2009年7月における世界人口は、「約68億人」。
主要地域の各人口は、中国が「13億3474万人」、欧州連合(EU27)が「4億9979万人」、北米が「3億914万人」、そして日本が「1億2751万人」。

2009年における世界市場へのテレビ出荷台数は、「2億1100万台」。うち、LCD(液晶テレビ)が、「1億2700万台(60.2%)」。

□ 下記は各市場におけるテレビ出荷台数

●北米市場 = 3563万7000台 (8.67人/台)
●中国市場 = 3730万台 (35.8人/台)
●日本市場 = 1362万台 (9.36人/台)
●欧州市場 = 4000万台弱 (12.5人/台)

この4つの市場で世界市場の「約6割」を占める(世界人口に占める割合は33.3%)。将来的に有望なマーケットとしては「インド」か。

出荷台数ベースで見れば、北米市場は人口に勝る中国市場や欧州市場の後塵を拝しているが、こと「販売金額」におけるシェアでは長年トップであり、今後もトップの座を守り続けていくだろうと予測されている。

□ 2009通年北米市場薄型テレビ(LCD+PDP)市場シェア(出荷台数)

サムスン = 657.1万台
台湾Vizio = 597.9万台
ソニー = 368.1万台
LG電子 = 299.1万台
東芝 = 239.4万台
パナソニック = 274.5万台
その他 = 1127万5千台

□ 3Q'08-4Q'08における北米薄型テレビ(LCD+PDP)市場シェア

サムスン : 19.3% - 20.4%
ソニー : 11.1% - 14.2%
台湾Vizio : *9.0% - 12.3%
LG電子 : *6.7% - *8.1%
東芝 : *7.2% - *7.9%

□ 3Q'08-4Q'08における北米市場"LCD"のシェア

サムスン : 18.8% - 19.2%
ソニー : 13.9% - 16.3%
台湾Vizio : *8.4% - 12.8%
LG電子 : *7.6% - *9.4%
東芝 : *8.2% - *9.1%

□ 3Q'08-4Q'08における北米市場"PDP"のシェア

パナソニック : 39.0% - 46.9%
サムスン : 24.0% - 27.8%
台湾Vizio : 13.4% - *9.1%
LG電子 : 11.2% - *7.0%
パイオニア : *3.5% - *6.4%

4Q'08(2008年第4四半期)における北米市場のLCD(液晶テレビ)の出荷台数は「870万台」であり、PDP(プラズマ)は「130万台」の、計1000万台であった。
4Q'08においてパナソニックはPDPのシェア"46.9%"を獲得したが、出荷台数で見るとこれは「60.9万台」であり、薄型テレビ全体としては約6%程度の占有率でしかない。


□ 北米市場"LCD"における2008年-2009年の出荷台数(シェア)の推移

台湾Vizio : 308.2万台(12.6%) - 592.0万台(18.7%) /92.1%
サムスン : 457.5万台(18.7%) - 560.8万台(17.7%) /22.6%
ソニー : 371.7万台(15.2%) - 368.1万台(11.6%) /-1.0%
東芝 : 131.8万台(*5.4%) - 239.4万台(*7.6%) /81.7%
LG電子 : 220.0万台(*9.0%) - 239.6万台(*7.6%) /8.9%
シャープ : 224.4万台(*9.2%) - 159.2万台(*5.0%) /-29.1%
その他 : 736.9万台(30.1%) - 1003.0万台(31.7%) /36.1%
合計 : 2450.6万台(100%) - 3162.2万台(100%) /29.0%

上で北米市場の薄型テレビ全体の出荷台数は「3563.7万台」と書いたので、それに占めるLCDの割合は"88.7%"ということになる。
ソニーと東芝は薄型テレビ全体とLCDの数が全く同じなので、このことからもLCDに特化しているということが分かる(他は違う)。

LCDの北米市場全体としては前年比"29.0%"という伸びを記録した(台数ベースでは+711.6万台)。
中でも目を引くのは、年率"+81.7%"という脅威の伸びを見せた「東芝」。2008年度のシェア6位(5.4%)から4位(7.6%)へと順位を上げた。
もう一つ、東芝異常の驚異的な伸び、年率"92.1%"を記録したのが、台湾の「Vizio」。台数ベースでも"282.8万台"増え、2008年度のシェア3位(12.6%)から、サムスンを抜き、遂に1位(18.7%)へと躍進した。た。

