NETFLIXの「ボクらを作った映画たち」で今度は『プリティ・ウーマン』の誕生秘話を観る。

 ハリウッド通りの近くに住んでいた売れない脚本家、仕事に疲れると近所の24時間営業のドーナツショップに行き、そこから通りで客引きをしている娼婦たちを眺めていた。やがて、彼は娼婦たちと仲良くなり、彼女たちの話を聞くようになり、そこからヒントを得て1本の脚本を書く。それが『プリティ・ウーマン』の始まり。
 最初の脚本はもっとダークなものだったという。ところが、その脚本の監督に起用されたゲイリー・マーシャルは、テレビのコメディ番組を片端からヒットさせていたコメディ専門の監督だった。そのため、内容はどんどん明るいものへと変貌していく。
 さらには、製作会社の影響もあった。最初に映画化権を買ったのはベストロンだったが、ここが倒産して新興のニューリージェンシーに権利が移るが、ここではぜんぜん話が進まず、結局最後に権利を手にしたのがディズニーの子会社のタッチストーン。ディズニーで娼婦を主人公にしたダークな映画? あり得ない。そこでこのタッチストーン、「いまの脚本は明るさ指数が10段階の4だが、7まであげて欲しい」と要求するのである。当初の脚本から離れて、どんどん作品の色調が変わっていく。
 撮影現場でも監督はとにかく面白いことを役者に要求して、アドリブに次ぐアドリブ。下につけた予告編の最後で、宝石の箱のフタをパタッと閉じるシーンもアドリブなのだ。そのおかげで、撮り終えたラッシュはどんどん混乱したものになっていく。だが、それを編集担当者がみごとにつなぎあわせて傑作ができあがったという次第。
 ちなみに、映画のタイトルはずっと「3000」だった。だけど、そんなタイトルでヒットするわけないじゃんと別のタイトルをあれこれ考えるのだけれど、どうしてもピッタリしたタイトルが思い浮かばない。じゃあ、主題曲のタイトルをそのまま映画のタイトルにしちゃえ! で、最後の最後で「プリティ・ウーマン」に変わったという。
 いやあ、これまた面白いエピソードの連発だった。