「Always Open」という謳い文句とともにニッポン上陸した「MINIクーパー・コンバーチブル」の電動幌を開ける。
スイッチ操作ひとつで屋根が開き、所要時間は約15秒。ちなみに、時速30km以下なら走行中でも開閉可能。
新しいMINIのコンバーチブル(以下、ミニコンと略す)のトップレス姿は、先代ミニコンより少しすっきりした。ロールオーバー・バーが後席の後ろに格納されるようになって、余計なでっぱりがなくなったからだ。
折りたたまれた幌がもっこり盛り上がっているのは先代と同じで、ルームミラー越しの後方視界の邪魔をしていることには変わりない。
太陽の光と巻き込む風を浴びると、そうした自然の力に負けまいと体がガンバるせいか、人を元気にさせるキャラクターがある。
まず、BMWとプジョーがタッグを組んで開発した1.6リッターの直列4気筒エンジン(207と同じ?)のダイレクト感がいい。どんな場面でアクセルを踏んでもグイッとトルクが盛り上がり、いかにも効率のよさそうな6段ATの助けもあってすばしっこく走る。
「BMW 116i」に積まれるビーエム独自開発の1.6リッター直4に比べると、ミニコンの1.6リッター直4は高回転域での伸びや音の洗練度合いで劣る。一方で、アクセルを踏んだ瞬間にパンとダッシュするパンチ力があるから、小さいながらも生意気に走るというミニコンのキャラに合ったエンジンだ。
路面からの突き上げをガッツンガッツン感じた先代と比べれば、乗り心地はかなり改善された。とはいえ、ミニコンはお世辞にも乗り心地がいいクルマだとは言えない。路面の凸凹を正直に拾って、それをコツコツとドライバーに伝える。特に後席に座った時に感じるショックは、かなりダイレクトなもの。
けれども、これは小気味よいハンドリングとのトレードオフ。交差点とか高速での車線変更といった“普段使い”でもキュッと向きを変える敏捷さを思えば、乗り心地は十分に許容範囲内。
とにかくアクセルペダルやステアリングホイールから伝わる感触は生き生きとしていて、運転していると少し体温が上がるような気がするのが新型ミニコンだ。
幌を閉じた状態も試してみた。黒い幌に覆われると車内はかなり狭苦しく感じるけれど、この"隠れ家"感が好きだという人もいるかと思う。自分もそのひとり。こういうの、嫌いじゃない。ただし、後席はかなり閉塞感があるから、乗り心地の件とあわせて完璧な4シーターというよりも、2+2ぐらいに考えたほうがいい。
幌を少しだけ開けてサンルーフのように使うことができる仕組みは、先代から受け継いでいる。
このスライディングルーフ機構は時速120km以下なら作動する。
10・15モードでは14.6km/リッター。ちょっと前に300kmほどミニコンで走ったことがあって、高速道路を主体にかなり飛ばしたけれど、それでもモード燃費に近い14km/リッター走った。動力性能と燃費性能のバランス点は高い。ミニコンの直4エンジンに備わるハイテク(可変バルブリフトコントロールとカムシャフトコントロール)が効果を発揮しているのだろう。
パッと見た感じでは先代と大差ないし、基本的なコンセプトに大きな変化はない新型ミニコンであるけれど、見えないところが着実に進化しているのは間違いない。
車両詳細
登録22年6月
BMWミニ クーパーコンバーチブル
65千キロ
車検25年6月
評点5
本革パドルシフト
シートヒーター
ETC
ブラックピアノインテリア