BLACK CATS is Gone

　SNS等でご存じの方も多いかもしれませんが、

BLACK CATSのサックス＆ボーカルのOTTOさんが先日空に旅立ちました。

　　　　　

　中一の時にクリームソーダ・ブラックキャッツにドはまりし、初めて行った原宿ピンクドラゴン。

　異様すぎる空気を放つピンクドラゴンビルに、ビビッてすんなりな入れず意味もなく目の前を何度か素通りし、ようやく意を決して入店。

　広い店内と爆音で流れるロックンロールに圧倒されながら、ピンクドラゴンオリジナルのグッズや服がキラキラと輝いて見えた。

　ドキドキしながら商品を物色していると、まだ若いスタッフが

「おはようございます！」

「おはようございます！」

と挨拶をし入り口から現れたのが、ちょっと遅い出社をしてきたOTTOさんだった。

　大のブラックキャッツファンの僕にとっては、目の前にあのOTTOさんが立っているだけでチビリそうだったが、そこからが今でも忘れられない光景。

　歩きながらエレクターに陳列されていたドラゴンポマードをサッと左手で取り、その歩幅のままカラカラッと蓋を取ったかと思ったら、ポマードのボトルの底をわしづかみしたまま直接髪にポマードを塗りつけた。

　レジまで行くと若いスタッフがコームを差し出し、鏡も見ずに髪をササっとセットしていた。　

　その一連の流れがあまりにもスター過ぎて、今でも目に焼き付いて離れない。

　クリームソーダとブラックキャッツに対する思いはその後も褪せることなく、二十歳を過ぎて念願のピンクドラゴンに入社する事が出来た。

　僕が入社当時はカフェ勤務が多い修さんだったが、修さんがピンクドラゴンの店長をしていたシーズンがあり、短い間だったが、一緒に1Fで働かせてもらった事がある。

　あまり周りの事に興味・関心が無いようなクールな人柄に僕には映った。

ただ、僕が社内でちょっとしたトラブルを起こした時、何か偏った考えを押し付けることもなく、平等な裁定を下してくれたことがあり、その時すごく男らしい、かっこいい人だなって感謝したことがあった。

　お客さんには常に笑顔で、地方から修学旅行などで学生が来店すると、いつも優しく接客していた。

　きっと「あのブラックキャッツのOTTOさんとお話が出来た！」と修学旅行の最高の思い出として今でも覚えている人も多いと思もう。

　普段はお店では素顔で勤務していたのだが、お客さんに写真をせがまれると、

「ちょっと待って」

と、レジの引き出しからあの黒いサングラスを取り出し、ちゃんとブラックキャッツに変身して一緒に写真を撮っていた。

　これも修さんのお客さんに対するサービス精神なんだろうって思った。

そしてそうやってお客さんを喜ばす、楽しませることが会社の為なんだと、そんな話もしてくれたことがあった。

　それとよく覚えているのが、地方から来た不良学生に

「腕相撲、勝負してください！」

なんて勝負を売られて、実際に屈強な筋肉の持ち主の修さんは腕相撲も強く、僕が知っている限りでは負けたところを見たことがなかった。

そんな学生たちも「ブラックキャッツのOTTOさんに負けた！」って事が、その後のいい自慢話になった事と思う。

　その後、修さんも会社を抜け、僕も独立をしたが、クリームソーダ関連の人たちが集まる会合やライブなどで、何度か席を一緒にしたことがある。

　会う度に「おい、ちょっと肩もんでくれ」と、いつからか修さんのカタモミ担当として僕を指名してくれた。

　あの筋肉ガチガチの肩をもみほぐすのは容易ではなかったが、そうやって名前を呼んでくれてかまってくれるのが僕には嬉しかった。

　ここ数年、コロナ以降かな、会合が中々開きづらい世の中になってしまい、お会いする機会が少なくなってしまったが、ちょいちょいライブのステージに立って、相変わらずファンのみんなを楽しませている事は、SNSなどで見かけて　

「相変わらず凄いなぁ～」

なんて思っていたので、今回の訃報には驚き、喪失感を隠し切れない。

　闘病していた事を僕は知らなかったのだが、最後の方のステージは病気と闘いながら、みんなの前でシャウトしていたらしい。

　本当に凄い、サービス精神の人だったんだなぁと、改めて思った。

BLACK CATSに出会わなかったら、僕の人生全然違う方向に行っていたんだろうなと分かる、人生に大きな影響を与えてくれた方の一人。

修さん、安らかにお眠りください。

そしてこれからもブラックキャッツと共に、生きていきます。

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