"はだしのゲン"2007年8月10日&11日二夜連続(CX)放送
原作:中沢啓治
脚本:君塚良一
出演:小林廉、今井悠貴、中井貴一、石田ゆり子、中尾明慶、小野明日香
「はだしのゲン」という作品の内容については別に改めて説明する必要もないでしょう。子供を主人公とした戦争漫画というか題材としては「火垂るの墓」と双璧をなすくらいのコンテンツだと思ってますから(個人的にはゲンの方が好きです)。
「ビカドン」というコトバを最初に知ったのもこの作品でしたね。先日のドラマではピカドンの語句説明がなかったけど、視聴者の子供たちは分かったのかな?(親の世代なら分かると思うけど)
原作は小学校の頃に図書館で読んだことがある、という方が大勢いらっしゃるみたいですが、私は教室で誰かが持ってきた漫画を読んでたという記憶があります。今では確実にコードに引っかかりそうな描写も多くあったので、低学年だった私にはかなりインパクト、大きかったのを覚えています。
久々に「はだしのゲン」というものを思い出させてくれたのは非常に良かったと思いましたね。特に「前半」はよく出来てたと思います。
子役の人たちも合格ラインは超えていたと思いますよ。
ゲン役の「小林廉」クンは喜怒哀楽もハッキリしてて、怒る場面では顔を紅潮させてましたしね(リアルさを追求するなら当時の栄養事情に沿って、もっと痩せてないとおかしいのですけど、そこまでは言いますまい)。
私的には二役をこなした「今井悠貴」クンにMVPを贈りたいと思いますが。
姉役の「小野明日香」サンは昭和の女子学生という雰囲気が特に似合ってましたね。最近のJr系にしては珍しいタイプの女優さんでしょう。
長兄役の「中尾明慶」はスーパーサブとしてこれまで数々の役をやってこられたわけですが、個人的には今回のようなシリアスというか「笑わない」役の方が好きなんですね。いつもいつも、よく言えば謙虚な、悪くいえばヘラヘラしてる役ばかりじゃ面白くないですもん(それにしても予科練役、似合ってたなぁ、身体も鍛えられてたし)。
両親役に、ある程度(元)美男美女がくるのは仕方ないにしても、「石田ゆり子」がここまでヘタだったとは今まで知りませんでした(上手くはないとは思ってたけど)。友人役の「りょう」もそうだが、全然「昭和のおっかさん」という雰囲気がない…。まぁ「火垂るの墓」の実写版でも「松嶋奈々子」が主演だったので別に大したことじゃないんですけどね(母親役が異常に垢抜けてたとしても、という意味)。
>『はだしのゲン』というタイトルで、大人の話ではないので、我々としては、どれだけいい刺身のツマになれるかを考えています。
と父親役を演じられた「中井貴一」さんはおっしゃられてますが、私が観た限り一番印象に残ったのは貴方なんですけど…?
「連合艦隊」でデビューされた中井さんだけに、こういう時代を演じさせたら素晴らしいの一言に尽きるわけですが、今回もいい味、出されてましたね(ふと、2年前の「終わりに見た街」を思い出しましたが)。
普通、前・後半に分かれている作品では、後半の方があらゆる意味で面白くなると思うのですが、私的には(先にも書いたように)前半の方が遥かに完成度、高かったように思えます。これには中井さんの圧倒的な演技力というのも当然あるわけですが、原爆投下後の物語として「どこに落とし所つくるか(どこで終わらせるか)」というのも大きなポイントだったと思うのですよ。
同じ広島原爆を題材にしたドラマ「広島、昭和20年8月6日(美人三姉妹出演で2005年TBS)」ではタイトルからも分かるように原爆投下で終わらせてますよね?
「はだしのゲン」では原爆で父親と姉、弟が死ぬことは分かってたので、どこにそれをもってくるのかな、と思ってたら前半のラストでした。となると後半はどうするんだろう(中井なしで大丈夫なのか?、という意味)と思いながら見てたら、案の定、回想シーン、使いまくりでしたね…。
原作者である中沢さんは「原爆の悲惨さ」ということを後世に伝えていきたいわけですよね。唯一の被爆国である日本でさえ、自分からこういうことに興味を持たない限り正しい情報を知ることはできないようになっています(それすら正しいかどうかは微妙だが)。
日本における教育で先の大戦を評価することなどもはや不可能となってますからね(先の大戦どころか今、現在の評価もできてませんが…。小沢の秘書官がどういった人物であるか、それを知ってる人が果たしてどれくらいいるのでしょう?)。
せっかく多くの人が見てくれるであろう「ドラマ作品」となったのに、肝心の「原爆の悲惨さ」は正直、伝わってきませんでしたねぇ…。むやみにグロ化する必要はないでしょうけど、ある程度は「見せなきゃならんもんは見せないと」いけない部分もあると思うのですよ。規制等、色々やっかいなことは多々あるのでしょうが、一瞬にして10数万の命が失われたことは事実なのですから、それを映像化してもらわないと、想像力が乏しい私たちには(皮肉)それがどういったものだったのか(光景も含めて)分からないわけですから。
ハリウッドにしたって(大規模な爆発があり)「キノコ雲」が上がれば、それをすぐに「ヒロシマ(原爆の意)だ」と言ってしまうくらいのレベルなワケですし。
予算の問題もあるのでしょうが、いつも思うのですけど、なぜせっかくロケをしているのに、あんなに安っぽくなるのかなぁ、と。
原爆投下の映像は2年前の「広島、昭和20年8月6日」より進歩してたと思いますが、その後の「荒廃した街」のセットは進化、してないですよねぇ…。
ガレキとか崩れかけた家屋なんかが、どうしてもセットセットしてて、見るに耐えない。いかにも今、置きましたみたいな感じがして、リアル感に乏しいんですよ。この辺がハリウッドとの差かなぁ、としみじみ思ってしまいます。なんか妙に小奇麗なんですよね、邦画も含めて日本で実写でつくられる荒涼とした風景というのは(空気感が重くないというのかな)。
なんだかんだと書いてますが、このドラマの肝は友情出演で出てこられた「化け物」役の「成宮寛貴」さんに尽きるのではないでしょうか?
原爆の悲惨さを伝えなければならない後半における重要なキーパーソンだったのに、全然「化け物」じゃないし、口だけですっげぇ絵、描いちまうし…(それも僅か数日で)
まぁ、そもそも(傷口に)「蛆(ウジ)」が湧いていない、はだしのゲンなんて、はだしのゲンじゃないんですけどね…
数字、どれくらい取れてるかなぁ?
<追記>
視聴率情報
前半 = 18.2%
後半 = 20.5%
良くて16前後かなぁ、と思ってたのでこれは凄い数字ですよね(この時期では特に)。後半が高かったんだ…。ちょっと意外…。
ネット上での感想をザッと見てまわったんですけど、何気に私と同様の印象を持った人が多くておかしかったですね(子役は神だった、とか、化け物(画家)の傷口のウジを箸で取る描写がなかった、等々。詳しすぎっ!)。
あとは、その画家サンを「香取」だと勘違いしてる人が多かったようですね。確かに演技的に似てましたけど、最後のエンドロール見れば分かるんじゃない?
それにしても、「ニコニコ(動画)」は全部、アップされてるんですね!ニコニコはあまり好きではないんで見ないのですが(画質悪いし、コメントがウザい。非表示にすればいいんだけど)、アップする人も大変だなぁ、と。