母が他界したことを知った方から、

 

お母様はまるで女帝のようでしたね。

 

と言われました。

 

まさにそうなんです。

 

実家の家業は、母が社長だった時期もあったので、

 

女性社長=女帝

 

という意味でも間違ってはいません。

 

ですが、その方の言いたいことは、

 

独裁者

 

とか

 

暴君

 

という意味だとすぐに理解しました。

 

よく、見ていらっしゃる。

 

生前も、

 

お父さん養子かと思ったよ。

 

番頭さんなのかと思っていた。

 

つまり他人からもそれほど父への言動が上から押さえつけるような感じに見えていたのです。

 

母は晩年、

 

あなたは何一つ正しくやっていません

 

と言われたそうです。

 

正しくやらない理由は、わざとだったり、知らなかったり、失敗したり、途中で投げ出したり、手抜きしたりと色々理由はあるでしょうが、

 

正しくやる気など元からないのです。

 

全部自分の気分や拙い知識で考えたことで動き、他人に命令したりする。

 

振り回される方は大変です。

 

例えば私の給料。

 

基本給+歩合制というのは営業マンならよくあること。

 

で、普通は契約一件につきいくらとか、契約金額の何パーセントとかが歩合となります。

 

それが母の場合、まず毎月よこしません。

 

まだ金額が少ないから半年ごとだと言い、それがまだ金額が少ないから一年後だと。

 

結局一年半後となりました。

 

その際、これまでの契約金額の合計金額の何パーセントではなく、なぜかその合計金額から、その期間に支払った給料の全額の金額を引いて、その数字の何パーセントという計算をしました。

 

何故?

 

それはおかしいと何度言っても、

 

すでに払った分の給料を引くのは当然だ!

 

と大声で恫喝しました。

 

意味がわかりません。

 

或いは、契約しても

 

時間がかかったから歩合は無い

 

とか、

 

私ならもっと多い金額で契約できるからダメだ

 

とか

 

なんくせをつけてきて契約自体なかったことにされました。

 

或いは、私の外出中に商談中のお客さんから契約したいと電話が入ると、父や母が勝手に行って契約してきてしまうことがしばしばありました。

 

それについては何度も言いました。

 

普通は給料のために働いているのだから、そんな不正をしたなら、社員は辞めるか訴えるかしますよ。

 

もし、どこにも逃げられないような状況ならあなたは刺されてもおかしくない。

 

そう伝えたのに、結局母は死ぬまでそのまま変わりませんでした。

 

働いて来た25年間で歩合を払ってもらったのはたったの3回。

 

本来は12ヶ月×25年分だけ支払いの機会があったわけです。

 

大抵の場合は、そういう酷いことは自分より下だと思う立場の相手、つまり僕やおじに対してばかりでしたが、赤の他人にやってしまうこともあり、怒った相手から毎日無言電話を20-30回やられたり、殴られたり踏切で前に押されたりということがありました。

 

母は、歩合給料を払うつもりなどなく、それにより私が困るのを見るのが楽しかったのです。

 

働いていないとか、契約していないなら貰えなくて当然。

 

私は働いた分は正当な権利だからと訴えていたわけです。

 

父にも、こんなでは嫁さんが子供を連れて実家に帰ってしまうと言ったら、

 

お前がいなくても育ててくれるならそれで良いじゃ無いかと、マルチーズを撫でながら言い放ちました。

 

嫁さんと子供を同席させて歩合を、給料をちゃんと払ってくださいと訴えてもらった後、一度だけ支払われましたが、それから2度と支払われることはなく、やがて僕は子供と別に暮らすことになりました。