ありがたい事に超絶人気嬢なので
毎回出勤前に予約で埋まり休憩なく多忙だった私。

やっと最後のお客様と別れ
疲れながらも笑顔で送迎の車に乗り
やっと帰れる〜!と一息付いた時

「。。ごめん!実は店長が間違ってもう1本予約受けちゃってて、
そのお客さんラストまで待つって言ってくれてもうホテルに入っちゃってるんだよね。。嫌なら断るけどどうする?」

と聞かれて、プロ根性丸出しな私は
「せっかく待ってくれてるし行こう!」
ともう1番仕事モードに切り替えホテルへ。

人気嬢なので高いホテルに呼ばれる事が普通でしたが、
そのお客様が待ってるホテルは入った事もない安いホテル。

特に偏見もなく入って行き、
スタッフの陰に隠れて顔確認をして
いざご対面!とドアの中を覗いたら
既に部屋に戻っていていなかった。

いつもなら待ちきれない様子でドアの前で待っていてくれて、
「こんばんは〜!」と笑顔で挨拶したらすぐに会話しながら一緒に部屋に行く方ばかりだったから、初めての経験に嬉しくなった。

この人はガツガツしてなさそうだし
良かった〜、でも最後なのに冷たい人っぽいなーと考えながら、
脱いだ靴を揃えた。

貫禄のあるおじさまかな?とイメージしていたので、
部屋に入って「こんばんは〜!」と言って
ソファに座るお客様を見た途端に笑いが止まらない。

なぜあんなにも笑いが止まらなかったのか
今もわからないけど、
とにかく失礼なくらい笑いっぱなし。
唖然とするお客様。

まさか作業着姿でこんな若い人だとは思わなかったからなのか
疲れている中でも気を張って全力で働いて来て、なぜか緊急の糸が切れて気が緩んだのか、
理由はさっぱりわからないけど
子供のように笑っていた。

その笑顔を見て、笑顔が好きなそのお客様は私に興味を持ったらしい。

そこからソファに座って普通に話して
仕事モードに切り替えてしっかり仕事をこなす。

お風呂の中で子供のような話をするお客様を見て、純粋なのかな〜と癒される。

そしてベッドに入り、いつの間にか腕枕で爆睡。

私はプロ根性が高く絶対に時間を忘れないし、何より得体の知れない初対面の男性の側で無防備に眠るなんてあり得ない事。

でも寝てしまった。
帰る時間を知らせるタイマーが鳴っても気付かずに寝ていた。

起こされて慌てて起きて帰る支度。
初めて思った。

このままこの人と一緒に寝たいなって。

でも所詮客は客、私は風俗嬢!と気を引き締めて退散。

LINE教えてと言われて、お客様に教えたのも初めてだった。

その後、物凄くしつこくLINEが来たけど
仕事が忙しいし顔も忘れちゃったし
稼ぐ事が楽しくて男に興味がなかったので
ほぼ無視。電話来てもほぼ無視。
たまに返したりたまに電話に出る程度。

なぜあの人にだけ、あんなに心から笑ったんだろうって疑問は残っていたけど
頭からは消えていた。

なのにインフルと軽い胃腸炎のダブルパンチをくらいフラフラで、
熱が下がって来た頃に生理が来て
仕事は約1ヶ月休み、悪質なストーカーに嫌がらせを受け精神的に辛い
そして一人暮らしで頼れる人が誰もいない。
体調不良でまともな食事を取れていない。

全部の要因が重なって
一時的に人生初のうつ病に。

もう食欲なくて食事は喉を通らないし
水分も受け付けない。
頭が重くて何も考えられないし
涙が出たり無表情になったり
寂しくて当てもなく歩き回ってみたり。

助けて欲しい、でもプライドが高すぎて誰にも弱音を吐けず、暗い道を歩きながら親に電話。

帰って来いと言って欲しかった。

でも父は「可哀想で何と声をかけてあげたらいいかわからない、とにかく頑張って」と。

家族を養う為に死ぬ程頑張って来たのにこれ以上何を頑張れと?
精神状態が普通じゃなかった私は死にたいと思った。

孤独が嫌いで一人でいれない私が
1ヶ月も一人きりで、
部屋に戻ってからずっと鏡で自分の顔を見て、誰かと話しているような気になりながら喋りかけたり見つめたりして紛らわした。

