津久井さんからTBをいただいたエントリー『石原慎太郎脚本・総指揮の戦争美化映画 』で、イシハラ監修映画、「俺は、君のためにこそ死にに行く」の詳細を知りました。

(映画の公式サイトは拝見したものの、リンクを張らないことにします)


津久井さんのエントリーから引用させていただきます:

私は都知事選について,あえてコメントしないつもりなんですが,この映画の脚本を書き,製作総指揮を務めた石原慎太郎氏は,この映画の記者会見で,
「平和が60年続いているが、その中で失いつつあるものがある」
「受け継いでいかないといけない価値観や志が希薄になってきた」
「失ってはいけないものを取り戻す」
「当時の美しい青春像を若い俳優に体験してもらって,いい財産になればと思う」

と,慎重に遠回しな言い方であるが,特攻隊精神を美化する発言をしています。

そういうことで、噂は聞いていてたのですが、この時期、軟化して見えるイシハラ氏の本質が透けて見えます。


戦前のよさ(とりわけ新自由主義で人心がすさむ以前の、心優しきまっすぐな若者の心など)をすべて否定しているわけではありません。ただ、

自殺の犠牲者にしても、

災害の犠牲者にしても、

もちろん戦争の犠牲者にしても、

彼らの「美しい」姿とその後の悲劇から、あやまちを繰り返さないための教訓を得るのは是です。


しかし、特攻隊の精神の美しさだけを賛美することは、若者をミスリードする可能性が非常に高い、そうしたことは首長としてわきまえるべきでしょう。


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候補者の言説の中身を完全に検証し、著作物や成果も全て読み知り、映画も見てから判断を下すことができればよいのですが、それは不可能です。

また、これらの戦争経験者や女性には戦争映画を身体が拒否するというケースも(日本の事例ではありませんが、『プライベート・ライアン』などではPTSDの方も出ています)あるので、中身を検証することが全員にできるわけではないでしょう。


ただ、イシハラという人が、決してわが息子たちや孫たちは戦争には借り出されないという対岸にいる以上、戦争に関わる「美しさ」を語ることにはもっとデリケートな感性をもってあたるべきでしょう。

芸術家としてでなく、首長として。


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先日のエントリー で田中秀征氏の見解を紹介した、無党派が候補者を選ぶ6つのポイント、が示唆的なので再度引用します。

ひとつだけをよりどころにして決定するわけでないのです。

しかし、許容できない重要なポイントは各所にあります。


1. 人物──資質、能力、性格、経歴、知名度など。その人がどんな人か
2. 主張──選挙公約(マニフェスト)、今までの政治的発言、歴史認識など。の人が何を考え、何をしようとしているか
3. 出馬の経緯──自ら手を挙げたのか、推されて出馬するのか。決断の動機は何か
4. 支援体制──主要な支持基盤。中核となる連動組織。要するに、主としてどんな政党や団体が支援活動をしているか
5. 政治状況──現在の内外の政治情勢。一般的に有権者意識の動向
6. 選挙戦の構図──どんな候補がどんな運動を展開しているか


イシハラ氏が都知事という立場にある時期に若い人に対して何を考え、何をしようとしてきたかの紹介です。


【参考資料】

◆日本財団図書館 2000/03/06 産経新聞朝刊【日本よ】石原慎太郎 ああ、子供たちよ石原慎太郎(作家)

◆戸塚ヨットスクールを支援する会 会長 石原慎太郎 我々の手で教育改革を!

東京の性教育攻撃と障害児教育内容介入

「つくる会」教科書・東京都教委採択「なぜ養護学校なの」――戸惑う父母ら

◆レイバーネット 都知事選挙・最大の争点は「君が代」強制問題

国旗国歌は義務でない—東京地裁、都と都教委に賠償命令 - ウィキニュース


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一昨日の記事への、ヤマボウシさんからいただいたコメントとそちらへの返信コメントを引用します。

(一部、改行などを変えています)


ヤマボウシさん

>国会が開かれているだけでこんなに、毎日が坂道を落ちているかのような危機感とともに意識を研ぎ済ませなくてはならない時代をわたしは知らない。60年安保の時期がこのようだったのでしょうか?


安保のときは「山」が1つだけだったのでしょうが。今は「山脈」ですよね。しかも今は、大マスコミと大衆がその危機感を共有できていないわけで……。

まったく眩暈を覚えますね。それでも、われわれは局面によっては無力ではないし、契機によっては「山」も動くと思います。


Rolling Bean:
本当に、今越えなくてはならないものは山脈であって(ただ、安保のときは、ひとつの山であっても、0から1の変化なので大きかったとは思いますが)、しかし今のその山脈は、どこが尾根なのかすらもマスコミは報道しませんね・・・。

 ・改憲手続き

 ・教育のコントロール

 ・言論統制と監視のシステム

 ・セーフティネットの切捨て


そこに、経済の無策とアメリカ盲従と、国際社会からの孤立というおまけつきです。

統一地方選挙は、わたし達にとって動かすべき大きな山であると同時に、相手側も徹底して山を動かすまいと手を変え品を変え、韜晦してくるのだろうと思います。


そこには明らかな謀略以外にも、分断の罠も多く仕込まれているだろうと思いますが、負けない「意思」が最後はもっとも強い力になると思っています。


自由を保つためには、

短期的には何を達成し、

中期的には何を守り、

長期的にはどこに向かおうとしているのか。


すべてを考えつくすことはできないにしても、いつも意識していたいと考えます。


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