少し前ですが、軍用バイクの車検代行。
長江 750cc
戦時中のBMW製軍用側車がソ連でコピーされ、ウラルM-71となり、次に中国でコピーされ、軍や警察で使われたのがCJ750。
1970年代、石川県の奥野自動車商会が日本仕様で輸入し、話題に。
80年代は大阪の業者が扱った。
日本自動車博物館より引用
画像:日本自動車博物館 石川県小松市
正確な設計時期は不明ですが、少なくともいまから70年以上前かと思われます。
せっかくですので、まずは車両の紹介から。
今回、ご依頼いただいた長江。初年度登録は1990年代です。
車体左側
排気量があるだけにトルクに余裕があって、100km/h未満で巡行するには何ら問題ありません。
しかし100km/h以上になると、けっこうな震動がありました。
左側にリアブレーキペダルがあります。
センタースタンドはありますが、とても一人でかけられる重量ではありません。社長の日向と、メカニックの橋立と二人がかりでやっとです。
しかし、オーナーさまはパワーのある方で、難なくかけていらっしゃいました。
キックペダル
エアクリーナーボックス
リアサスペンション
車体右側
キャブレター
シフトチェンジは右側にあります。つまり、現行車と左右逆ですね。
形状が独特な消音器。元が軍用だけに偵察などで発見されないよう、音量を下げるためでしょうか。
速度計測はリアでおこなっています。
元々、サイドカーでの使用が前提だからなのか、フロントブレーキがほとんど利かない反面、リアブレーキが利くようになっていました。
今回のご依頼
継続車検ですが、これまで頼んでいたバックショップが閉店したため、当店に依頼されたそうです。
(年々、こうしたケースが増えています)
車検を通すにあたっての問題点は、2つありました。
1,ヘッドライトの光量不足
2,フロントブレーキのスイッチがない
極端な話、ガレージ湘南が閉店した後も、お客さまが車検を受けられる状態にしなければなりません。
新規で当店にご依頼いただくケースが増えていますが、なかには明らかに「その場しのぎで車検に通した」バイクが少なくありません。
すると、今回のお客さまのように依頼していたショップが閉店したり、倒産したりすると、困るのは残されたお客さまです。
なぜなら、ほかのショップで車検を依頼しても、高確率で断られるからです。
というわけで、ガレージ湘南では付け焼き刃ではないアプローチで、車検に通る状態にしています。
(本来、それが当たり前です)
さて、話を戻しますと、事前に陸運局の担当者と打ち合わせし、問題点(改善点)をヒアリングしました。
フロントブレーキスイッチが無い
過去にもトライアンフの旧車でありましたが、陸運局の担当者から「現在の基準では問題がある」とのご指摘をいただきました。
それ以前に、フロントブレーキスイッチが無い状態で公道を走っていると、追突される危険性があります。安全性を考えた場合、問答無用でスイッチをつけるべきだと思います。
スイッチを取り付ける作業自体は、そうむずかしくありません。
ただし、春夏秋冬、天候に関係なく、正常にスイッチが動作する状態にしなくてはなりませんので、その点が非常に苦労した部分です。
6V
ヘッドライトの光量不足
さまざまな手法がありますが、試行錯誤した結果、ショートすることのない方法に落ち着きました。
車検場では、通常のレーンでは対応できず、イレギュラーな方法で検査してもらう場面もありました。
そんなこんなで無事、納車させていただきました。
当店では、国産車・外車に関係なく、車検代行費用、工賃は同一です。
5月31日現在、車検場がとても混み合っているため、余裕を持ったスケジュールで、依頼をお願いいたします。
有限会社ガレージ湘南
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