先日、高い金額の請求書が届いたと取引先に訴えたお客さんがいましたという話を書きました。

 

それは全く事実と反する訴えでした。

 

実際には、事前にお客さんと電話で話して納得していただいた内容をお見積書にして送っただけでした。

 

だから、高い金額という事ももちろんですが請求書であるなんて全くの嘘。

 

しかしながら取引先からは金額の値引きを要求されました。

 

その金額は不当に高くしているわけではなく、どのお客さんにも一律その金額でやっているものでしたが、他社と比べて高いという事を言われました。

 

そこですぐさまその施設に入っている同業者に価格を確認しました。

 

するとうちと全く同じ金額でした。

 

ただ、別の業者はうちよりも安くやっていると、以前訊いたことがあると社長からの話があり、同じ施設でやる作業であってもどうやら業者によって価格が異なることがわかりました。

 

で結局今回は取引先の指示通り値引きをすることになりました。

それ以外にも付属品が見当たらないなど問題はありますので、その分も結局持ち出しになってしまうでしょうがその話はとりあえずまたの機会にします。

 

今日言いたいことはこれからが本題です。

 

例えば自動車というものはカタログがあってどのグレードでどの装備にすればどの販売店で買っても同じものが届き金額も明確です。(地域によって標準装備や寒冷地仕様の場合があり多少異なることもありますがそれとて価格表があり明確です)

 

ところが、世の中にはそうではないサービスがあります。

 

例えば『一回分の容量も含まれています』などど明記してあっても、一回分て一体何グラムなのか、何リットルなのか、書いていなければ業者によって当然差が出てきます。

 

あるいは人が作業するものについては上手い下手という技術の差が結果となって現れます。

 

だから一口に同じものや一回分だと言ったところで、実際には全く違う結果になってくるわけです。

 

或いはそこに至るまでのプロセスがまるで違う。

それは仕上がりの良さにももちろん影響しますが、ミスや間違いをいかに起こさないかということにもつながってきます。

 

当然依頼されたものについては間違いなど全くないことが理想ですし本当はそれが必要です。

 

ところが。

 

長いこと同じ業務を仕事としてきた経験で言うと、うちも含めて同業者の仕上がりや、間違いについて言うと、それこそ信じられない間違いをしているものがあるのです。

 

正直うちも信じられないような間違いまではありませんが、間違いはいくつかありました。

 

そして、弁解ではありませんが、母や親せきがしでかした間違いについては、

 

気づいた際にはお客さんに伝えて、それが本当にうちの(というか両親の会社の)ミスによる間違いであった場合は、

 

実際には僕の会社はまったくの別会社ですが、僕の自腹で直させていただいています。

これが仕事を受ける者としての責任であると考えます。

 

さて。

 

最近では商品やサービスを内容ではなく単に値段で決めるお客さんが多いです。

 

特にインターネットを見てという場合、実際には同じ内容が提供されるわけではないのに、ただひたすら安い方に行ってしまうことや、「同じ価格に下げろ」という要求をされる場合があります。

 

「やっていることが違うのに・・・」

 

で、うちはどこまでやっているのか、どんなことをしてどんなものを提供しているのか、これを公言することについてかなり長い間悩んできました。

 

しかしながら、この商売は、

 

複数の会社に依頼しないものなので他社と比べることができない

 

あるいは、

 

次に依頼するまでの期間が長いため、依頼主が覚えていなかったり代が変わっていたりで事実上比べることもできない

 

というような理由から、

 

結局のところ、

 

ご自分たちが依頼して今提供されたもについてしかわからないので、それだけでは良いも悪いも判断がつかない

 

のです。

 

けれど確実に違いがあるのです。

 

これはうちの業務の一つである依頼内容についての話ですが、現場での作業前にお客様に間違いがないかどうかをご確認できるものをお見せしているかということについて、実に50パーセントの会社が確認をしていないそうなのです。

 

紙面で確認してもらって作業をした場合でも実際に出来上がったものについて思っていたのと違うとか言われてしまう可能性だってあるというのに、どうして確認をしないのか。

 

先日以来のたびに違う業者さんにお願いしてきたお客さんの現場を確認したのですが、業者の違いによる細かな作業の違いは仕方ないにしても、2件目の業者は仕上げを忘れていたり、3件目ははっきりとも違っていたりと、あまりにお客さんがかわいそうな状態でした。

