なぜ感覚統合療法は効果がないのか (改)
それは、感覚統合障害は二次障害の結果だからです。 その論拠がほしくて、『感覚統合とその実践』第3版を購入しました。 その最後の第23章が「感覚統合の介入には効果があるか?本書の最後を飾る複雑な問い」でした。まとめで、感覚統合の治療効果に関するはっきりした結論はまだ出ていないと述べています。 エアーズさんが感覚統合理論を唱えた1960年代から60年以上になります。未だに治療効果について問われています。 私は、ブログに作業療法と感覚統合療法の再構築を掲げてきて、最近ようやく閃きました。 感覚統合障害は、原因ではなく、二次障害の結果では?ということです。二次障害の結果に対して、評価や治療をしても、反応は一定しません。 氷山モデルで示します。 図1 行動をうまく遂行できないのは感覚統合障害があるためです。氷山を整えるためには、感覚統合障害(神経学的な機能不全)の改善が治療目的になります。その治療プランにはArt of therapy、まさに至芸が求められます。 中山の仮説です。 図2 遂行機能の不全があるために、行為がうまく遂行できません。その結果、感覚統合障害という状態も現れます。遂行機能の不全を治療すれば、氷山に感覚統合障害は現れません。治療プランはOccupational therapy、作業療法です。 何だ、同じではないかと思われるかもしれません。 平たく言えば、私の仮説は、「できること、できるはずのことをできるようにすること」で、遂行機能を改善します。 感覚統合理論は「感覚統合障害を直す」ことです。この場合、氷山の頭は削っても、削っても形を変えて現れます。 感覚統合療法の介入の有効性は判然としません。 もう少し詳しく説明します。前回は積み木モデルでした。 今回は内発的動機づけ行動の遂行過程で説明します。 図3 行動遂行の流れです。実行機能とも言えます。 私たちは合目的的行動をこのように遂行し、日々、新たに最適挑戦に向かい、有能感、自己決定感を高めています。 図4 しかし、発達につまずきのある子どもたちは、保育園や幼稚園で、ほかの子どもたちと比べて行動がうまく遂行できません。朝からできない、できないで、それで1日が終わります。家では好きな遊びで問題少なく過ごしています。 環境からの過大な要求に対して、適切な目標選択ができません。行為の発動も受け身的です。主体的な目的意識も少ないので、感覚などへの能動的注意も弱くなります。感覚基盤は正常ですが、注意を取捨して感覚を組織化することができません。(感覚入力の問題ではありません。) 運動企画や目標志向的行動も混乱し、未遂になります。未遂になる前に、「いいことを思いついた」と目標選択に戻り、それも未遂に終わったりします。 できても、周りと比べて、満足できません。自己否定感が募ります。場面を察して回避行動に出ます。やる気や工夫もあきらめがちです。 この子たちが作業療法に来て評価を受ければ、感覚統合の障害で説明されるかもしれません。 図5 ですが、この子たちもいつもの得意な活動や、自分の能力に合った活動に取り組んでいるときは、当たり前に遂行できています。感覚統合障害は見られません。外部環境との最適不適合が、やる気を高めます。 得意な活動の場合は、すぐに目標を決めて、発進します。素早く注意を払い、動いています。運動企画も柔軟で、手慣れた手つきでやり遂げます。達成感が非常に高い子も少なくありません。自己肯定感は、保護者が誉めるか、制するかで変わってきます。 遂行過程の中で、感覚統合の障害は見られません。 この10年間、私は感覚統合障害や感覚統合療法をOT場面で意識したことはありません。 治療すべき神経学的な機能不全とは思えないからです。「障害ではない」と思っているからです。