ハート「ニッポン」というファンタジー



SAYURI  2005米
★★★


Review:

とてもキレイな映像で音楽も良かったけど

日本人として考えさせられる映画だった。
「日本」とは何だろう?

色鮮やかな着物、

「ミヤコ」という名の駅には

いささか光の強すぎる提灯が散りばめられ、

ヨーヨ・マによるアジアンな音楽と太鼓の音が鳴り響く。
中国人、マレーシア人、日本人の役者たちは

「お姐さん」「ごめんください」などの

日本語が織り交ぜられた英語を話している―。

それらは「日本的」なものではあるが、

決して「日本」にはなり得ない。

「ニッポン」というファンタジーが、そこにはあった。


ミュージカルが得意なロブ・マーシャル監督が今回

ミュージカルの代わりとして使ったのが「ニッポン」だったのだ。

わたしにとって衝撃的だったのは、

日本人であるはずのわたしが

このファンタジー「ニッポン」を堪能できたということ。

わたしはリアルとしての日本に住み、日本人として生活している。
海外の人に日本の文化として着物や箏を紹介したりもする。
しかし果たしてそれは本当に「日本」なのだろうか?

外から見る「ニッポン」と、内にあるはずの「日本」、

そして私達が外に向かって発信する「日本」、

これらの間の違いとは???


本来、違いなどなく

それらは全て「ファンタジー」にすぎないのかもしれない。
私達は見たいと思うものしか見られないし、

知りたいと思うことしか知ることはできないのだから。