統と文化を継承し、発展させ、個性豊かな文化の創造を図る」を「(道徳教育は)伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図る」に修正した。学習指導要領全体の土台となる「総則」に「愛国心教育」を盛り込んだことによって、子どもの内心に踏み込んであらゆる教育の場で「愛国心教育」が強制されることになる。さらに、後述するすべての教科などで愛国心を含む道徳教育を行えという規定が一段と効力を発揮することになる。もう1つは、「各学校においては、教育基本法及び学校教育法その他…に示すところに従い…適切な教育課程を編成する」を「各学校においては、教育基本法及び学校教育法その他…に示すところに従い…適切な教育課程を編成するものとし、これらに掲げる目標を達成するように教育を行う」に変えた。この追加した内容は、改悪教育基本法第2条の「愛国心」など20もの国定の徳目などである。学校教育法の義務教育の目標には、社会科で「我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き」なども含まれている。こうした国家が決めた目標の達成が義務づけられ、各学校は達成状況を文科省に点検されることになる。
(2)小学校の国語の1・2年生で「伝統的な言語文化に関する事項」の「昔話や伝説」を「昔話や神話・伝承」に修正した。小学校低学年で神話を「伝統文化」として教えろということである。
(3)小学校の音楽で「『君が代』はいずれの学年においても指導するものとする」を「『君が代』はいずれの学年においても歌えるよう指導するものとする」に修正した。「愛国心」教育と同様に、子どもの内心に踏み込み、さらに教員の指導方法まで明示して、歌えない子どもにむりやり歌わせる指導を強制するものである。これは、国旗国歌法制定時の政府答弁をも逸脱したものである。
(4)中学校社会で「我が国の安全と防衛の問題について考えさせる」を「我が国の安全と防衛及び国際貢献について考えさせる」に修正した。自衛隊の役割について海外派兵を国際貢献として正当化することを教えさせようとするものである。89年の学習指導要領改訂時に、この項目で「防衛」を加えたことを根拠に、文部省(当時)は、中学公民教科書の検定で「自衛隊は憲法違反ではない」と書くことを強要した。今回の修正は、政府の考えを一方的に盛り込み、さらに、政府・与党が目論む恒久派兵法を先取りしたものであり、教科書検定において、海外派兵を正当化する記述が強要されることになりかねない。


2.このような修正・追加が行われた背景には自民党の右派議員による圧力があったと推測される。文科省は、5679件の意見が寄せられ、「愛国心」や「道徳」教育強化の意見が多くあり、それを反映して修正したと主張している。しかし、パブリックコメントの全体は公開されていないし、これまでのパブリックコメント公募(例えば教育基本法や教育関連3法)では、文科省の政策に反対する意見はどんなに多くても無視してきた。日本会議は機関誌『日本の息吹』(08年3月号)で、学習指導要領改訂に対する16項目の要求と「『愛国心』『公共の精神』『規範意識』等の指導重視」の意見を文科省に出すよう呼びかけていた。また、日本教育再生機構(八木秀次理事長)も「案」には「改正された教育基本法・学校教育法の理念や目標がほとんど反映していない」とし、文科省に意見を送るサンプル「参照用コメント」を公表して意見を出すよう呼びかけていた。こうした民間の右派勢力による組織的な意見提出と呼応して、日本会議国会議員懇談会は、3月12日、16項目の修正要求を文科省に出している。これらの修正は明らかにこうした政治家や一部政治勢力の圧力によるものである。


3.改訂学習指導要領は、新自由主義と新保守主義(新国家主義)をふんだんに盛り込んだ内容である。前者は、「ゆとり教育」を見直し、授業時間数を増やし、詰め込み教育を復活、競争教育のいっそうの促進と一部のエリートを育成するねらいである。後者は、全ての教科と学校教育のあらゆる場面で「愛国心」「道徳」教育を強要するものである。
改訂学習指導要領は、教育再生会議が求めていた「道徳の教科化」は行わなかったが、全教科で道徳を教えることを押しつける全教科の「道徳化」を行っている。改訂学習指導要領の道徳の中心的な柱は「愛国心教育」であり、全教科の「道徳化」は、全ての教科で「愛国心教育」を強要するものである。小学校・中学校とも、道徳の時間だけでなく、国語、社会、算数・数学、理科、生活(小学校のみ)、音楽、美術、保健体育、技術・家庭、外国語、総合的な学習の時間、特別活動といった学校の教育活動全体で、「日本人としての自覚をもって国を愛し、国家の発展に努めるとともに、優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献する」ことや「奉仕の精神をもって、公共の福祉と社会の発展に努める」(中学校「道徳」)ことを教えさせようとしている。
改訂学習指導要領の各教科などの最後にある「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」には「第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら、第3章道徳の第2に示す内容について、○○科の特質に応じて適切な指導をすること。」とある(○○科のところに科目名が入る)。
「総則の第1の2」は、「道徳教育は…学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳の時間はもとより、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動」のすべてで行えという規定である。「第3章道徳の第2に示す内容」というのは国家が定めた小学校56項目、中学校24項目の徳目である。その中に前述のような滅私奉公や愛国心教育が盛り込まれているのである。「道徳」の文字は、小学校で93回、中学校で97回も出てくる。まさに、「道徳学習指導要領」「愛国心学習指導要領」というべきものである。
各教科や総合的な学習の時間、特別活動の「指導計画の作成と内容の取扱い」でいっていることは、全教科、学校の教育活動のすべてで「道徳教育」「愛国心教育」を行えということである。「内容の取扱い」は教科書検定基準であり、文科省はすべての教科の教科書に「愛国心」や「道徳」を盛り込むよう要求できることになる。
「戦争する国」にするためには、憲法9条を改悪するだけでなく、自衛軍(自民党「新憲法草案」)に参加し戦地で命を投げ出す人間をつくらなければならない。そのためには、アメリカがやっているように、格差拡大による生活困窮者、特にワーキングプアや非正規雇用、働き口のない若者をつくりだすことと、教育によって愛国心と滅私奉公の精神を植えつけ、国家に従順に従う人間をつくることである。今日、格差拡大による自衛軍予備者は巷にあふれている。新指導要領は、後者の「心の総動員」をめざすものである。子どもを早くから「勝ち組」「負け組」に選別し、「負け組」の烙印を押された子どもが国家に逆らわないように、国が心まで支配するねらいである
 私たちは、このような憲法に違反する「戦争する国」の人材育成をめざす改訂学習指導要領はただちに撤回するよう強く要求するものである。


子どもと教科書全国ネット21
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-1 小宮山ビル201
        03-3265-7606 Fax 03-3239-8590



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「運転再開は白紙」と所長が年頭会見で強調されたそうですが、動向を見守りたいと思います。

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