今朝(2/27)の日経に、未成年向けの携帯のフィルタリングが厳しすぎましたねそうですねゲームくらいできないとね、という総務省らしからぬ大盤振る舞いのニュースが出ていたので(日経記事の全文はネットにはないのですが、ホワイトリスト方式からブラックリスト方式へという総務省方針を強調していました)、これはユーザーニーズに沿ったというよりは、ゲーム業界やコンテンツプロバイダへの何らかの配慮があるのか、あるいはもっと他の条件との交換条件なのかと気になっていたのですが・・・


携帯の閲覧規制改善、総務省が要請へ・ゲームや小説まで有害

 携帯電話で出会い系サイトなど有害サイトの閲覧を制限する「フィルタリングサービス」について、総務省はNTTドコモなど携帯電話会社にゲームやケータイ小説などのサイトを閲覧できるように改善を求める方針を決めた。27日に有識者を集めて開く検討会で対応を促す。

 総務省は昨年12月に携帯各社に閲覧の制限サービスの導入を要請した。ドコモやKDDI、ソフトバンクモバイル、PHSのウィルコムは未成年者が新規契約する際に原則加入する取り組みを始めている。 (10:01)

すると、ヤメ記者弁護士さんのブログを拝読するにいたり、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の開催に連動しているらしいことが分かりました。

案の定、後者の「交換条件」(つまり、ゲームは携帯からアクセスさせてあげるから、お上の規制したいものを多少拡張してもいいですよねええそうですよね、ということ)のようです。



08/2/27 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)

ネット規制はもう目前~インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会


 情報通信法構想によるインターネットコンテンツへの総務省直轄規制に先んじて、総務省は青少年育成保護を盾に、名誉毀損などの権力にとって不都合な表現に対する実質的な事前差し止めを推し進めようとしている。「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」(座長堀部政男一橋大学名誉教授)がそれで、明日27日に開催される第4回検討会で、ついに、「インターネット上のコンテンツの評価システム」について検討されるようだ(※1)。

 この評価システムは相当くせ者っぽい。というのも、上の図を見てほしい。上の図は、同研究会において、総務省が「インターネット上の違法・有害情報に関する
総務省の取組について」と題して作成し、配布した資料だ( ※2)。

この資料を見ると、研究会の目的は、赤線を引いたところに書いてあるように、「児童ポルノ」「麻薬販売」「アダルト画像」「暴力的画像」「爆発物の製造・使用」「自殺等を誘発する情報」などに対するプロバイダなどの自主的対策を支援することにあるはずだ。

それなのに、赤線の矢印をたどると分かるように、具体的な対策として重点を置かれているのは、上記の有害な情報のみならず、「名誉毀損」「個人情報」に関するものだ。

ご丁寧に、「研究会では、これらの管理者による送信防止措置を促進する方法を検討」と書いてある…。


(続きはヤメ蚊さんのリンク先のエントリーをご覧下さい)

引用が事後承諾となり、申し訳ありません。

最近、gooにも一切TBが通らなくなってしまったのですが(他もかなり不調です)、今日は大丈夫でしょうか。。


ヤメ蚊さんのエントリーの( ※2)は、総務省の

インターネット上の違法・有害情報に関する総務省の取組について (PDF)を指しています。

PowerPointで作成された32ページ分です。


昨年、こちらでもエントリーにアップしてきた、「情報通信法」の構想(ホームページ、ブログを「公然通信」として取り締まろうとするものです)の場合も、何をもって「有害」「名誉毀損」とするかの要件が判然としないままに、ただ通信なのだから規制の事由としよう、という思惑が垣間見え、非常に恐ろしいものを感じていました。

今回まさにその枠組みが図示されていることから、まず、青少年「保護」でその適用の実績をつくろうというのでしょう。


老舗のInternet Watchにも、会合開催後の懸念の声が掲載されています。

Internet Watch 08/2/27

“フィルタリング原則化”の“一般化”を懸念する声も~総務省の検討会

 総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の第4回会合が27日に開催された。今回は、中間報告書に盛り込む要素についての骨子案が、事務局である総務省から示された。主に携帯電話のフィルタリングについての議論を報告するかたちになり、現状の携帯フィルタリングサービスには課題があることを指摘するとともに、改善の方向性も示す。


