ユナイテッド93
☆☆☆☆


2001年9月11日――
4機の旅客機がハイジャックされた。
3機はターゲットに到達。

これは、その4機目の物語である。



Review:


一人で映画館に行くとなると、ついこうゆう作品を選んでしまうなぁ。

人間の極限状態を描いていて、

心が、丸裸にされてしまうようなやつ。



あの9.11について。

わたしは今まで社会的?歴史的?文脈の中で考えることしかなかった。

ともすると「アメリカだって悪いとこあるのにー」みたいな。

募金をするにもアメリカとイラクへ両方同じ額にしようとこだわったり。


この映画はテロ以前のこと、またそれ以後のことには触れない。

ただあの出来事だけを切り取りドキュメンタリータッチで描いている。

犯人も、乗客の誰も、特別クローズアップされることはない。

名前も分からない。職業も年齢も、どんな家族がいるかも分からない。

そんな彼らが混乱し、泣き叫んだり、祈ったり、犯人の目を盗み家族へ愛の言葉や別れの言葉を残したり・・・


「愛している。息子をよろしく」と電話口にささやくビジネスマン風の男。

あぁ、彼には妻と息子がいるのだと知る。


「母さん、もしも助かることができたらこの仕事もう辞めるわ・・・」混乱の中一番気丈に行動していた客室乗務員が泣きながら話している。



彼らは電話を通して得た少ない情報をもとに自らの運命を悟り、そして立ち上がることを決意する。


「自分達で止めるしかない。こちらは40人だ、何とかなる!」

「武器になるものと体格の良い男を前へ集めろ!」

「オレは柔道をやっていた」

「オレが先頭にいく!」





あの日、たくさんの命が消えたのだ。


「はかない命」とはよく言うが、

命というものは、なんて強いものだろうと思う。

一つ一つの命が最後の最後までもがいている。

最後まで生きているのだ。





真っ暗な心を抱えて劇場を後にする。


その虚無感はすぐさま怒りや悲しみには結びつかない。