古いムラーノを買った理由 | 我楽多車庫(ガレージガラクタ)

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昔国産車ディーラー勤め、現在は自営業主です。

先日JR京葉線に新駅の幕張豊砂駅が開業しました。


以前はこの辺りに日産の大きな販売拠点がありました。


カレスト幕張って言ったかな。


だいぶ前のことなんだけど、ある日思うことがあって近くに仕事に行った際に寄ったことがありました。


そこは新車ショールームと仕切りが全くない同じフロアにカー用品店が併設されていました。


ここなら自分の知識が活かせるかな。


そう思いました。


それにはこんなわけがありました。


両親がやっている自営業。


母から、


「病気で具合が悪いから仕事を手伝って欲しい」


と言われてそれまで勤めていたディーラーを退職。


すると翌日。


初出勤した僕に、


「数千万円の借金はお前のせいだ!」

「どうしてくれるんだ!」


と、母は訳のわからないことを言い借金を押し付けてきました。


病気どころかとても元気に。


借金はそれ以外にもたくさんあり、それからも止めても止めてもさらに借金をし、返済のために僕は働きました。


なのに、その仕事を邪魔ばかりするわ給料は満額払わないわで毎日酷い仕打ちを受けていました。


で、新たにできたディーラーの複合店舗が、僕が勤めていた会社が運営していると元同僚から聞いていたので、そこでアルバイトをしようと思い下見に行ったのでした。


借金は元々僕が借りたものでもないし、何より働いても歩合給料を払ってもらえないのため毎日の生活が苦しかったのです。


で、下見に行った際にショールームに展示してあったのが、その時売り出し中の新型車、初代ムラーノでした。


ボディーカラーはオレンジ色のメタリックに内装は本革のブラック。


これまでの日本車にはないデザインでとてもカッコよく見えました。


そうは言ってもその時の状況ではとても買うことができない車、自分には縁がない車だと思って寂しい気持ちになりました。


もしあの時アルバイトを始めたり、また会社に復帰したとしたら、母はさらに借金や負債を残し、今よりも酷い状況にして死んでいったと思います。


その時気づいていませんでしたが、わかっていた借金以外に、秘密裏にわからない様にして30年以上かけてわざわざ負債を積み重ねていたくらいですから、それにさらに上乗せしてきたに決まっています。


母が死んだあとお願いした税理士の先生からは、


「状況が見たこともないくらい酷く受けるのを躊躇いました。」


と言われたほどメチャクチャな経理、経営状況でしたから。


相談したのが税理士の先生と会計士の先生がいらっしゃる総勢40人の事務所であったため、受けていただくことができて、なんとか母の借金と負債を少しずつ減らしています。


で、一昨年僕がムラーノを探して買ったのは、その時ショールームで見た仕様と同じものなのです。


当然新車はもうありませんが、その時一生乗ることができない縁のない車という気持ちを払拭したかったのです。


今日はそんな母のために菩提寺の御住職様がわざわざうちにいらして読経してくださいました。


正直そんな価値のないクズですから腹立たしいのですが、世間体やお付き合いがありますから仕方ない。


僕がおかしいと言われてしまうからね。


さて。


ちなみにあの時のショールームは既に営業を取りやめ、現在ホームセンターになっている様です。


タイムマシンはまだ発明されていませんが、過去に満たされなかった気持ちは、ムラーノの様に一つずつ成就させることは可能です。


もちろんタイムマシンが発明されたら、真っ先に過去に戻って母の悪だくみをを止めに行きます。