「ニッポン」というファンタジー
Review:
とてもキレイな映像で音楽も良かったけど
日本人として考えさせられる映画だった。
「日本」とは何だろう?
色鮮やかな着物、
「ミヤコ」という名の駅には
いささか光の強すぎる提灯が散りばめられ、
ヨーヨ・マによるアジアンな音楽と太鼓の音が鳴り響く。
中国人、マレーシア人、日本人の役者たちは
「お姐さん」「ごめんください」などの
日本語が織り交ぜられた英語を話している―。
それらは「日本的」なものではあるが、
決して「日本」にはなり得ない。
「ニッポン」というファンタジーが、そこにはあった。
ミュージカルが得意なロブ・マーシャル監督が今回
ミュージカルの代わりとして使ったのが「ニッポン」だったのだ。
わたしにとって衝撃的だったのは、
日本人であるはずのわたしが
このファンタジー「ニッポン」を堪能できたということ。
わたしはリアルとしての日本に住み、日本人として生活している。
海外の人に日本の文化として着物や箏を紹介したりもする。
しかし果たしてそれは本当に「日本」なのだろうか?
外から見る「ニッポン」と、内にあるはずの「日本」、
そして私達が外に向かって発信する「日本」、
これらの間の違いとは???
本来、違いなどなく
それらは全て「ファンタジー」にすぎないのかもしれない。
私達は見たいと思うものしか見られないし、
知りたいと思うことしか知ることはできないのだから。