2度と無い時と出会い
芝居をやってると良く聞く言葉が有る
一つは
調子が良い時は芝居の流れがテンポ良くて早く感じる
悪い時はえらく長く感じる
もう一つは
自分が調子が良く上手くいったと思う時ほど
周りの人の評価が低く逆に調子が悪い時ほど
「今日良いね」などと言われる
何故か?
とは言え上手くいったと思った時に褒めて貰えることも勿論ある

多分上手くいったと思うってのは自分よがりな事が多いのかもしれない
自分だけが気持ち良い…
悪い意味での自己満足
そして上手くいったと思った時に褒めて貰えるのは恐らくは全てが見えてバランス良くやれた時なんだと思います
調子悪い時に褒めて貰えるのは
多分肩の力が抜けて力みの無い芝居になっているって事なんだと思うよね?

千穐楽
かなりの確率で疲労が溜まっている筈だが
役者達は生き生きとしていた
何故か?
体に染み込んできたのだ
舞台上で役として生きているのだと思う

余談だが数年前にある劇団のプロデュースに
参加させて貰った時に主宰が言った言葉が
今でも耳に残っている
「ええ恐らくこのメンバーで芝居をすることは
2度と無いと思います
ましてやこのお芝居をする事はもっと無いでしょうなので万感の思いを胸に頑張って下さいまし」

それまで自分は殆ど劇団公演の形が多く
所謂プロデュース公演的な形で参加したことがあまりなかったのでこん時の主宰の言葉は結構カルチャーショックだった(笑)
座長でやってると客演も殆ど無く劇団公演だと
劇団員がほぼいるしまっ確かに客演さんもいるにはいるがつまりは自分のイズムみたいなのはずっと変わらないから余計普遍的なモノには逆に鈍感で変わらないのが当たり前だと思っていた

いよいよその2度と一緒にやれないであろうメンバー
の生き様が終わりをむかえる

全てが終わった時
お客様からの温かい拍手が鳴り止まなかった
気がする(笑)

「ありがとうございました」

あっという間に終わった気がした
まだまだ黄昏れに浸っている場合ではないが


お客様から「アンケートはないの?」
何人かの方に聞かれたことがあったが
「すいませんアンケートはとってないんですよネ」
このアンケートに関しては独自の考え方があってもしこのあとも劇団を続けることがあってもアンケートはとるつもりはなかった
とは言え
「なんでアンケートとらないんですか?」
とは言われなかった(笑)
その時もそうだったがもしも何かあれば
手紙なりに書いて送ってくださっていた
便箋に書いて封筒に入れて切手貼ってポストに入れて送るという行為はかなりのエネルギー
を要するワケで有り難いですネ
アンケートを取らない理由についてはまた後ほどお話ししたいと思います

お客様のお見送りが終わった

「終わりでえす!」
受付の声が古びたビルの階段にこだました

皆が怪我なくH君も喉の調子も良かったことが何よりだった


さてと
適当に着替えてバラシして美味い酒を飲むぞ!
最後まで気を抜かず怪我無く事故無く打ち上げだあ!(笑)





そして……