H4車両の場合、なぜ、カットラインが出る車種と出ない車種があるのか。

配光(カットライン)はレンズユニットの配光性能によって、大きく左右されます。その配光性能の違いや、製品との相性について。

 

 

 

まず、リフレクターには「カットレンズ」と「マルチリフレクター」の2つがあります。

 

カットレンズ

レンズ後方の反射部にパターンが無く、全面的に光を反射する仕組みです。

イメージは懐中電灯と同じ。

反射された光が前面のガラスを通過する際に、厚みの違いによる光の屈折率の違いを利用して、ガラスのパターンによって、配光が決まる。

全面反射なので、無駄な光「利用されない光(前方へ照射されない)」が発生するのと、どうしてもガラスに厚みがある為、透過率が低くなり、暗く感じることがあります。

マルチリフレクター

ガラスの表面にパターンが入っていないので、基本的にはリフレクターに反射された光は全部、前に照射されます。カットレンズと比べ明るくなります。

配光については、リフレクターの反射の角度によって、配光パターンが変わってくるので、リフレクターの角度、精度が重要になります。

一口にマルチリフレクターと言っても、各メーカーによってリフレクターの設計が異なるため、A社製品でカットラインが出ていても、B社製品ではカットラインが出ないということが発生します。

 

【ポイント】

カットレンズは表面のガラスのパターンで配光を制御暗いが、配光が出やすい。

マルチリフレクターはリフレクター部分で反射角を変えて配光を制御。明るいが、商品によっては配光が出にくい。

今回、カットレンズユニットとマルチリフレクターの明るさ・配光の違いについて調べてみました。また、さきほども話がでました、マルチリフレクター同士でもメーカーによって異なるため、そちらについても違いを調べてみました。

 

今回、リフレクターによって配光の状況を調査するためいくつか商品を用いて試してみました。ハロゲン、HID、LED(3商品)

ハロゲン

純正ハロゲンとカットレンズの組み合わせでは、きれいにカットラインは出ていますが、一番暗いです。

マルチリフレクターAとハロゲンの組み合わせでは、カットラインが少し整っていなく、カットライン下の配光に少しムラが見えます。マルチリフレクターBでは、ムラが無く、カットラインは綺麗に出ていますが、照射範囲がAに比べ狭いです。

【ポイント】
このように、マルチリフレクターの違いによって、純正のハロゲン球でも配光に違いが見られます。

fcl.LED

ハロゲンと比べ、どのレンズでも明らかに光量がアップしています。やはりここでも、カットレンズが一番暗いです。

マルチリフレクターAでは、ハロゲンの時に見えていた「ムラ」が、光量が上がった事で、より強く出てしまっています。角ばったチップの影とバルブ根元の形状がそのまま反射され、カットラインがきれいに出ていません。

マルチリフレクターBでは、カットラインが少しハロゲンより上がり、照射範囲の狭さは光量アップによってカバーされた様に思います。マルチリフレクターAは、ハロゲンではムラがあり、LEDでは更に酷く配光が乱れたので、少し配光性能の低いレンズと言わざる負えませんが、某社のLED付けた所、きれいにカットラインが出ました。

 

商品ごとのカットラインの比較

同じリフレクターを使用して、6商品でカットラインや明るさを比較してみました。

 

プロジェクター仕様では一部光を遮り、凸レンズで集光するので、ぐっきりとしたカットラインが出ます。それに比べ、リフレクター仕様ではカットレンズとマルチリフレクターの配光の違い。

同じマルチリフレクターでもメーカーによっての配光の違い。

同じレンズでもバルブによっての配光の違い。

を、念頭に置かなければいけません。更には、リフレクターの経年劣化やリフレクター焼け等も配光に大きく関わりますので、商品選びの際には、謳い文句に書かれている【○○ルーメン】【車検対応】などを鵜呑みにせず、レビューなどを参考にされた方がいいかと思います。