Vizio社は典型的な「ファブリス・メーカー」。ファブリスとは、商品の企画・開発は行なうが、自社工場は持ってないメーカーのことをいう。
2005年設立の超新興メーカー。当初は「安さ」を売りに倉庫型販売で実績を積み、米国最大のディスカウント・ストアであるWal-Martにも進出。Vizio社の製品はただ安いだけでなく、品質も高いと市場では評価。現在は低価格帯のモノだけでなく、。高品質・高価格帯のモノも売れている。液晶バネルはLGディスプレイなどを採用。

Vizioハイエンドモデル = 47"Class TruLED LCD HDTV / $1,799,99
Vizioローコストモデル = 42"Class LCD HDTV / $663,99

1ドル=84.86円(2010/9/15)で換算すると、47型のLEDバックライト搭載ハイエンドモデルが"152,747円"。42型のエントリーモデルが"56,346円"と破格の値段設定。

比較として、東芝、ソニー、シャープ各社のLED搭載モデルで一番下のクラスと、最も安価なHDTV(ハイビジョン)を下記に掲載。

<東芝>
LEDレグザ 47RE1 = 173,367円 (3689円/型)
レグザ 42R1 = 99,800円 (2376円/型)

<ソニー>
LED 46NX800 = 170,989円 (3717円/型)
40EX500 = 68,790円 (1720円/型)

<シャープ>
LED LC-46SE1 = 144,000円 (3130円/型)
LC-40AE7 = 73,000円 (1825円/型)

<Vizio>
47"TruLED = 152,747円 (3250円/型)
42" LCD = 56,346円 (1342円/型)

約40インチ前後の一番安価なモデルでの比較は真っ当だが、「LEDモデル」においては比較対象が間違っている。
国内メーカーのLEDモデルは、それぞれLED搭載モデルで一番「下」を掲載したが、Vizio社におけるLED搭載最安のモデルは、「47"Class Razor LED」というモノがあり、これは"$1,169,99"である。日本円に換算すると、"99,278円"と信じられない価格となる。よって、正確に比較するならば…

<Vizio>
47" RazorLED = 99,278円 (2112円/型)
42"LCD = 56,346円 (1342円/型)

国内メーカーのLED搭載モデルで1インチ当たりが最も安価なシャープの"LC-46SE1(3130円/型)"の「約67%」、Vizio社のLED最安モデルは、「2112円/型」でしかない。
40インチ前後の国内最安モデルは、ソニーの"40EX500(1720円)"であるが、Vizio社のエントリーモデルは、「1342円/型」であり、「約78%」に過ぎない。
要するに、国内の最安(価格コム調べ)のモノより、約2割~3割以上もVizio社の製品は安いということ。直販モデルなので、いつでもその値段で買うことができるというのも魅力。

日本国内での価格設定で北米市場を戦えるはずかありません。下記にPDPではあるが、端的な例を掲載(どちらもamazonでの価格)

Panasonic VIERA TH-P42S2 = 83,800円(amazon JP ) (1995円/型)
Panasonic VIERA TH-C42S2 = $651,67 = 55,300円 (amazon US ) (1317円/型)

弱冠モデル表記に違いはあるものの全く同じ製品。為替の変動に左右はされるが、それにしても安い(違いすぎる)。
日本のamazonの価格設定は、amazonUSの「約1.5倍」である。一般的な量販店、例えば、K'sデンキなどの販売価格は、"94,800円(2257円/型)"なので、「約1.7倍」もの開きとなる。

日本が高価すぎるのか、それとも北米市場が安売りし過ぎなのか。そのどちらも正解だと思う。
北米市場は世界の縮図だから、ここで生き残れること=世界で生き残ること。それは分かるが、実情を知れば知るほど不毛な戦いのようにも見えてくる。フィリップス(蘭)のように北米市場から勇気ある撤退をするのも一つの手だとは思うが、日本企業はそうもいかないのだろうね…。

そのフィリップスの北米市場をそのまんま譲渡されたのが、FUNAI(フナイ電機)。2008年4月にライセンス契約を結び、以降、フナイの怒涛の進撃が始まる。

4Q'08にはシェア"7.0%"、1Q'09には"8.5%"と順調に伸ばし、3Q'09には、首位のサムスンの"16.6%"に肉薄する"16.0%"で2位にまで躍進した(全てLCD)。液晶パネルは主に台湾製を使用。
2010年度の北米市場LCD出荷台数ベースでは間違いなくフナイが台風の目になるだろう(安価モデルが主なので、金額ベースでは大したことないだろうが)。