日曜の朝、サンプロを流していたら、サブプライムローンの損失額に対しての平均株価の低下率が日本では極端に高い、jkれはどうすべきか、といった点をタハラ氏がフリップを使ってタケナカ氏に質問し、「政治的な対応のまずさは否めないだろう」というコメンテータの意見などが挙げられていました。


すると、これに対して、タケナカ氏は、またもしたり顔で


「わたくしが言ってきたような、郵政民営化のように対外的にアピールできるカイカクが進んでいないからだ」、

であるからして、

「日本の法人税率を下げることなどをしないと外国人投資家の日本回帰は進まないでしょう」、


と力説していました。


ばかばかしいので「スルー」してもよいのですが、せっかくなのでデータを示しておきます。


・・・幾度も書いてしまったことで、内容としては繰り返しになりますが、日本の実効的な法人税率は、法人所得税や社会保険費の負担を考慮すれば実はそんなに高くありません。


そうした点からも、法人税率引き下げの具体的な対外アピールをしたところで、すぐにめっきが剥がれるものに過ぎないことなど、およそ簡単に見積れるというのに、常識の通じない、いつものタケナカ詭弁です。


OECDの資料からグラフに落としていた、最初にわたしが見た論文が見つかりませんでした。

ただ、たとえば下のようなまとめがあります。


■1 神奈川県総務部の資料より:

http://www.pref.kanagawa.jp/kenzei/kaikaku/working-houkoku0706-9.pdf


法人課税の負担に関するGDP対比による国際比較 (まとめ) (2004 年:%)

(クリックで拡大)
2004年度法人課税対GDP負担


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2004年度法人課税対GDP負担グラフ

■2 税制新人会全国協議会の論文

『法人実効税率のごまかしと法人所得課税 政府税調答申、経団連提言を斬る』より:
http://www.zsk.ne.jp/zeikei/ronbun.html


2004年法人負担率比較


071003政府税調資料(日経)孫引き

一見にしかず、というところではないでしょうか?


この、■2の資料から引用します。丸数字の「注③」を「注3」と書き換えてあります。

(5)企業負担は社会保険料負担もあわせて考える


企業の税負担の国際比較を行なう場合には、一種の目的税と考えられる社会保険料の企業負担もあわせて考えるべきです(図参照、垣内亮氏作成)。政府税調も同じ考えから委託研究(注)を行い、結果を発表しました(図参照)。


この結果を見ると、日本の企業の負担率は、アメリカ、イギリスよりは高いが、ドイツ、フランスよりは低いことがわかります。日本の実効税率は世界一高いから、10%引き下げろといっていた財界の要望の理不尽さがわかります。政府税調もこの結果を受けて、「わが国の企業負担は現状では国際的に見て必ずしも高い水準にはないという結果を得た」と言っています。


ところが、その後に続けて「法人実効税率の引き下げについては当調査会の議論において、法人課税の国際的動向に照らして、必要であるとの意見が多かった」と言っています。その論理は、事実を無視した財界迎合、支離滅裂といえましょう(「答申」18頁)。


経団連の御手洗会長は法人実効税率引き下げの財源を問われて、「(消費税を)11年までに2%、15年までに3%ぐらいあげると(御手洗ビジョンに)明確に書いてある」(07年2月26日の記者会見)と述べていますが、消費税増税を法人税減税の財源にという財界の本音を思わず語ってしまったものです。


「日本の法人の実効税率は高すぎる」というのは、結局、財界が大企業の税負担を引き下げる、その分を庶民増税の消費税増税へ押し付けるための、ごまかしの口実だったのです(注3)。


(略)


注3) 日本経団連「活力と魅力溢れる日本をめざして」(奥田ビジョン03年1月)の中で、奥田氏は社会保険料の事業主負担について次のように述べています。「サラリーマンの社会保険料(特に厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険)は、本人と事業主とのマッチング拠出が前提となっている。これは本来、個人が全額負担するところを事業主が肩代わりするものであり、長期雇用がほとんどすべてであった時代には効率的に機能していた。・・・雇用の多様化がすすむなかで、働き方によって負担の仕方が変ることは、個人の選択を歪めかねない。したがって、今後は個人の働き方に中立的な保険料賦課方式とすることが望ましい。たとえば、企業の従業員についても、自営業者と同様、保険料を全額本人が負担する方法に改めることが考えられる。」即ち、図の社会保険料負担をゼロにしようというわけです。「要望」で日本経団連は法人地方税の廃止も要求しています。あわせて、法人実効税率世界最低をめざすものです。

※個人的に、年度末の二つ目の山が目前なので、まとまりがありませんが、ひとまず資料を覚え書きとしてアップしておきます。