ある日の新聞のチラシに、大型家具と洋服をのぞくモノを一括5500円で捨てます、とあった。電気製品、自転車、食器も本も対象である。これにとびついた。この申し込みは、新聞販売店経由で行う。信用していい感じがした。
捨てるものをリストアップしてみると、ノートパソコン2台、ビデオデッキ、掃除機、電話機、プロジェクター、キーボード、自転車となった。処分したい本も食器もたくさんあるが、選ぶのが大変である。とりあえず、リストアップしたものすべてを依頼した。
使わなくなったノートパソコン2台は、壊れたから使わなくなったのではなく、ウインドウズの更新で新しくしなければならなかったからである。データの取り扱いを考えて保持し続けていた。ビデオデッキは、まだ見たい録画テープがあったからだ。しかし、この15年、一度も見たことはない。電話機を買い替えたのは、電話が不通となったためだが、原因はルーターだった。ファックス機能の電話が欲しいと長男が言うので捨てないでいたが、持っていく気配はない。昨年、スティック型掃除機を購入した。これまでのホース型は小回りが利く。細かい掃除用にと捨てる気にならなかったが、だからといって、併用したことはなかった。プロジェクターは一度しか使ったことがない。孫の写真を大きくして見ようと思ううちに日が過ぎていった。購入したのは17年前である。このプロジェクターにつながる機械はないと判明した。キーボードは一つだけ音が出ないが、様々なリズムを奏で、様々な楽器の音も出る。一時期、孫がリズムで遊ぶことがあった。キーボードの音が一つ出なくても、私が昔を思い出して弾く分には使用可能だった。「ハ長調で弾くポピュラー」、「ハ長調で弾くニューミュ―ジック」という楽譜も買ってあるのだが、まだ弾いたことがなった。自転車同士の衝突で転倒して以来、自転車には17年ほど乗っていない。いつか、また乗ろうとは思っていたのである。
これまで捨てようとしなかったのは、どれも収まるべき場所があって、しかも視界に入らなかったからである。英語の「Out of sight, out of mind」、つまり、「目に入らないと忘れてしまう」。それより、またいつか使うと思っていたことの方が大きいのかもしれない。「いつか」は来ないほうがすっと多い。今回の不用品回収チラシがなければ、私はいつ捨てる気にっただろうか。
ここ一年、友達のフルート、リコーダーと私のオカリナでの演奏をカラオケで行っている。このときに「ハ長調で弾く・・」の私の楽譜を持っていった。この楽譜を見ているうちに、これなら、ピアノを弾くことができそうだと思えてきた。新しいキーボードを購入して、ピアノを始めようかと思い始めている。ここに書いたことによる有言実行で、「いつか」を実現せざるをえないようにしなくては、である。