 具体的に盛り込む要素は、1)携帯電話等のフィルタリングサービスの「現状モデル」の課題、2)携帯電話等のフィルタリングサービスの改善の方向性、3)携帯電話のフィルタリングサービスにとどまらない課題──の3分野。(管理人注: 「とどまらない課題」って、つまりは補集合をここで持ち出したら、ネットのすべてが対象になりますよね)

 まず、1)については、現状モデルでは、フィルタリングポリシーが一律であるため、個人の価値観や年齢差を反映できない点や、コミュニティサイトなど遮断されるサイトが広範囲であること、ホワイトリスト方式を採用するサービスでは携帯キャリアによるコンテンツ選別となる恐れがあること、フィルタリングサービスの認知度が上がっている一方で中身については必ずしもユーザーに理解されていない点などがある。

 2)については、ユーザーが個別に判断して選択できるようにするとともに、優良なコンテンツへアクセスできるようにするための「サービスの多様性」や、「サービスの利用簡便性」などを、改善の方向性としてフィルタリングサービスに求められるとしている。また、「優良なコンテンツ」の基準の策定などを行なう第三者機関の必要性を指摘するとともに、その中立性や透明性を確保する方策も盛り込むという。

 3)については、インターネット・メディアリテラシーの向上のための教育・啓発活動や、違法・有害情報(管理人注: 何をもってして?)の検知技術の向上、ユーザーの選択の手がかり(管理人注: じゃなくて情報選別の手段でしょう?)としてのラベリングおよびレーティング(管理人注: 紙媒体のようなラベル貼りだけでなく、そのことを直接規制、通信規制に使えるのが問題ですよね)といった項目を挙げている。

 今回の会合では、委員の1人である奈良先端科学技術大学院大学教授の山口英氏が、携帯コンテンツとキャリアによるフィルタリングの議論に終始している点を指摘。「私のような一般的なコンピュータネットワーク屋から見ると、統制と規制が多く行なわれているところ」との印象を受けるとした上で、この流れがインターネットでも「一般化されるのを恐れている」と述べた。

 コスト負担のあり方に関しても、携帯キャリアだからこそフィルタリングが可能だが、これが一般のプロバイダーでは不可能だとして、報告書がひとり歩きすることで、プロバイダーのビジネスモデルに大きな影響を与える可能性も指摘した。「検討会の名称に『インターネット上の』と付いているが、中間報告書を出す時は『携帯電話オンリー』にしてもらいたい」(山口氏)。

 なお、検討会では、4月にとりまとめる中間報告書において、まずはフィルタリング関連について報告したのち、秋頃にとりまとめる最終報告書で違法・有害情報対策全般を盛り込むスケジュールを想定している。

 また、他の委員からは、検討会での議論が当初からフィルタリングありきの議論になっている点について、「有害情報対策はいろいろな方法ある。その方向性を議論すべきであり、フィルタリングはその1つに過ぎない」との指摘や、現状モデルでは問題があるにもかかわらず導入促進を図る方向性を示していることについて、「問題があるなら、解決するまで導入促進は止めるべき」との指摘もあった。

有害、名誉毀損、個人情報、にひっかかりそうなものがあまねくフィルタリングの根拠とされるならば、


・フクダ氏周辺の他人ごと政治のあれこれや(アバウトすぎますが)、

・日本の経済は一流ではないと宣言した大田大臣への批判や、

・大阪府知事の弱者切捨て宣言や家庭内児童虐待疑惑や、

・鳩山法相の度重なる仰天発言の追求や、

・米兵による女子中学生強姦事件への怒りも、

・イージス艦事件に対する内閣防衛省ぐるみの画策への疑惑も、

・ロス疑惑のタイミングよすぎる蒸し返しの疑念や、

・新銀行東京が都知事の息子の地盤での優先的融資疑惑も、

・鈴木宗男さんや植草さんの国策逮捕への懸念も、

・七生養護学校事件で教育現場に不当介入した議員と都教委への怒りも、

・キヤノン大分工場建設での経団連ミタライ会長へのキックバック疑惑も、

・柏崎刈羽原発事故での東電と行政の不祥事隠蔽の片鱗と直近の展開 も、

・NHK経営院長と会長のグレーすぎる人事も、

・岩国市長選での、対立候補からの伊原さん誹謗戦術への糾弾も、

・年金問題で風呂敷を広げたマスゾエ大臣の人生の風呂敷?のことも、

・・・・・・


ともかく、霞ヶ関に直接・間接的に都合の悪い事象は、ネットでは発言できない、フィルタリングされうるということになります。


今回のような一見しての歩み寄りに目を曇らされず、内心と言論がいかに大きな危機に晒されているかを少しで多くの方に伝えなくてはと思います。


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そういえば(上の事例殴り書きをしていて思いだしたのですが)、愛知県での情報公開の「黒塗り」でなく「白塗り」がようやく改善されたそうです。それでも過剰な黒塗り(情報隠し)行われないとも限りませんが、「白塗り」では、そもそもそこに記載があったか否かも不明、ということのことには気付きませんでした。

