――赤ん坊のペンギンは、ペン汰と名付けられた。
ペン汰は、もう5歳になった。
白カラスとの生活は、穏やかで静かだった。
尋ねてくる人もいない。
特に不自由しているわけでもなく不満もないが、少し寂しさを感じる年頃になっていた。
なぜこの場所に誰も近寄らないのか……
ペン汰は、不思議に感じていた。
「おじいちゃん、なんでここは、だれもこないの?」
「そうだな…この場所は、みんなあまり好きではない所なんだよ」
白カラスは、ペン汰の頭を撫でながら答える。
―この大陸には、異様な雰囲気を纏う場所がある。
南の海の先に微かに見える離島『鳥哭島』(うこくとう)
周囲には黒い霧が立ち込め、島の全容はわからない。
白カラスは、話を続ける。
「南の海の向こうに、黒い雲のようなものがみえるだろう。
あれは『鳥哭島』といって、悪いことの象徴と言われているんだ」
「だから、その場所に近いここには、誰も来たくないんだよ。」
ペン汰は、難しい顔をしてうつむいている。
「そっか…わかったよ。おじいちゃん」
頭では、納得している。なんでも答えてくれるおじいちゃん。
白カラスのおじいちゃんが自分の本当の親じゃないことも知ってる。
最初は、両親のことを想う事もあったし、おじいちゃんに聞いたこともあった。
おじいちゃんは、正直に僕との出会いを教えてくれた。
悲しみや寂しさで泣くこともあったけど――
おじいちゃんは、優しく羽で包んで眠ってくれた。
おじいちゃんがいてくれるなら、それでいい――
……心からそう思えた。
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