また数日経って、寂しくてベランダから飛び降りたくなって、そんな自分が怖くて身体が震えて
「もう駄目かも」と思った時に
無意識に連絡したのが上記に書いたお客様だった。

ほとんど無視してたのに
LINEで「今から会えない?」と送って
まともな文も送れず
「辛い」と送ったら
今から行くねとすぐに向かってくれた。

部屋の近くを教えて、来るまでなんとか耐えられますようにと震える身体を抑えて40分くらい待った。

着いたよとLINEが来て、すぐに向かい車に乗った。
何とか話す事が出来て、色々話しているうちに落ち着いて来た。

部屋に送って貰ったら、
実家に住んでいて鍵を閉められたから帰れないと言われた。
作戦かな〜怖いな〜と思いながらも
なぜか不安な気持ちがなくて夜中に呼び出した申し訳なさからも泊まって貰う事に。

寒いのに床で寝て一度も手も出さずにいてくれた。
そして、同じ空間に人がいる事の安心感に、久しぶりにゆっくり眠れた。

次の日起きたら極度のストレスから左耳が全く聞こえなくて、怖くてまた落ち込む。
すぐに病院に連れて行ってくれて、
駐車場に車停めて来るから先に行っててと入り口で降ろされ、受け付けをして待つ。

その間も一人でいる事が孤独すぎて
目の前がゆらゆらして見えて目眩がした。

呼ばれて診て貰ったら耳の中に血が溜まってるとの事で、吸い取って貰ったら聞こえるようになった。

診察室から出たら、目の前には座っている彼の姿が。
ホッとしてまた部屋に戻る。

暫くは点耳薬を入れなきゃいけないけど
耳に液体を入れるなんて怖くて出来ないと言ったら、やってくれた。
人肌程度に温めてから使用しないと副作用で目眩があると書いていたからビビっていたら、両手で温めてから使ってくれた。

次の日は帰って行ったけど、
「夜にはまた薬入れに行くからね」とLINEが来て、今は一人だけど夜は一人じゃないと思う事で安心して眠れた。

次の日には食事が取れないから点滴を打ちに連れて行ってくれて、
ずっと隣で待っててくれる姿に感謝した。

そこから身体も心も一気に復活!

元気な自分に戻れた。
そして元気になってから彼が
「順番が間違ったけど、付き合って下さい」と。
「はい!」と答えてから同棲スタート。

実はこの時、彼は奥さんと離婚していなくて私は騙されていたんだけど。。

その話はまた今度書こう。

壮絶な騙され方をしてボロボロになったけど、
死にそうな程辛い時に側にいてくれた人って言うのは大きな存在で、
ヒヨコの記憶のすり替えみたいに
私にはこの人がいなきゃ生きていけないんだと思い込んでしまってる。

そして結婚して今は夫に。

憎くて仕方ないけど
寂しい時に側にいてくれた。
今もずっと側にいてくれる。

本当なら、もっと普通で誠実な人と一緒になれるはず。
でも私が普通じゃないから丁度良いのかもしれない。

いれば思い出してムカついたり泣いたり。
いないと寂しくて泣く。

夜中に来てくれた時、実は夫もインフルエンザで寝込んでいて、熱があったらしい。

でもLINEの文章の様子が変だったから行くしかないと思ったって。

本当は優しくていい人なはずなのに。

さっきふざけて、
「風俗行ってる男は最低だよね。もし性病に感染して自分の彼女や奥さんに移したら、
何も知らずに愛して信じてる奥さんの心を傷付けて、更に身体まで傷付けて
治療が遅れたら不妊症になるし、
妊娠したら流産の原因にもなるんだから
自分は好きに遊ぶけどお前がどうなっても関係ないって言ってるのと同じ事だよね」
と言ってみたら

動揺したのか、
トイレに入って壁に当たってガタガタ騒いでたwww

憎いし大嫌いだけど
ずっと変わらず大好きなのになー。

出会った頃の2人には二度と戻れないけど。