さよならから始めよう
バラシが終わり
打ち上げ時間迄時間が空いた
皆疲れきっていたが晴々とした顔つきで
一様に満足気だった

Aさんが何やら神妙な顔つきで話し出した
「ガラ芝居どうするの?」
えっ?芝居?
それまでそれぞれに話していた皆もその言葉に
耳を傾けた
「えっ?何でですか?」
疲れてたせいもあったが答えになってない返事に周りも違う意味で唖然顔だった
Aさんに妙な期待を持っていたワケではなく
単純に疲れて脳みそがプリンだった(笑)
「いや結構良い感じだしやろうとしている
ポイントっていうかねらいも面白いし続けた方が良いんじゃないかなと思ってさ…」
えっ?
正直嬉しかった
「ありがとうございます」
続けるという事は劇団にするって事か?
「やるなら俺もやるよ正直どこまでやれるかわからないけど(笑)」
疲れた頭には気持ちの良い清涼剤だった
多分Aさん自身もこの先どうするか悩んでいたんだろうネ
何はともあれ嬉しかったネ
「早急にじっくり考えてみますよ」
正直なところまだ先のことを考える余裕はなかった
というか元々やりたい芝居をやれればと思っていたがそれが出来なくなって勢いでH君に無茶振りして台本書いて貰って取り敢えず一本やろうかってネ
だから劇団をやるつもりもないしって…
まっそれでもゆくゆくは最初にやりたかった
芝居をやりたいなとは思っていたが
まさかこんな早くこんなタイミングで劇団を
やる話が出てくるとは…

正直その事よりも今はビールを飲みたいよ!
小劇場で芝居やってて何が楽しみかってやっぱりビールだよネ
皆で公演の無事を祝って飲むビール
まっあまり美味くない時も有るけどネ(笑)
ただこの時のビールは間違いなく美味い筈だと
確信していた不味い筈がない…と

劇場のオーナーの木村さんが来られた
「お疲れ様でした!コレからですか?」
片手で呑む仕草をしながら
「お疲れ様ですありがとうございました」
「お客さん結構入ってたみたいね!良かったネ」
「ありがとうございますおかげ様で」
「また使ってよ安くしとくからさ!」
木村さんとはバイト先で知り合ってコレも何かの縁というかホントについていた
芝居をやりたいなと思っていたところに木村さんに出会えたワケでホント感謝してるというか
やはりこの先劇団をやれって事なのか?なんて
思ったりして(笑)
「ありがとうございますまたやる時は相談乗って下さい…あっ劇場費払いましたよね?」
「いやまだ…ハハハ冗談ハハハ」
「ハハハ…もし良かったら打ち上げ来て下さいよ!」呑む仕草をしながら
「えっ?良いの?小屋代と同じくらい呑んじゃうよ!ハハハ」
「それじゃコレにて失礼します!」
「はいはい気をつけてお疲れ様でした」

時計は打ち上げの時刻を指していた
「ぼちぼち行きますか?」
皆重たい荷物を持ち上げ一週間お世話になった
劇場に思いを馳せつつ劇場オーナーの木村さんに頭を下げてその古き良きビルの階段を降りて行った

江古田駅前に夜の帳が下りていた
我が芝居と共に…

やっぱり芝居はいい
キツいけど悪くないネ

さてと
疲れた体にビールを鱈腹流し込みますか(笑)




そして……