この人を好きだと思ったことがない。
ただ好きになろうと努力はしてみた。
夫だから。
でもしみじみ思う、無理なことだと。
心が受け付けない。

愚かな男だと思う。関わりたくないから平行線を努めて歩いてきた。
時々声にも態度にも出さず激怒したくなる。そんなときはじっと無言を通す。
幼い時から悟っていた息子は傷だらけになりながらも離れていった。
娘は私を案じているのか自分も楽なのかここにとどまっている。
ひたすら甘やかされ欲しいものを手に入れている末娘は自身は気づかずとも回りが傷つく態度をとる。
離婚すればいいと思うが世の中は甘くないと知っている。
それに耐えた分このままではむかつく。
この男絶対に許さない。
下の娘も。
覚えていなさい、いつか、きっと。

何となく歩いて行こうと思い外に出た。一軒裏道に入っただけで梅の花の香りがする。
うわぁ満開だ。
それだけで嬉しくなってしまった。
何となくなにもかもうまくいかず楽しくなく塞ぎこんでいたから。
ただそれだけで心が温かくなった。見事な桜も好きだけれど静かに香る梅に安らぐ歳になった気がする。
風もなく青空のした他に梅の木が無いか人様の庭を覗きながらコンビニまで歩いた。
メルカリの支払いのためと娘が知ったらまた嫌みを言われるだろうけど塞いでいた心が少し軽くなった。
外に出て良かった。


いよいよ受験日が来る。
今になって慌てて徹夜している娘。
喉まで馬鹿と出るが兎に角噛み締める。
波風たてぬよう、息をひそめる。
食事と飲み物だけそっと用意する。
気を使いこっちまで追い詰められる。
あぁ頑張れ。泣きながら書き上げた実習ノート。あれもこれもいい思い出になるようにラストスパート!
親も最後の気合いだ!