昔マーシャルのギターアンプを買いに行った時の話です。
そのころのスタックタイプは、50Wのマスターボリューム付きと無し、100Wのマスターボリューム付きと無しという4タイプのアンプヘッドがラインナップされていました。(当時日本で正規販売していたものとして)
自分としてもできる限り小さな音でも歪ませたいため、50Wのマスターボリューム付きのJCM800を第一候補にしていましたが、こればかりは実際試してみなければわかりません。
で、都内あちこちの楽器店さんに行って実際に音出しさせてもらえるところを探しました。
渋谷の駅のそばにある楽器店さんで
『マーシャルの音を出したい』
とお願いをしたところ、長髪の店員さんがギターを持ってきてチューニングを始めました。
マーシャルにプラグインしてスイッチを入れると、だんだん音が大きくなってきました。
長髪の店員さんは得意げに早いフレーズを弾いています。
次の瞬間、
ぶつっ!
と音がしたかと思うと、地下1階の店内が真っ暗になりました。
何事!
ざわざわした後、すぐに電気が付いたのですが、また店員さんが弾き始めた直後、
再び
ぶ~んっ!
と音がして真っ暗になりました。
程なく電気がついて復帰したのですが、別の店員さんがやって来て長髪の店員さんに、
「何やってるの?」
と言って手元を見ると、
あぁ、マーシャルか。
「じゃあしょうがねぇな」
と言って去っていきました。
いやいや、しょうがねぇよじゃねぇよ。
楽器店なんだからちゃんと試奏できるようなアンペア数で契約しておけっての。
で、得意げに弾いていた長髪のニイちゃん、そろそろ僕に代わってくれるのかと思ったら、
「マーシャルはこんな感じ」
と言ってスイッチを切ったのだった。
は?
いやいや僕の番は?
何だこの楽器屋。
ギターアンプ鳴らすと停電するわ、客に試奏させないわって、そんなとこで買うかっての。
「わかりました」
と言って帰りました。
続く