ダンテ・ラム監督、エディ・ポン主演の中国映画『レスキュー(緊急救援)』を観る。

 中国の資本力を背景に、『オペレーション・メコン』『オペレーション:レッド・シー』といったスケールのでかいアクション映画を作り上げたダンテ・ラム監督のことだから、今回も期待して観たところ、予想をはるかに上回る迫力にひたすら圧倒された。

 海上で発生した災害現場にヘリコプターに乗ってまっさきに駆け付ける海難救助隊。その隊長のガオ・チェン(エディ・ポン)は、人命救助を最優先し、大災害の中へと何度も飛び込んでいく。海上石油プラットフォームの大火災、天然ガスを積んだタンカーの大爆発、海上に墜落したジェット旅客機。爆発の炎が飛びかい、海の底へと沈んでいく危険きわまりない現場。そのあまりにも危険な任務ゆえ、恐怖に負けて去って行く者もいれば、危険な任務の中で命を落としていく者もいる。だが、父がヒーローであると信じる幼い息子のためにも、ガオは何度も何度も危険な災害現場へと駆け付けるのだった。

 いやあ、本当に凄かった。ダンテ・ラム監督は、これでもかこれでもかと、危険な災害現場を作り上げていく。その、炎に包まれた現場の迫力の凄いこと。こんな状況で人命救助なんて無理!と言うしかない最悪の状況が繰り返し描かれていく。もう、どの場面もクライマックス。ひとつの災害だけで映画1本が作れるほどのスケールのでかさ。
 さすがにこのスケールの映画は、香港資本だけでは撮れなかっただろう。ダンテ・ラム監督に限って言えば、中国に進出したことは大正解だったと言えよう。

 なお、出演する俳優たちは、7ヶ月にわたるフィジカルトレーニング、水難救助の基礎訓練、救助ヘリに搭乗しての訓練など、めちゃくちゃ過酷なトレーニングを経て撮影に臨んだのだという。海難救助シーンのリアリティは、そうした訓練が生み出したものでもあるのだろう。