<ブランコ作業の法制化>

3月9日付のブログでは、平成28年1月1日から施工されたロープ高所作業における
危険防止の為の規定3までお話しいたしました。

今回は4の作業計画から考えてみましょう。
 
<作業計画(安衛則第539条の5)>
 
事業者は、ロープ高所作業を行うときは、あらかじめ、前条の規定による調
査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画によ
り作業を行わなければならない。
一 作業方法と順序
二 作業に従事する人数
三 メインロープとライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置
四 使用するメインロープ等の種類と強度
五 使用するメインロープとライフラインの長さ
六 切断の恐れのある箇所と切断防止措置
七 メインロープとライフラインを支持物に緊結する作業に従事する労働者
 の墜落による危険を防止する措置
八 物体の落下による労働者の危険を防止するための措置
九 労働災害が発生した場合の応急の措置
 
これらはそれぞれ以下のような意味合いになります。
(一)  作業方法と順序
事前調査に基づき作業手順書を作成し、人員配置や役割分担及びスケジュールを作成し伝達する。
(二)  作業に従事する人数
作業員の経験や知識を勘案し、地上保安要員を含めた人数を作業手順書に
  記載する。
(三)  メインロープとライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置
屋上などの「支持物の位置」は必ずしもブランコ作業に良い位置にはない。安全で容易な取り元を明確に表示しておく必要がある。
(四)  使用するメインロープ等の種類と強度
ロープの素材や種類は様々なものがあるが、適切な強度を持ったロープの選定を行う。これは自主的に選定できるので最良のものの選定が可能だ。
(五)  使用するメインロープとライフラインの長さ
一般的には45m~50m程度のものが、大体10階建て前後の建物を想定して使われている。最近は常設ゴンドラのない超高層の建物が多いので、100m以上のロープを使うこともある。
(六)  切断の恐れのある箇所と切断防止措置
ロープはどんなに強度があっても鋭利な角には弱いので、養生は片手までなく本格的なものを準備したい。置き型養生はパラペットなどに使い、巻き付け型養生はセットバックなどの角当てに使われる。出来るだけ建物に合わせた専用養生を作成するのが望ましい。
(七)  メインロープとライフラインを支持物に緊結する作業に従事する労働者
の墜落による危険を防止する措置
ロープは一箇所で作業するものではなく、次々と移動して行くものであ
  るから安全に移動ができるスペースと落下防止措置が施せるものが必要
である。窓ガラス清掃を想定した屋上作りはされてないので、多くは安全
確保に大変困難な場所が多い。
(八)  物体の落下による労働者の危険を防止するための措置
ヘルメットの着用や作業範囲の安全確保の為、立ち入り禁止区域の措置を講じる必要がある。
(九)  労働災害が発生した場合の応急の措置
人命尊重を最優先し被災者を救出する、または救急車を手配する。全ての作業は一旦中止する。
 
<弊社では以下のように対応します>
 
さて、我々専門業者が作業計画を作成し社内で活用する一方、ビルオーナーやビル管理会社から提出を求められることがあります。
しかし、この作業計画で安全に作業が遂行できるものかどうか、誰が判断するのでしょうか。適切な作業計画かどうかの判断は、我々専門業者、ビルオーナー(又は管理会社)、及び客観的第三者(建築士又は建築事務所)で判断すべきものではないでしょうか。
 
作業手順書を作り作業人数を決め人員の配置を行う際には、適正な能力をもった作業員が適正な人数で配置される必要があります。
現実的には様々な競争の中で建物の窓ガラスクリーニングを受注して行くので、価格でなく安全作業の遂行能力を重視して業者選定を行う機会は大変少ないのが実情となっています。
 
1.我々は建物ごとの特性を掴み、安全作業の出来る人工設定を行います。
2.屋上での安全作業ができる堅固な支持物などの改善提案を致します。
3.価格を下げるために地上保安要員を省いたりしません。
4.道路使用許可も法定通り申請します。
5.安全ベルトは胴締め型でなくフルハーネスを使用します。
 
個別の安全対策も重要ですが、当該建物の長期メンテナンス計画に基づき、年間の清掃作業回数を決め、安全作業を遂行しながら一定の美観を保ち建物外装の長寿命化を図ることを目的とした「作業計画」が作られないと目先だけの短期的な計画に終わってしまいます。
我々は「窓ガラス清掃は外装メンテナンスの一環」として考えています。


 


東京外装メンテナンス協同組合
                                          (投稿者 T.H)

   イメージ 1