中日新聞 非開示情報 白塗り→黒塗り やっと愛知県、記載有無明確に


2008年2月18日 朝刊


 情報公開の非開示情報を都道府県で唯一、完全な白塗りにして請求者に提示している愛知県が新年度から黒塗りに変える。有識者らでつくる県の情報公開審査会で「記載があって非公開にしたのか、そもそも記載がなかったのか分からない」との指摘を受けたため。これまでも「隠したことすら分からない情報の“二重隠し”」などとオンブズマンらが改善を申し入れていたが、コストや手間がかかることを理由に白塗りを続けていた。


 公文書の情報公開請求では、該当する書類を個人情報などを除いて部分開示する場合、ほとんどの自治体や行政機関は非開示部分を黒く塗りつぶして提示。どの部分を非公開にしたかは一目で分かるようになっている。


 愛知県では、原本の非開示情報の上に取り外し可能な白いテープを張り、そのコピーを公開している。このため余白との区別がつかず、非開示の情報があるのか、もともとないのか見分けるのが困難となっている。


 担当者は「黒塗りにする場合、原本のコピーを黒く塗り、それをさらに透けないようにコピーするためコストや手間が2倍かかる。黒いテープは白いテープより割高で使えなかっただけで、隠した印象を薄めるような意図はない」と説明。


 非開示部分が分かりにくいことについては「どんな情報をどういう理由で非公開にしたのかが重要。非公開にした情報がどこにあるかは本質的なことではない」と話す。


 しかし、昨年4月の情報公開審査会で委員が「初めから情報がなかったと誤解する恐れがある」と指摘。県が昨年、実施した調査でも都道府県で白塗りなのは愛知のほか、山形と奈良だけ。ただ両県は非開示部分に縁取りや蛍光ペンでマークするなどして請求者に分かるようにしており、“主流派”に乗り換えることにした。


 新年度からは非開示部分に黒テープを張り、コピーを公開。テープは1メートル当たり200円ほど高くなるという。愛知県には2006年度、3万5529件の情報公開請求があり、うち部分開示は2万5531件(72%)だった。


◆市民団体「遅きに失した」


 「真っ白な文書にがくぜんとした。白塗りでは、非開示対象以外の情報まで意図的に隠され、最初からなかったような顔をされる恐れがある」

 非開示情報の黒塗り化を愛知県に求めてきた全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は、これまでの姿勢を厳しく批判する。


 1996年。全国の都道府県と政令市に来庁依頼書と出張命令簿を公開請求し照合した。ある県の出張命令簿で5人が別の県に出張した日に、訪問先の県の来庁依頼書で3人しか来ていなかった場合、残る2人はカラ出張の疑いが出てくる。


 しかし、愛知県の出張命令簿と来庁依頼書は真っ白。何人が訪れたのかも分からなかった。他県は1人ずつの氏名が黒塗りにされ、人数は判明。書類を照合した結果、複数の県でずれがあり、中には三重県のように最終的にカラ出張が判明したケースもあったという。


 新海事務局長は「非公開部分が本当に限定されているかどうかを確かめるためにも、非開示情報がどこにあるのかは重要」と指摘。「白塗りは情報公開に対する県の理解の浅さを物語っている。(黒塗りは)遅きに失した」と話した。

白塗りにしてきた積極的な意図が見えます。


こうして染み付いた隠蔽の気質は、地方・中央行政に関わらず色濃く残るもので、これがさらに高れば、白にも黒にも塗らずただ「書類はなかった」「報告はなかった」と胸を張り、事実を伝えようとするネットには、善意を装おうフィルタリングで、アクセス不可能とされてしまいます。リアルだけでなくバーチャルでの証拠の破棄を行う意図が、ネット規制です。


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