日大の証言食い違い発言が昨今報道されておりますが………。


えー、
今さらながらですが
『羅生門』
久しぶりに観ました。



あまりにも王道過ぎて
語られまくっていると思いますが


今回の私の感動をいくつか。




ひとつ目は

多襄丸(三船敏郎)が
夫(森雅之)のいる所に
妻(京マチ子)を連れてきた時のシーンが
もうたまらなく素晴らしい。


手を引っ張って連れてきて
藪の中の開けた所に座っている夫に会わせる

見るやいなや
妻は夫のそばに駆け寄…


…らない。のだ。



3人はお互いの顔を見会う。


妻は夫を見る。

妻を見ている夫は妻に見られた後
多襄丸を見る。

女を見ている多襄丸は男に見られて男の方を見る。

妻は夫が多襄丸を見たので
多襄丸を見る。

夫は妻が多襄丸を見たのを見る。



というように
とても時間をかけて無言なシーンを描写している。


3人は何の表情も出していない。
無表情とは違う

相手を読んでいるのだ。
読もうとしているのでもなく
ただただ見る。




ひとつの事実に対して登場人物の言い分がすべて違うというこの物語は

芥川龍之介著『藪の中』
という作品からきている
ということで



今回初めて原作を読んでみたら



短編でしかも
なんと、
ト書きも設定も何も書いてない
登場人物7人の証言セリフだけで成り立っている小説だったのだ!



それをあのように描くとは。



あの3人の見詰め合いのシーンももちろん小説には書いてない


あのシーンがあるから…


3人が違う事実を話しているかのように
なってしまうあの人間の関係性信憑性が
増したのではないかという気がしてならない。




ふたつ目は

妻が検非違使(検察)に証言して
その再現シーンが終わり

再び証言シーンに戻ったとき


妻はこんな姿勢でいたのだ。


ここで私は「エエッ! 何者?この女。」
となるのですよ。

もちろんいい意味で。


いくら勝ち気な女の役とはいえ
どんな心持ちなん?

って
思わせる。



このポーズを京マチ子さんが考えたのか
黒澤明監督が指示したのか知りたい~。 




三つ目は

夫(森雅之)のあの

冷たい目。


妻が夫にすがりつく、

悲しみのあまり
すがって
すがって


夫の顔を見る。


カメラも夫の胸あたりから夫の顔をすくい上げ見る。


(原文「青空文庫」さんよりコピペ )
口さえ一言いちごんけない夫は、その刹那せつなの眼の中に、一切の心を伝えたのです。しかしそこにひらめいていたのは、怒りでもなければ悲しみでもない、――ただわたしをさげすんだ、冷たい光だったではありませんか?
(以上)



そして

あの目。
 

もちろん夫が普通の目付きで見ていたとしても
罪悪感のある妻が見たらああいう風に見えるのだな。

ということだとは思うが

森雅之さんが他の表情をしてあってても
あの目付きが割と印象から離れない。
凄い目だ。




それから、
四つ目は

私が言うのも何なんですが


志村喬さん(商人)と
千秋実さん(旅法師)の

役柄は


逆のほうがいいかな

って思うのです。

何か
感じが

すね。

それだけです。





最後まで読んでいただきまして

ありがとうございます!