昨日の話題の続きとして、朝日にこんな報道がありました。
たしかに2名の沖縄出身の議員さんは、自民党所属とはいえ、自らのアイデンティティに関わるところにまで捏造が至ったことは問題視しているでしょう。
ただ、報道そのものに沖縄をクールダウンさせる目的がありそうに読み取れてしまうのは、中山氏のコメントが付記されているためなのでしょう。
asahi.com 沖縄戦の教科書検定、自民党内からも異論 2007年06月12日18時42分
自民党の「教育再生に関する特命委員会」が12日開かれ、来春から高校で使われる教科書に関する文部科学省の検定について討議した。沖縄戦での集団自決をめぐり「日本軍に強制された」という趣旨の記述を削除するよう意見が付いたことに対して、沖縄出身の嘉数知賢 、仲村正治 両衆院議員らから問題とする発言が出た。
両氏は「この表現では勝手に死んだと読める」「当時の日本軍を責めるつもりはないが、歴史的事実は事実として後世に伝える必要がある」などと述べた。委員長の中山成彬 元文科相も、南京大虐殺や慰安婦の記述について問題とする一方、沖縄戦の記述にもふれ、「文科省は外に弱く、内に強いのではないのか」と発言した。
今さらわたしが書くに及ばないですが、自由主義史観研究会 が沖縄現地調査を実施したことから、教科書検定に懸念が広がっていたそうですが(昨日のエントリーで挙げた高橋先生の資料でも言及されています)、その研究会と密接につながり、「日本の前途と歴史教育を考える会」の代表を勤める中山氏の言説をストレートに捉えられません。
関連リンク
国を憂い、われとわが身を甘やかすの記 阿比留瑠比 http://abirur.iza.ne.jp/blog/day/20070308/~~~
とこで、週末、出先で見たニュースでは、高市早苗氏が食育推進全国大会で、元気いっぱいな様子で、「食事の前と後に挨拶をしましょう!」と話していました。
福井新聞ONLINE 食育推進全国大会が開幕 サンドーム福井 6月9日午後10時23分
国民の健康増進を図るため、規則正しい、栄養バランスの取れた食生活の普及を目指す「第2回食育推進全国大会」は9日、サンドーム福井で開幕した。県内外164団体が147ブースに出展。会場には7200人が詰め掛け、各ブースを回ったり専門家によるフォーラムや講演などを聴講して「食」への認識を深めた。
大会は、毎年6月の食育月間に合わせ、昨年から内閣府などが開催。食育の祖とされる石塚左玄の出身地でもある本県で開かれる今大会のテーマは「健康長寿の福井から全国に広げる食育の輪」。
開会式で高市早苗内閣府特命担当相は「食育先進県の良さを前面に押し出した充実した内容となった。先進県の名にふさわしい取り組み、成果に期待している」とあいさつ。西川知事は「食育に全力で取り組んでいる本県の食文化を全国にPRしたい」と述べた。
開会式に先立ち、高市担当相や服部栄養専門学校の服部幸應校長ら8人による最終の有識者懇談会が開かれ、食卓を囲む機会の増加、情報提供活動や体験活動の充実などを骨子とする重点項目を取りまとめた。
あまりに正論で、それだけに大声で主張されるとなんとも気分が落ち着かないものの一環です。
良い食習慣、ワークライフバランス、自律的な働き方、すべてこの数年で手垢が付けられてしまいました。
内閣府食育推進担当ホームページ
には、高市氏による大臣コラム「わたしと食」
があります。
以下はその一部ですが、
わが家は共働きでした。両親ともに帰宅は遅かったのですが、ほとんど毎晩、家族そろって食卓を囲んでいました。
わたしは、小学校でいじめに遭った時期がありましたが、自ら親に打ち明けるのは嫌でした。ところが、子供のわずかな表情の変化や食の進み具合から、母は鋭く異変を察知します。「早苗ちゃん、学校で何か嫌なことがあったのでしょう」。「何も無いよ」と否定しても、事実を告白するまで問い詰められました。事情を理解した母は、翌日休暇を取っていじめっ子を諭してくれ、問題は解決しました。
メーカー勤務だった父は「そんな話を子供に聞かせても分からないわよ」と苦笑する母を尻目に、営業の苦労や品質管理活動など、いろいろな話をしてくれました。後年、わたしは迷わず経営学を専攻。父は、無意識に食卓でキャリア教育をしてくれていたことになります。
現在、家族そろって夕食をとる頻度が週2~3日というご家庭が最も多く、テレビを見ながら食事をする子供が約90%です。食卓での貴重な教育のチャンスを生かしたいですね。
理解のある幸せな家庭に育ったことは大変喜ばしく、エピソードも一見してほほえましいものであるけれど、しかし今の共稼ぎ家族が「ほとんど毎晩、家族そろって」の食事ができる状況にないことには気付いていないのでしょうか。
日本農業新聞に掲載されたという気軽なコラムに絡むことが本意ではないのですが、大臣コラムというタイトルの持つ重さを考えていただきたいものです。
家族で食事をしていたからこそ親がいじめ問題にも対峙できたとすることは、「親学」とのつながりを喚起させます。
(さらには、高市氏の夫婦別姓に関する、時に流される不思議な言動をも思い出します)
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この「国民運動」の重点事項として挙げられている事項を読むと、たまらなく複雑な気分になります。
内閣府 食育推進国民運動の重点事項(PDF)
平成19年6月9日 食育推進有識者懇談会
【略】
・・・ 一方、「早寝早起き朝ごはん」運動、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」等の食育に関連する運動の推進が図られているものの、食育の周知度は7割に満たないなど、その重要性についていまだ国民全般に浸透していない面も見受けられ、国民運動としての食育の推進には全体として更なる充実が求められている状況にある。
Ⅰ 家庭における保護者等の取組
【略】
家庭において父母その他の保護者が取り組む食育は、国民運動を進める上での中心となる。特に子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものであることから、父母その他の保護者等には、子どもの発達段階に応じて、食に関する基本所作の実践や基礎の理解、健全な食習慣等を身につけさせる役割が期待されるとともに、自らも「食」についての意識を高め、健全な食生活を実践しようとすることに努めることが期待される。
【略】
<食前・食後の挨拶の習慣化>
「いただきます」、「ごちそうさま」の挨拶の実践 等【略】
なぜここまで介入するのしょう。
不可解です。家庭での食事の味「美しさ」と食事の供されるありさまの「美しさ」をことさらに強調することが。
「これらが遵守できないのは倫理観のない親である」という幻想を植え付けることは、本当に、この国民運動の目的にないのでしょうか?
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