 

直していないという事は、お客様が気づいていないのでしょうがだからと言ってこれでプロたるものが良いのでしょうか。

 

すべての過去のものの状況を説明して、一番いいものに合わせて今回作業をしましたが、これについてもしっかりした業者に依頼すれば間違いなど起きなかったのです。

 

間違って作業した場合、それは素材を加工してしまっていますから、元通りにすることはできずたいていの場合交換にはかるく数十万円以上が必要となります。

 

そう言う状況に陥ることを考えれば絶対にミスなどしたくないはずなのに、どうもそう思っていない業者さんが多いようです。

 

それは他社さんに限ってけではありませんでした。

 

実際ある支店について何人ものうちの(両親の会社の)昔からのお客さんに訊いたところ、あなたの親族は確認などしてきませんでしたよって声が100%でした。

 

そりゃ間違えたり気に入られなかったりすることが起きてしまうよね。

 

僕の今いる本社としては最初から確認していたのですが、それでも間違いが起きる。

 

間違いのないものとしてお客様に確認していただいている為、まさかそれが間違っているという事は考えておらず、あるいは専門的な部分の見落としってこともあるためだと思いますが、まぁ自分以外の人たちのやったことです。

 

で、いくつかの他社さんに確認をしていない理由について訊いてみたところ、

 

お客さんが書いたものをそのままその通りで加工したのだから、そこに間違いなど存在しない。

 

違うというのならそれはお客さんが間違えたことなので、うちに責任はなく、直すならばその分お金をもらう。

 

と言うのです。

 

まぁ、その意見は間違ってはいません。

 

けれどお客様の言うとおりにやるという事が正しいのではなく、正しいものを提供することが目的なのですから、お客さんの間違えですら訂正するようにしなければプロではないと思うのです。

 

で、そのための作業についてうちはこんなことをやっていますよという事を公表するかどうかという話ですが、自分のやり方を公表するのは真似をされた場合うちの優位性が損なわれてしまう危険があります。

 

もちろんそんなことはとっくにやっているよとか、もっと別のことやさらに突き詰めたことをやっているという会社もあるでしょう。

 

同じ地域で全く同じことを同じレベルで、うちよりはるかに安い金額でやられてしまったらうちの存続にはかなり問題が出てしまいます。

 

けれど、こういうことをすれば間違いが起きにくくより満足のいく結果を提供できるのだというやり方を公表することで、より多くのお客様がそのメリットを享受できるならそれは良いことじゃないかと思いました。

 

保険証にICチップを埋め込んで、それを電子カルテ情報を書き込み全国統一規格にすれば、例えば出先で倒れてもこの人はこういう持病があり、かかりつけの病院ではこういう薬を使いこういった治療をしているとすぐにわかり、延命や治療がすぐにできるというメリットがあります。

 

しかしながら技術的には可能であってもそれをしないのは治療法はよそに知られたくはないし、カルテは患者のものではなく病院のものだという考えがあるからだと思います。

 

病院の経営を揺るがないものにするためそれはどうしても必要なんだとわかります。

 

重い教科書や教科分のノートをランドセルに入れて、毎日通うことは、均等に荷重をかけるランドセルを背負ったところで成長期の子供には良いものかどうかわかりませんし、何より子供たちは大変です。

 

これを電子書籍や、電子黒板、ICカードやUSBメモリやSDカード、タブレットなどに置き換えればそういう問題も解決できるのですが、教科書業者やランドセル業者、ノートメーカーなどの死活問題になってしまいます。

 

だから公文書はどんどんペーパーレスが進んでもすぐにはできないでしょう

 

話を戻しますと、うちのやり方を公表することでまねされる心配があること。

 

けれど逆に『ここまでやってくれるのか』と納得して安心してうちを選ぶお客さんも出てくると思います。

 

さらには、お客様には安い業者と内容を比較して選択できるメリットがあります。

 

ちなみにですが、前にも書いた通り、今話しているうちの金額は平成に入ったころ、ともすればその前から価格は代わっていません。

 

35年以上値上げ(値下げもですが)していないこと自体がかなりの企業努力であり、実は近所の同業者さんもたいていは同じ状況だと思います。

 

どうせもう僕の代で終る仕事です。

 

ならばあと一伸ばし、そしてお客さんや一般の方に役に立てることをしてから終わります。