私が自転車の補助輪がはずれたのは、中学1年生の時だ。
もちろん、中学1年生になるまで、補助輪を外すことにトライしなかったわけではない。
小学3年生の時だったと思う。
補助が付いていない新品の自転車を買ってもらい、近くの空き地に行ってお父さんに後ろを支えてもらいながら、おっかなびっくり自転車を運転した記憶はある。
そこからの記憶は、何度も自転車を倒しまくって、結局新品の自転車を壊したような…。
自転車ってそんな簡単に壊れないはずだけど、壊しちゃったような気がする。
そして、あーなんか乗れないやとさして気にすることもなく、いつも通り補助付き自転車を乗っていた。
補助付き自転車は、乗るとガラガラガラと補助輪がまわる大きな音がした。そこだけ恥ずかしく思っていたので、同級生の家の前を通るときは自転車を降りてこそこそっとひっぱって歩いた。
自分が親になり、子どもたちの補助が外れるたびに、すごいなと心から思うとともに、なんでできるの?と不思議に思う。それも、みんな小学校に上がる前にとれている。なんで自分はできなかった?、そして、中学1年生まで自転車が乗れない娘をおおらかに放っておいたわが両親の懐の深さ、というか気にしなさすぎに軽い驚きを覚える。
さて、私は高校入学と同時に自転車通学することになった。
中学1年生まで乗れていないし、乗れるようになってからも、特段自転車を乗り回していたわけでもないので、ほぼ初心者運転の状態。そんな私が家から高校まで自転車で40分ほど、結構車通りの多い道を走っていくことになった。
登校初日。
ドキドキワクワクで高校へ向かう。
自転車通学もドキドキだけど、新しい学校で新しい生活が始まる。その方に胸がぱんぱんに高鳴っていた。
その気持ちも相まってか、初心者なのにばんばんスピードをだして自転車をこぎたくなる。春の風が気持ちいい。
順調に自転車で走り抜け、あと10分ほどで学校に着くかという時、私は何気なく、自転車をこいでいた車道から歩道へ移動しようとした。
その瞬間、ばっこーーーーん!
思いっきり自転車が横に倒れ、勢いよく転んでしまった。
自転車初心者は、車道と歩道の間に小さな段差があることを知らず、そこをうまく上がれずにこけてしまったのである。
自転車のかごからカバンが飛び出し、教科書が道路に散らばった。
私は自分がなんでこけてしまったのかわけがわからないまま、おたおたと教科書を集めようとした、その時!
後ろから男の人がさっと現れ、ぱぱぱっと教科書を拾ってくれたのである。
その男の人は...お父さんであった。
お父さん、なんでこんなところにいるの?
聞けば、お父さんは、自転車初心者の私が心配でずっと車で尾行していたのである。
私が生まれる前、警察官をしていたお父さん。かつての技術を活かし、目を光らせ尾行してくれていたのだろう。
愛すぎるな。
お父さんに尾行されながらの高校初日は、今まで気づかなかった父の愛を感じた日だった。
こうやって見守られて大きくなったんだね。
